遊びに行きたいけれど、傘はない、
赤い鼻緒の下駄(げた)も緒が切れちゃった。
雨がふります。
雨がふります。
いやでもお家で遊びましょう、
千代紙(ちよがみ)を折ったり、たたんだりしましょう。
雨がふります、雨がふります。
けんけんと小さなキジが今鳴いた、
小さなキジも寒かろう、さびしかろう。
雨がふります。
雨がふります。
お人形を寝かせてもまだ雨は止まない。
お線香花火もみんないっぱい遊んじゃった。
雨がふります。
雨がふります。
昼もずっと降る降る。
夜もずっと降る。
雨がふります。
雨がふります。
赤い帽子、黒い帽子、青い帽子
ここは谷川にかかる丸木橋。
赤い帽子をかぶった子ども、
黒い帽子をかぶった子ども、
青い帽子をかぶった子ども。
渡るにはあぶないし、戻ることもできない。
みんなが前を向いて、一、二、三!
みんなが後ろを向いて、一、二、三!
赤い帽子は笑い出す、
黒い帽子は泣き出す、
青い帽子は怒り出す。
みんながびくびく、一、二、三!
みんながぶるぶる、一、二、三!
南京(なんきん)さん
李(り)さん、鄭(てい)さん、中国服(ちゅうごくふく)さん、
あなたの眼鏡はなぜ光る?
涙がにじんでお日様に光る。
鳥屋のガラス窓もお日様に光る。
目白、カナリア、四十雀(しじゅうから)、
ウズラに文鳥(ぶんちょう)にクロツグミ、
鳥もいろいろいるなかに、
お多福インコはお笑いもの、
もどかしくてびっくりして激しく鳴き叫ぶ。
それでもいじらしいね、しおらしいね、
今日も沈む夕日があかあかと
若い南京さんは涙顔(なみだがお)。
曼珠沙華(まんじゅしゃげ)
ゴンシャン、ゴンシャン、どこへ行くの?
赤いお墓のまわりに曼珠沙華(彼岸花)、
曼珠沙華、
今日も花を摘みに来たんだよ。
ゴンシャン、ゴンシャン、何本摘むの?
地面に七本、血のように、
血のように、
ちょうどあの女の子の歳(とし)の数だけ。
ゴンシャン、ゴンシャン、気をつけなよ。
一本摘んでも、お空は真昼、
お空は真昼、
摘んだあとから、また次の花が開く。
ゴンシャン、ゴンシャン、どうして泣いているの?
いつまで摘んでも曼珠沙華、
曼珠沙華、
不気味だな、真っ赤だな、まだ七つの歳なのに。
(※註:ゴンシャンとは九州の柳河という町の言葉で、お嬢さんのことです)
ちんころ兵隊
ちんころ、ちんころ、ちりちりちん、
ちりちり、ちんころ、ちりちりちん。ちんころ兵隊、ラッパを吹く人、
てとてと、鉄砲も肩にかけて。
ちんころ、ちんころ、ちりちりちん、
ちりちり、ちんころ、ちりちりちん。
さあさあ、いくさに出かけよう、
とんがり帽子の赤い飾りも格好いい。
ちんころ、ちんころ、ちりちりちん、
ちりちり、ちんころ、ちりちりちん。
いやいや、いくさより飴(あめ)がほしい、
お腹がすいては歩けない。
ちんころ、ちんころ、ちりちりちん、
ちりちり、ちんころ、ちりちりちん。
ちんころ兵隊、赤い胴着(どうぎ)、
飴屋の鉦(かね)の音で泣き出した。
ちんころ、ちんころ、ちりちりちん、
ちりちり、ちんころ、ちりちりちん。
とおせんぼ
赤い赤いほうせんか。
白い白いほうせんか。
その中をくぐって通りゃんせ。
赤い花が散るよ。
白い花が散るよ。
いやいや、お前は通しやしない。
りすりす小栗鼠(こりす)
栗鼠、栗鼠、小栗鼠、
ちょろちょろ小栗鼠、
ぶどうの房が熟したぞ、
鳴け、鳴け、小栗鼠。
栗鼠、栗鼠、小栗鼠、
ちょろちょろ小栗鼠、
あっちの尻尾が太いぞ、
揺れ、揺れ、小栗鼠。
栗鼠、栗鼠、小栗鼠、
