初級翻訳・三匹の小熊さん 第1話

三匹の小熊さん

三匹の小熊さん
村山籌子

 あるところに、三匹の小熊さんがお母さんと一緒に住んでいました。
 朝になると、目覚まし時計が、三匹の小熊さんを元気に起こします。
 三匹の小熊さんは、それから朝ごはんを食べるのですが、今朝からは牛乳を飲まなければなりません。なぜかというと、牛乳は三匹の小熊さんの体にとって一番いいものだからです。
 けれども困ったことに、三匹の小熊さんは、牛乳というものは匂いを嗅ぐのさえ大嫌い。どうしても飲もうとしません。
 それを見ていたのが、戸棚の中の角砂糖さんです。箱の中からひょっこりと首を出しました。
 小熊さんたちは牛乳は嫌いですが、角砂糖さんは大好きです。さっきまでの渋い顔はどこかへ飛んでいって、急にニコニコと笑顔になりました。
 お母さんはそれを見て、牛乳をお鍋に移して、その中に角砂糖さんを入れようとしました。すると、気の利く角砂糖さんたちは、まるで水泳の選手のように見事なダイビングをして、牛乳の中へ飛び込んでいきました。
 おかげで、ようやく三匹の小熊さんは甘い牛乳を飲むことができました。
 さて、三匹の小熊さんには一人のお友達がいます。あひるさんです。
 あひるさんはお父さんと一緒に住んでいました。あるとき、あひるさんがベッドで寝ていると、あひるさんの大好物であるどじょうさんが、部屋の中に入ってきました。
 あひるさんはベッドから飛び起きて、どじょうさんを追いかけました。どじょうさんは戸棚の中へ逃げ込みます。あひるさんはそれを追いかけて、そのまま戸棚の中に入ってしまいました。
 あひるさんのお父さんは、なかなか起きてこないあひるさんを起こしに部屋へ行きました。すると、どこにもあひるさんの姿が見当たりません。
 お父さんは心配のあまり、あひるさんのお友達である三匹の小熊さんに電話をかけて、あひるさんを探し出してくれるようにお願いしました。
 三匹の小熊さんは、友達を探しに出かけることになりました。お母さんは汽車賃にと十銭玉をくれました。
 三匹は停車場へ向かいました。汽車に乗ろうとしましたが、どこへ乗ればいいのか、初めてのことなので分かりません。結局、三匹は汽車の屋根の上に座り込みました。
 汽車はやがてトンネルに入りました。三匹の小熊さんは屋根に乗っていたものですから、トンネルの入り口で弾き飛ばされてしまいました。
 三匹はトンネルの上を一生懸命に駆け出して、ようやくトンネルを出てきた汽車の屋根に飛び乗りました。あまりに力を入れて飛び乗ったので、屋根を突き抜けて汽車の中へめり込んでしまいました。
 汽車の中に落ち込んだ三匹の小熊さんは、なぜか汽車から外へ押し出されました。なぜなら、そこがちょうど小熊さんたちの降りる駅だったからです。なんて便利な汽車なんでしょう。
 三匹の小熊さんは、それから探偵の犬さんの家へ、あひるさんの捜索を頼みに行きました。しかし犬さんはこの寒さで風邪をひいていて、機嫌が悪かったので、小熊さんたちがいくら頼んでも窓を閉めたまま返事もしません。
 それでもなんとか、探偵用の虫眼鏡を貸してくれました。
 あひるさんの家の方へ歩いていくと、雪が降り始めました。雪の中を向こうから、何だか分からないモクモクしたものがやってくるので、三匹の小熊さんが虫眼鏡で見ると、それは雪だるまのお母さんでした。
 お母さんはスキーに乗っていたので、すべって転んでしまいました。その時に、お母さんが下げていた包みの中から、雪だるまの子供が三人転がり出ました。
 三匹の小熊さんは、雪だるまのお母さんなどというものを見たのは生まれて初めてだったので、あまりに珍しくて、虫眼鏡を太陽の光にかざして雪だるまのお母さんを溶かしてしまいました。
 雪だるまの子供は大変怒って、三匹の小熊さんを追いかけてきました。雪の上を走ったので、三匹の小熊さんは雪だらけになり、最後には雪の玉になってコロコロと転がっていきました。
 雪の玉はある一軒のお家の戸にぶつかって壊れました。中から無事に、三匹の小熊さんが転がり出ました。
 この家は、都合のよいことに、あひるさんのお家でした。
 あひるさんのお父さんは、あひるさんがまだ見つからないので、洗面器がいっぱいになるほど涙をこぼして泣いていました。
 三匹の小熊さんは、あひるさんのお父さんを見て大変気の毒に思ったので、直ちに探偵を始めました。
 三匹は虫眼鏡で方々を探しました。そしてようやく、床の上にあひるさんの足跡があるのを見つけました。
 足跡は戸棚の前で止まっています。戸棚を開けると、そこでのんきな主役のあひるさんがグウグウと寝ていました。
 あひるさんのお父さんは、どんなに喜んだことでしょう。お父さんは三匹の小熊さんに、お礼のしるしとして、どじょうをくれました。
 三匹はそれを膨らませて飛行船にして、それに乗り込みました。そして、お家へ帰ることにしました。
けれども、途中で鳥が飛んできて、飛行船をくちばしでつついて破ってしまいました。
三匹は墜落して、あるお家の煙突の中へ落ち込んでしまいました。
幸運なことに、そこは小熊さんたちのお家でした。
小熊さんたちはススのせいで、真っ黒になってしまいました。
お母さんは三匹をお風呂に入れようとしましたが、小熊さんたちは、お風呂となると毛虫よりもずっと大嫌いなので、砂糖の樽の中や、着物の後ろ、それにカーペットの下へもぐり込んで隠れてしまいました。それでもお母さんは、ようやくのことで三匹を引っ張り出して、お風呂に入れました。
三匹は、お風呂に入ってしまえば「やっぱりお風呂はあったかくていいものだなあ」と喜んでニコニコしています。
そして、本当にその通り、お風呂はとってもいいものなのでした。

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