初級翻訳・北極のアムンセン 第5話

北極のアムンセン

まずは私が、ノルウェー国王と王妃から探検隊に賜ったノルウェー国旗を、窓から北極点へと投下しました。
次にエルズワース君が、アメリカ大統領から与えられた国旗を投下し、最後にノビレ大佐が、イタリア国王から賜った国旗を投下しました。
隊員一同は黙祷を捧げました。
北極の氷上に記念として置かれた三ヶ国の国旗。それを眺めて、一同は感激の極みにありました。
この感激は言葉では言い尽くせません。
一生涯忘れられない、厳粛で尊い気持ちです。
沈黙のうちに、ノルゲ号は静かに北極点の上を三回旋回しました。

五 上空遠征

アムンセンは北極を征服しました。
彼は今、北極の頂上にいます。
地球上のどこを向いても、すべてが南だという不思議な地点です。
さて、アムンセン自身が書いた記事の続きを見ていきましょう。

感激と沈黙の数分間が過ぎて、私たちはまた新たな緊張を心に覚えました。
そうだ、私たちが今まで飛んできた場所は、だいたい人に知られている所です。
しかし、これから飛ぼうとしている場所、北極とアラスカとの間こそは、まだ誰一人見たことのない謎の世界なのです。
私たちの前には、まだその未知の空路が残っています。
私たちはそこを確実に探検して、人類の知識を広めるために貢献しなければならないのです。
太陽は大氷原の上を照らしています。
空は青く、雲は薄い。
隊員一同は、互いに固く手を握り合いました。
北極点にある三ヶ国の国旗をじっと眺めました。
ノルゲ号は再び空高く舞い上がります。
エンジンが再び力強く動き出しました。
キングス・ベイを出発して以来、ノルゲ号は初めて船首を南に向けたのでした。そして私たちは、アラスカの最北端であるバロー岬を目指して進みました。
どこまで行っても陸地は見当たらず、景色は少しも変わりません。
裂け目のある広大な氷原の様子は今までと同じで、太陽の光を浴びてキラキラと輝いています。
気が遠くなるほど単調な風景ですが、その眺めはどこまでも雄大です。
無線の機械は故障することなく、しっかりと働いていました。
各方面から気象情報や、現在地の方角を示す報告が届きます。
新聞記者のラム君は、北極点で行った私たちの儀式や、刻々と変わる印象について、世界各国の主要な新聞社へ通信を送りました。
無線通信と気象の状態を知ることは、探検隊にとって何よりも重要なことなのです。
この二つが非常に良好だったので、実際に大きな心配の種というものはありませんでした。
美しい空には、ちぎれ雲が浮かんでいます。
大気は静まり返り、風もありません。
ノルゲ号は高度四百メートルを保ち、時速八十キロの速さで進んでいきます。

十二日の朝、隊員のうち数名は、飛行船の狭い廊下に横たわり、少し眠ろうとしました。
出発以来、一睡もせずに働き続けていたので、ひどく疲れていたのです。
ところが、凍りつくような寒さと、エンジンの響き、そして寝場所の狭さのせいで、どんなに焦っても眠ることはできませんでした。
しまいには諦めて、なんとも切なそうな顔をして起き上がってくる彼らの様子は、可哀そうでもあり、少しおかしくもありました。

十二日の午前七時頃、私たちは「氷の北極」を通過しました。
ここは北緯八十八度、西経百八十七度の地点で、北極地帯の大氷原の中心にあたるため、そう呼ばれているのです。
このあたりには、削り立ったような氷の塊が重なり合っていて、見るからに恐ろしく、飛行機か飛行船でなければ近づくことすら難しい場所です。

この氷の北極を通り過ぎた後、私たちは思わぬ危険に遭遇しました。
午前八時頃、前方に深い霧が見え、いよいよその中に突入したとき、私たちは高度を上げて霧を避けようとしました。
しばらくの間、虹のような美しい七色に染まった霧の上に、ノルゲ号の大きな影がぼんやりと浮かび上がっているのが見え、まるで絵のような光景でした。
しかし、それも束の間、霧は次第に濃くなっていきました。
その頃、無線に故障が発生し、外部からの気象情報を受け取ることができなくなりました。
外部との連絡が絶たれると、私たちは泣きたいほどの不安に襲われました。
そして何よりもまず、故障を直そうと懸命に努力しました。
故障の原因は、一つは空中電気の影響であり、もう一つは、ノルゲ号から垂れ下がっているアンテナに氷が張り付いたためでした。
私たちはアンテナを巻き上げて掃除をし、発電機の手入れも行いました。
それでも状況は変わらず、アメリカ政府が指定してくれた波長に合わせてアラスカ各地の無線局を何度も呼び出してみましたが、何の応答もありません。

私たちはノルゲ号を前進させながら、徐々に高度を上げ、八百メートルにしました。
そして不安を抱えながらも、氷原の観察を続けました。
濃い霧の隙間から下を覗いてみましたが、やはり陸地はその辺りには全くありません。
困難は一時間ごとに増していきました。
厚い黒雲が空を覆って日光を遮り、太陽コンパスももう役に立ちません。
頼れるのは、ただ地磁気コンパスだけでした。
夕方になると、頭上には厚い雲が重なり、足元には濃い霧が渦巻いています。
高く飛ぶべきか、低く飛ぶべきか、まずはそれを決めなければなりません。
私たちはまず低空飛行を試みました。すると、下では雪が激しく降っています。
そこで高く飛んでみましたが、今度は新たな危険に直面しました。
この北極横断飛行で最も心配されていたのは、巨大なガス気嚢の表面に氷の層ができないかということでしたが、案の定、今その氷の層がものすごい勢いででき始めていたのです。
もしこのままにしておけば、飛行船の重さはたちまち数トンも増えてしまうに違いありません。
私たちはゾッとして、途方に暮れてしまいました。

機関長のノビレ大佐は、どうすればよいかと気象担当のマルムグレン博士に尋ねました。
「慌てることはありません」と、マルムグレン博士は静かに一同をなだめました。
そして彼はすぐさま、ノルゲ号の高度を様々に変えながら、船体につく霜の量を系統立てて観察し始めました。
その落ち着いた自信のある態度を見て、私たちも次第に冷静さを取り戻していきました。
幾度もの詳しい観測の末、マルムグレン博士はついに最も安全な飛行高度を決定しました。
それは、思い切って高く飛ぶという結論でした。
果たしてその判断は的中しました。
高度が高くなればなるほど霧が少なくなり、船体につく霜も減っていったのです。
氷海に近いほど気温が低かったのですね。
こうしてホッと一息ついたものの、難航はさらに続きました。
私たちは大きな雲に突き当たり、その上に出ようとしましたが、雲の層があまりに厚く、上に出るには膨大なガソリンを消費しなければならないため、ついに断念して雲の中を飛びました。
それ以上に、雲や霧や霜の危険よりも数倍恐ろしいことが、私たちの心を凍りつかせました。
ノルゲ号のプロペラや発動機に、氷がつき始めていたのです。その氷が、回転するプロペラの勢いで細かな破片となり、船体を覆う布(ズック)に激しい音を立ててぶつかり、あちこちに穴をあけ始めました。

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