私は驚きながらも、喬介の興奮が落ち着くのを待って、この殺人事件の動機について尋ねてみました。
すると喬介は、重々しく言いました。
「多分、――復讐だよ」
と言って、それきり黙り込んでしまいました。
ちょうどその時、助役と機関庫主任が、先ほどよりもさらに興奮した様子で戻ってきました。
助役は喬介に向かって叫びました。
「私は、気が狂いそうです!――とにかく、運搬車に乗ってください。
たった今、N駅からの電報によれば、とっくの昔に着いているはず、いや、そこで恐ろしい衝突事故を起こしているはずの73号が、まだ到着していないそうです!……事故は、途中の線路上で起きたのです!」
そこで私たちは、早速二番線に置かれていた小さな無蓋の運搬車に乗り込みました。
やがて線路の上を、興奮を乗せた車体が風を切って走り出しました。
しかし、駅の西端にある大きなカーブの終わり近く、第二の遺体が警官によって見張られている地点まで来ると、喬介は急に立ち上がって車を止めさせました。
そして助役に向かって言いました。
「73号は、ここの渡り線を通って、下り一番線から下り本線へ移るはずだったのですか?」
「そうですとも。
そして、もちろんそうしたに違いありません」
すると喬介は笑いながら言いました。
「ところが73号は、この渡り線を通って本線へは移っていないのです!――この遺体の位置を見てください。
もしも73号がこの渡り線へ移っていたのなら、遠心力の法則が覆らない限り、遺体がカーブの内側、つまりこのポイントの西方へ放り出されることは絶対にあり得ないのです。
そして何よりもまず、こちらの一番線の延長線上を見てください。
ほら、渡り線とは違って、雪が積もっていないではありませんか!――とにかく駅長の仕業です。
ポイントの連動装置くらい、簡単に細工できますよ。
ところで、この先の線路はどうなっていますか?」
「車止めのある避難側線です。
――もっとも途中のポイントを切り替えれば、3マイル先の廃港へ続く臨港線につながっていますが」
「ふむ。
とにかく、行ってみましょう」
そこでポイントが切り替えられると、私たちを乗せた運搬車は再び走り出しました。
そして、雪の積もっていない線路を追いかけるようにして、もうひとつのポイントを切り替えた私たちは、ついに臨港線の赤錆びた65ポンド軌条の上へと滑り出しました。
風も静まり、うっすらと夜が明け始めた薄闇の中を、フルスピードで走り続けながら、落ち着いた調子で喬介は助役に言いました。
「これで、大体この事件も決着がつきました。
最後にひとつお尋ねしますが、駅長が片腕になられたのはいつ頃のことでしたか?」
「半年ほど前のことです。
――なんでもあれは、入れ換え作業を監督している際に、誤って機関車に巻き込まれたのです」
「ふむ。
では、その機関車の番号を覚えていらっしゃいますか?」
すると助役は首をかしげて、記憶を呼び起こそうとしていましたが、急にハッとなると、顔を引きつらせながら、低くかすれた声で呻くように言いました。
「ああ。
――2400形式・73号だ!」
それから数分後――
荒れ果てた廃港の、線路が続く突堤の先端に、朝の微光を背にして、じっと立ち尽くしていた私たちの目の前には、片腕の駅長の復讐を受けた73号を深々と飲み込んだドス黒い海が広がっていました。海面は機関車の断末魔の吐息に泡立ちながら、七色に輝く機械油を、あてもなく広々と漂わせていました。
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