初級翻訳・ふしぎ国探検 第16話

ふしぎ国探検

冥王星は太陽系の九つの大きな遊星のうち、一番外側にある星です。
どうですか、東助君、ヒトミさん。
こうして太陽系を見わたした感じは……」
「すごいという外、いいようがありませんねえ」
「背中が寒くなりますわ。
広い大きな空間ですわねえ」
「おどろくことは、まだ早いです。
こんどは太陽系をはなれて、もっと外へでてみましょう」

宇宙のはてへ

「あの、ダイヤモンドをちりばめたようなきらきらした長い帯が、上から下へ、長くつづいていますね。
あれは何か知っていますね」
「知っています。
天の川です、銀河ともいいます」
「そうです。
銀河です。
銀河はどんなものか知っていますか」
「銀河は星の集っているところでしょう」
「それにちがいありませんが、どのくらい星が集っているか、分りますか」
「さあ。
ずいぶんたくさんのきらきらした星が輝いていますね。
ええと、一万――いや十万ぐらいかな」
「もっとたくさんよ。百万はあるでしょうねえ。
ねえ、ポーデル先生」
「もっともっとたくさんですよ。
およそ二千億もあるんです」
「二千億ですって!
まあ、びっくりしたわ」
「その一つひとつの星が、太陽と同じように自分で光っているのです。
つまり、二千億もの太陽が、あのように輝いているというわけですね」
「ふーん……。
そうすると、銀河というのはものすごく大きいものなのねえ」
「直径が十万光年もあるのですよ。
銀河の端から端までいくには、光と同じスピードで飛んでも、十万年はかかるというわけです」
「すごいなあ。
ぼくは銀河の大きさを想像するだけで、頭がおかしくなりそうだよ。
そして、あの光っている二千億個の太陽には、それぞれいくつかの星(遊星)がまわっているんだろうね。
そう考えてみると、ぼくたちの地球なんて、ほんとうにちっぽけなものだなあ」
 東助は深いため息をつきました。
「ポーデル先生。
銀河ではないところで光っている星は、いったいどういう星なのですか?」
「銀河から離れているように見える星でも、実は銀河系に属しているものがあります。
それとは別に、銀河系とはまったく違う星や星団もあるのですよ。
それがよく見えるように、銀河を離れてもっと遠くへ、この樽ロケットを飛ばしてみましょう。
そうすれば、銀河の本当の形がよく見えますよ」
 樽ロケットは、ますますものすごいスピードで、暗黒の大宇宙を飛んでいきました。
「東助君、ヒトミさん。
いまの地球の位置をしっかり覚えておいてくださいね。
太陽を見失わないようにするんですよ。
太陽系も実は銀河系の一つの星ですが、銀河のどのあたりにある星なのか、やがてよくわかるはずです」
 ポーデル博士がそう話しているあいだにも、樽ロケットは何百万光年という空間を一気に突き進みました。
すると、あんなに大きかった銀河の帯がどんどん縮まっていき、まるで大きなお皿のような、平べったい形になって見えてきました。
「ほら、わかったでしょう。
銀河というのは、星が円盤のように集まってできているものなのです。
それから、みんなにとって懐かしい太陽系は、銀河のずっと端っこに近いところにあるのが見えるでしょう」
 言われてみればその通りで、銀河をお皿にたとえるなら、ちょうどお皿のふちのほうに位置しています。
「あらあら、銀河ってまわっているのね!」
 ヒトミが目を丸くして言いました。
「その通りです。
お皿の形をした銀河は、まるで皿を回すように、ぐるぐると回転しているのですよ。
真ん中の部分は星がたくさん集まっていて、少しふっくらして見えるでしょう」
「ほんとうだ、そうねえ」
「ぼくたちの太陽も、銀河といっしょにぐるぐる回っているんだね」
「そうです。
だから太陽も、銀河系の一員にちがいないのです。
太陽が銀河のまわりを一周して、元のところに戻ってくるには、なんと二億二千万年もかかるのですよ」
「気の遠くなるような長い年月ねえ……。
人間の人生なんてたった五十年なのに、それに比べたらなんと長い時間なんでしょう!」
「では、この大宇宙が誕生してから、いったい何年たったか知っていますか?」
「いいえ……」
「きっと、無限に長い時間が流れているんじゃないかしら」
「実は、無限大というわけではないのです。
およそ二十億年がたっていることがわかっていますよ」
「二十億年ですって!
大宇宙にも年齢があるなんて初めて知ったけれど、とってもおもしろいわね」
「ポーデル先生。
もし大宇宙が二十億年という年齢をとっているなら、大宇宙が生まれたばかりの赤ちゃんのときと、今の姿とでは、どう違うのかしら?」
「ほう、そこをつくとはおもしろい質問ですね。
では、時間メカ(タイムマシン)を動かして、二十億年前の大昔へ戻してみましょう。
そして、そこから今の時代へと時間メカを一気に走らせてみましょう。
それを私たちの目で、たった一分間で見られるように機械のめもりを合わせておきますよ。
いいですか、よく見ていてくださいね」
 博士が時間メカを操作してスイッチを入れると、窓の外は一瞬で真っ暗闇になりました。
いや、ただの暗黒ではありません。
そのまん中に、ぽつんと一つだけ激しく輝くものがありました。
それが、急にふくらみ始めたのです。
まるで花火が爆発したかのように、無数の光の粒が四方八方へと広がりはじめました。
どんどん、どんどん広がっていきます。
しかし、よく見ていると、スピードの速いものもあれば、遅いものもあります。
動きの速いものは光がうすくて小さな粒ですが、大きなかたまりのほうは、ゆっくりと飛んでいます。
「一分間たちますよ。
はーい、ちょうど一分たちました。
さっきの、私たちがいた現代の時代にもどったのです。
見てわかりましたね? 星というものは二十億年の昔、すべてが一つの巨大なかたまりだったということが。
それが大爆発を起こして、四方八方へと飛び散っていったこともわかったでしょう。
私たちの銀河系もそのうちの一つですが、わりあいとのんびり、ゆっくりと飛んでいるのですよ。
このような銀河系のような星雲は、この宇宙にはすくなくとも一億個は数えられるのです」
「宇宙って、なんて広くてすごいんだろう……!」
「大宇宙は、今この瞬間も、外へ外へむかってどんどん広がり続けています。
いったいどこまで広がっていくのか、その果ては誰にもわからないのですよ」
「そんなに広がっていって、大宇宙は最後にはどうなってしまうのかしら?」
「それは、まだ人類にとって解けない謎ですね。
あははは、この私にもそこまではわかりません!」
 ポーデル博士は、いつになくさっぱりと「わかりません」と言って、そこで参ったとばかりに頭をかいたのでした。

海底国めざして

 すっかり空が晴れわたりました。
五月の空を、色鮮やかな鯉のぼりが屋根の上でいきおいよく泳いでいます。すがすがしい気分で、急にのびてきた雑草を分けて原っぱのまん中をいく二人は、みなさんよくごぞんじの東助とヒトミだった。
「あ、あそこにポーデル先生がでていらっしゃるわ」
 ヒトミが早くも気がついた。

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