初級翻訳・少年探偵団 第36話

少年探偵団

明智はパッととびあがると、まるで弾丸のように、地下室を走りぬけ、階段を三段ずつ一とびにかけあがって、洋館の玄関にかけだしました。

ドアをひらくと、出あいがしらに、十数名の制服警官が、二十面相逮捕のために、いま屋内にはいろうとするところでした。

「いけないっ、賊は火薬に火をつけるのです。早くお逃げなさい。」

探偵は警官たちをつきとばすようにして、林の中へ走りこみました。あっけにとられた警官たちも、「火薬」ということばに、きもをつぶして、同じように林の中へ。

「みんな、建物をはなれろ! 爆発がおこるんだ。早く、逃げるんだ。」

建物の四ほうをとりまいていた警官隊は、そのただならぬさけび声に、みな丘のふもとへかけおりました。

どうして、そんなよゆうがあったのか、あとになって考えてみると、ふしぎなほどでした。二十面相はたるのふたをあけるのにてまどったのでしょうか。それともマッチがしめってでもいたのでしょうか。

ちょうど人々が危険区域から遠ざかったころ、やっと爆発がおこりました。それはまるで地震のような地ひびきでした。洋館ぜんたいが宙天にふっとんだかとうたがわれるほどの大音響でした。

でも、閉じていた目をおずおずとひらいてみると、賊のかくれがは、べつじょうなく目の前に立っていました。爆発はただ地下室から一階の床をつらぬいただけで、建物の外部には、なんの異状もないのでした。しかし、やがて、一階の窓から、黒い煙がモクモクと吹き出しはじめました。
そして、それがだんだん濃くなって、建物をつつみこむころには、まっ赤な炎が、まるで巨大な魔物の舌のように、どの窓からも、メラメラと燃えあがり、みるみるうちに建物全体が火の塊となってしまったのです。
こうして、怪人二十面相はさいごをとげたのでした。
火事がおさまってから、焼けあとの調べがおこなわれたのは言うまでもありません。
しかし、二十面相が言っていたとおり、肉も骨もこなごなに砕け散ってしまったのか、ふしぎなことに怪盗の死がいはもちろん、三人の部下の死がいも、まったく見つけることができなかったのです。

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