初級翻訳・北守将軍と三人兄弟の医者 第4話

北守将軍と三人兄弟の医者

そこへバーユー将軍は馬から降りて、ゆっくりとポー先生の前へ行きました。
さっきの弟子が先回りしてすっかり話をしていたらしく、ポー先生は薬の箱と大きな赤い団扇を持って、とても丁寧に待っていました。
ソン将軍は手を挙げて「これじゃ」と自分の顔を指差しました。
ポー先生は黄色い粉を薬の箱から取り出し、ソン将軍の顔から肩へ、もういっぱい振りかけました。そして、例の団扇を持って、バタバタバタバタと扇ぎ出しました。
するとたちまち、将軍の顔中の毛は真っ赤に変わり、みんなフワフワと飛び出して、見ているうちに将軍の顔はすっかりツルツルになりました。
実にこのとき、将軍は三十年ぶりにサッパリした気分になりました。
「それでは、これで行きますぞ。体も軽くなったでな」将軍はもう嬉しくて、疾風のように部屋を出ました。表の馬に飛び乗ると、馬はたちまち病院の大きな門の外へ飛び出しました。
あとから弟子が六人、兵隊たちの顔から生えた灰色い毛を取るために、薬の袋と団扇を持ってソン将軍を追いかけました。

六、北守将軍|仙人となる

さて、ソンバーユー将軍はポー先生の玄関を光のように飛び出し、隣のリンプー病院を疾風のごとく通り過ぎ、次のリンパー病院を横目で見ながら、もう一散にさっきの坂を駆け下りました。
馬は五倍も速いので、もう向こうには兵隊たちが休んでいるのが見えてきました。
兵隊たちは心配そうにこちらを見ていたのですが、思わず歓声を上げ、みんな一緒に立ち上がりました。
そのとき、お宮の方からはさっきの使いの軍師の長が一目散に駆けつけてきました。
「ああ、王様はすっかりお分かりになりました。あなたのことをお聞きになって、お涙さえ浮かべられ、お出でをお待ちでございます」
そこへさっきの弟子たちが、薬を持ってやってきました。
兵隊たちは喜んで、粉を振ってはバタバタと扇ぎました。
そこで九万の軍隊は、もう輪郭もはっきりしました。
将軍は高く号令しました。
「馬にまたがり、気をつけ!」
みんなが馬にまたがれば、まもなくそこらはシーンと静まり返り、たった二匹の遅れた馬が鼻をブルッと鳴らしただけでした。
「前へ進め!」太鼓も銅鑼も鳴り出して、軍は粛々と行進しました。
やがて九万の兵隊は、お宮の前の一里の庭に縦横ちょうど三百人、四角な陣をこしらえました。
ソン将軍は馬を降り、静かに壇を登っていって床に額をすりつけました。
王は静かにこう言いました。
「実に永らくご苦労だった。これからはもうここに居て、大将たちの大将として、なお忠勤を励んでくれ」
北守将軍ソンバーユーは涙を流してお答えしました。
「お言葉まことに恐れ多くて、何とお答えしていいか、急には言葉も出ませぬ。とは言え、今や私は生きた骨とも言うような、役に立たずでございます」砂漠の中にいた間、どこから敵が見ているか分からず、なめられてはならないと考えて、いつでもキリッと胸を張り、目を大きく見開いていました。ところが今、王様のお前に出てお褒めの言葉をいただくと、急に目も見えなくなってしまうほどでした。
背骨もすっかり曲がってしまいました。
どうかこれで暇をいただき、故郷へ帰らせてください。」
「それでは誰かお前の代わりに、大将五人の名前を挙げよ。」
そこでバーユー将軍は、大将四人の名前を挙げました。
そして残りの一人の代わりに、リン兄弟の三人をお国の医者としてお願いしました。
王様はすぐに許してくださったので、その場でバーユー将軍は、鎧も兜も脱ぎ捨てて、カサカサした薄い麻の服に着替えました。
そして自分の生まれた村の、ス山の麓へ帰っていって、粟を少し蒔いたりしました。
それから粟の間引きもしました。
けれどもそのうち将軍は、だんだん物を食べなくなって、せっかく自分で蒔いた粟も一口食べただけで、あとは水をガブガブ飲んでいました。
ところが秋の終わりになると、水もさっぱり飲まなくなって、ときどき空を見上げては、何やらしゃっくりをするような変な格好をたびたびしました。
そのうちいつの間にか、将軍はどこにも姿が見えなくなりました。
そこでみんなは、将軍さまはもう仙人になったと言って、ス山の頂上に小さなお堂を建て、あの白馬を神聖な馬としてお祭りし、アカシアや粟をお供えしたり、麻の旗を立てたりしました。
けれどもこのとき国一番の医者になった、例のリンパー先生は、会う人ごとにこう言いました。
「どうして、バーユー将軍が、雲だけ食べて生きていたはずがない。
私はバーユー将軍の体をよく診て知っている。
肺と胃の腑は同じではないのだ。
きっとどこかの林の中に、お骨があるに違いない。」
なるほどそうかもしれないと思った人も、たくさんいました。

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