銀の匙

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中 勘助

初級翻訳・銀の匙 第17話

ひらがなの「を」という字は、どこか女の人が座っている姿に似ています。私は小さな胸に、弱い体に、何か辛いことがあるときには、それらの「を」の字に慰めを求めていました。彼らはよくこちらの思いを察して、親切に慰めてくれたのです。こちらへ越してきて...
中 勘助

初級翻訳・銀の匙 第16話

彼は赤ら顔のために「猿面冠者(さるめんかじゃ)」とあだ名され、また長平という名によって「ちょっぺい」とも呼ばれている、伝法院前の魚屋の息子でした。それ以来、ちょっぺいはただ一人の知り合いになりましたが、こちらとしてはできることならちょっぺい...
中 勘助

初級翻訳・銀の匙 第15話

こりゃあ、すまないことをした」と言いながら地面へ下ろして、ハンカチで涙を拭いてくれました。あとで姉に聞くと、それは姉のクラスの担任の先生で、私をかわいがってくれたのだそうです。そして「これからあんなことをされても、泣いちゃいけないよ」と言わ...
中 勘助

初級翻訳・銀の匙 第14話

姉たちは「いいものが買ってもらえてうらやましい」と言いますが、そんなものは見たくもありません。お犬様の置物と、丑紅(うしべに)の牛のほかに、何もいらないのです。そうして外ではお国さんと遊び、家では伯母さんと木の実を分け合って遊んでいればそれ...
中 勘助

初級翻訳・銀の匙 第13話

水飴のほかに、当て物(くじ引き)や駄菓子なども持っているので、みんな我先にと赤や青の紙をめくってくじを引きます。親父さんは桶のなかに琥珀色に踊っている飴を、キュッキュッと引っ張り上げては、木箸の先でテラテラした坊主頭のような形を作ります。そ...
中 勘助

初級翻訳・銀の匙 第12話

庭へ曲がる角には竹矢来(たけやらい)で囲われた場所があり、鵞鳥(がちょう)が二羽飼われていて、それが怖くてたまりません。そっと通り抜けようとするたびに、恵比寿様の冠みたいな頭を突き出して「ガワガワ!」と追いかけてくるのです。やっとの思いでそ...
中 勘助

初級翻訳・銀の匙 第11話

――お国さんのお父様は阿波の藩士で、当時有名な志士だったということを、近頃になって初めて知りました。――伯母さんはいつのまにか、お国さんが体が弱くておとなしいことや、頭痛持ちであることまで聞き出し、これこそ最高の友達だと思ったのです。ある日...
中 勘助

初級翻訳・銀の匙 第10話

鼠の芸当が済むと、女は青と赤に染め分けた籠から一羽の鸚鵡(おうむ)を出して口まねをさせます。鸚鵡は手のひらへおとなしく乗って、女の言う通りにさまざまなことを言うのですが、機嫌の悪いときは冠毛(かんもう)を立ててギャアギャア鳴くばかりで、なん...
中 勘助

初級翻訳・銀の匙 第9話

巴旦杏の古い木があって、雲のように青白い花を咲かせましたが、それは私たち兄弟にとって何よりの楽しみで、烏がやってくるのを気にしては追い払いに行ったものです。大きな実が鈴なりになるので、枝がしなって地面についてしまいます。手の届くところは手で...
中 勘助

初級翻訳・銀の匙 第8話

伯母さんは百人一首の歌をすべて暗記していて、床に入ってから、独特のもの寂しい節をつけて、一晩に一首か二首ずつ、根気よく私に覚えさせました。伯母さんが「たちわかれ」と言う。私が「たちわかれ」とあとをつく。「いなばのやまの」「いなばのやまの」「...
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