初級翻訳・あひると猿 第3話

あひると猿

九月の初め、三度目にここを訪れたときには、宿の池にやっと二、三羽のセキレイの姿が見られるようになっていました。
去年のような大群は、もうやって来ないようです。
今年はアヒルの集落がすっかり勢力を伸ばして、セキレイたちの縄張りを侵略してしまったのではないか、そんなふうに思わずにはいられませんでした。
これと同じような現象が、たとえば軽井沢のような場所へ定期的にやって来る、渡り鳥のような避暑客たち――つまり人間の世界においても、同じように見られるものなのでしょうか。
もし十分な材料が手に入るなら、ぜひとも調べてみたいものだなと感じました。
(昭和九年十二月、『文学』)

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