ちょろちょろ小栗鼠、
ひとりで飛んだら危ないぞ、
おんぶして、おんぶして、小栗鼠。
山のあなたを
山のむこうを
見わたせば、
あの山が恋しい、
里が恋しい。
山のむこうの
青空よ、
どうして入り日が
遠くにあるのだろう。
山のむこうの
ふるさとよ、
あの空が恋しい、
母さんが恋しい。
ねんねのお鳩
ねんねん、ほろろん、ねんほろよ。
坊やはよい子だ、おねんねしな。
ねんねのお鳩が歌ってあげよう。
泣かずに、ほろほろ、ほろりこよ。
坊やはお乳がなくて、母さんもいない。
雪はしんしん降り積もり、夜は長い。
ねんねんほろろと鳴いたところで、
どうして、お鳩よ、眠れようか。
赤い鳥小鳥
赤い鳥、小鳥、
なぜなぜ赤い。
赤い実を食べたから。
白い鳥、小鳥、
なぜなぜ白い。
白い実を食べたから。
青い鳥、小鳥、
なぜなぜ青い。
青い実を食べたから。
鳥の巣
あれ、あれ、なぁに。
あれは、鳥の巣だよ。
あの巣を取ろうか。
あの木は高い。
あの山に登ろう。
あの山は寒い。
なぜなぜ寒い。
夕焼けだから寒い。
まだ空は赤いのに。
それでも、風はさぁ寒いよ。
なつめ
棗(なつめ)。
棗。
赤い棗。
盗んだ棗。
この棗をどうしよう。
食べれば怖い、
見せれば叱られる、
捨てるのはもったいない。
インコにあげよう、
インコは逃げる。
カラスにあげよう、
カラスはにらむ。
七面鳥にあげたら、
怒った怒った、真っ赤になって怒った。
怖い棗、
盗んだ棗、
おててに入れて、
ふところに入れて、
帰って寝たら、
棗がぶんぶん鳴り出した。
蜂になった、蜂になった、
棗がたくさん刺しに来た。
怖い棗、
怖い棗。
うさうさ兎
てんてん手まり、
おててん手まり、
手まりの中に、
何がいて跳ねる。
てんてん手なし、
めんめん目なし、
みんみん耳なし、
うさうさ兎の子が跳ねる。
一人追い出そう。
二人追い出そう。
三人追い出そう。
四人追い出そう。
五人追い出そう。
六人追い出そう。
七人追い出そう。
八人追い出そう。
九人追い出そう。
手まりはてんてん、雪はこんこん、
遠いお山の山奥へ、
十、ついに追い出した。
屋根の風見
子を奪え、子を奪え、
「鴻の巣(こうのす)」の窓に、
ガラスが光る。
ロシアのサモワール(湯沸かし器)、紅茶の湯気に、
かっと光る。
江戸橋、荒布橋(あらふばし)、
青い灯りがともる……向こうの屋根に、
株(かぶ)の風見(かざみ)がくるくる回る。
晴れかな、曇りかな、みぞれかな、雪かな、
雲は明るいし、夕日は寒いし、
七歳のお店(店員)の長松(ながまつ)くんでさえも、
黒い前掛けをちょこっと締めて、
空を見上げてはまじめ顔、
まじめ顔。
(※「鴻の巣」とは西洋料理屋の名です)
かぜひき雀
草山を越えて、野原を越えて、
大きなお靴と小さなお帽子。
お家も見えたぞ、うんとこしょ、
大きなおじいさんがお靴を脱ぐと、
小さなおばあさんがお帽子を脱ぐと、
そろってクタクタ、ぐうぐうぐう。
空は赤い夕焼けで、
雀も帰ろうと、ふたり連れ、
よいもの見つけた、ちゅうちゅうちゅうちゅう、
婿(むこ)さん雀はお靴へそっと、
嫁(よめ)さん雀はお帽子へそっと、
そろってクタクタ、ぐうぐうぐう。
風が吹きます、月が出る、
白いそばの花の中、
あまりに寒くて目が覚めた。
おじいさん、おばあさんが「ハックッシュッ」と言えば、
お靴の中でも雀が「ハックッシュッ」、
お帽子の中でも「はぁはぁハックッシュッ」。
おやおや大変、風邪をひいた、
お山は雪で真っ白だ。
コメント