初級翻訳・アヒルサン ト オネコサン 第1話

アヒルサン ト オネコサン

春になったので、アヒルサンのお母さんは、アヒルサンに新しい洋服を買ってあげたいと思いました。
 そこで、洋服屋さんに頼んで、真っ赤な洋服を作ってもらいました。
「アヒルちゃんや、ちょっとこれを着てごらん。とってもよく似合うよ。
まあ、なんてかわいいアヒルちゃんになったんだろう!」と、お母さんは目を丸くして大喜びしました。
 けれど、アヒルサンのお顔を見てごらんなさい。
 ほっぺたをプクッとふくらませ、鼻をフンフンとならし、今にも泣き出しそうな顔をしています。
「お母さん、私、こんな洋服は大嫌い! 絶対に着ない!」と言いました。
 お母さんはとても困ってしまいました。アヒルサンも困ってしまいました。
 なぜかというと、アヒルサンは赤いものなら、どんなものでも大嫌いだったからです。
 それでもしかたがないので、その洋服を着て、小さくなりながら学校へ出かけました。
「ヤーイ、赤金魚がやってきたぞ!」と、一番はじめにからかったのはオネコサンでした。
 オネコサンは、アヒルサンの赤い洋服がうらやましくてたまりませんでした。
 なぜかというと、オネコサンは赤いものなら、どんなものでも大好きだったからです。
 アヒルサンは、恥ずかしくて「地面に穴があったら入りたい!」と思いました。
 それでも、じっとがまんしました。
 ある日、アヒルサンが風邪をひいて学校を休んでいると、オネコサンがやってきて言いました。
「赤金魚さん、お体は是怎么(いかが)ですか?」
 アヒルサンは、顔を真っ赤にして言いました。
「オネコサン、私は風邪をひいて、真っ白な寝間着を着て寝ていますよ。」
「まあ、それはいけませんねえ。それはそうと、あなたはその赤い洋服がちっとも似合っていませんねえ。あの洋服を私に貸してください。あなたには私の洋服を貸してあげますから。」と、オネコサンは赤だらけの洋服を出してきました。
 アヒルサンは大喜びで、自分の赤い洋服と取り替えっこしました。
 けれども、オネコサンは似合ってもいない洋服を着て得意顔ですし、アヒルサンは赤だらけのくさい洋服を着て大喜びしているものですから、だれでも二人の姿を見ると、笑ったり鼻をつまんだりしました。
 とうとう、親切なネズミサンが、こっそりアヒルサンに言いました。
「アヒルサン、あなたの洋服は、一度お洗濯したらどうですか?」
 すると、気が利くおイヌサンが、オネコサンの耳のところで言いました。
「あなたのその洋服、青色にでも染め直してみてはいかがでしょう?」
 けれど、アヒルサンとオネコサンは心の中でこう思いました。
「なんて、いやなおせっかいなんだろう!」と。
 これには、私も本当に困ってしまいました。

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