「おやまあ、それはいったいどうしたことだ?」
「そのお話を詳しく申し上げますと、こういうわけでございます」
子鶉は次のように話し始めました。
子鶉がとある畑に出て粟の落穂を拾っていたところ、どこからか一匹の狐がやってきて、こう言いました。
「鶉さん、鶉さん。お前は本当によく勉強して、お母さんに孝行していて実に感心なものだな。お前も毎日骨が折れるだろう。わしは幸い隠居の身で、たっぷり暇があるから、これからお前のお手伝いをしてあげようじゃないか」
それからというもの、狐は毎日毎日、一生懸命よく手伝いをしてくれました。
子鶉はそれを「珍しいこともあるものだ、親切だなあ」と思い、お母さん鶉にその話をしました。するとお母さん鶉は、
「狐というのは本当にずる賢い生き物だからね。油断していると、どんなひどい目に遭わされるか分かったものじゃないよ」と注意しましたが、子鶉はあまり気に留めていませんでした。
するとある時、子鶉が後ろを向いて熱心に虫をつついていたところを見計らい、狐は突然飛びかかってきて、鶉の尾っぽをガブリと噛みついてしまったのです。
子鶉は飛び上がるほどびっくりしましたが、っと思いついた機転を利かせて、なんとかうまく逃げ出そうと考えました。
そこで、わざと落ち着いたふりをしてこう言いました。
「狐さん、お前さんは私を殺して食べるつもりなんだね。そんな生き物の命を奪うようなむごい殺生をするものじゃないよ。……だが、そう言ったところで、お前さんは私を逃がしてはくれまい。よし! じゃあ私も、お母さんの言うことを聞かずに油断していた罰なのだとあきらめて、お前さんに食べられてあげよう。だけど、私には年老いたお母さんがいるんだ。私がこのままお前さんに食べられてしまったら、お母さんはさぞ悲しみ、困り果てることだろう。だから、命があるうちに一目お母さんに会って、ちょっと遺言を残しておきたいことがあるんだよ。どうか大きな声を出して、『鶉の母』と呼んでおくれよ。そうすればお母さんがやってくるからさ」
狐は、「声を出せば口を開けてしまうから、鶉に逃げられてしまうかもしれない」と考えました。そこで、口をぴったりと閉じたまま、くぐもった声で、
「う、鶉のウ……ウ……」
「だめだめ、もっと大きく叫ばなきゃ!」
「鶉の母!」
「しめた!」
子鶉がすかさずパッと飛び立ったので、狐は慌てて口をギュッと閉じましたが、歯と歯の間には尾っぽの羽だけが残り、子鶉は見事に空へ飛び立って逃げおおせたのです。
「ですから――」と、子鶉は悲しそうに言いました。
「私はご覧の通り、尾っぽの羽が一本もないのでございます」
王様はこのお話をお聴きになり、やおらお言葉を発せられました。「それでは私のお城のお庭に来て住みなさい。
そこには狐も狸も決して入れないことにする。
また、お前が飛ぶのも歩くのも自由にして、決して邪魔はさせない。
絶対に籠になんて入れないから――。だから私に、お前の生き生きとした美しい歌を歌って聞かせておくれ。
私はお前を、これから生まれてくるすべての尾無し鶉の先祖にしてやろうから」
そこで鶉は王様のお城に住むようになり、今に見るような、尾無しの鶉たちの先祖になったのでした。
初級翻訳・孝行鶉の話 第3話
孝行鶉の話
コメント