神州天馬侠

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吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第179話

嘆かわしいが、天の巡り合わせというもの、まことにどうしようもないことよ」と、空を仰いでそう言いました。(ああ、悠長な……)小文治が言葉を挟もうとすると、そこをまた遮って、「伊那丸君にもよく伝言をしておいてくれよ。よいか、ますます自重するよう...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第178話

「俺が早駆けに勝ったところで、今日の勝負は五分五分だ」と、燕作はすっかりやる気を失ってしまいました。と――下の方から、巽小文治が息を切らしながら登ってくる姿が見え始めました。「ええい、来やがった」燕作は先に着いていながら、まごまごしてしまい...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第177話

一方、急いで駆け抜けていった小文治は、やがて道が狭まるにつれて、樹木や蔓草(つるくさ)に馬の足が邪魔をされ、次第に立場が悪くなってきました。 この早駆け勝負の前に、奉行の方から「騎乗は自由」と言われていたので、当然、馬で通れる道だと考えてい...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第176話

――とすれば、同時に遠矢の勝敗も歴然と分明いたすことになる」二名案でした。それはよかろうということで、すぐさま紛糾は解決しましたが、ここにまた番組変更のやむなき事態が起きました。そこへ徳川家の侍が飛んできて、「例の老女修道者でございますが、...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第175話

それにも飽き足らず、最後に、まるで喉笛でも締め付けられたかのように、竹童の体を抱えていた蚕婆(かいこばば)が手を離すと、竹童はグッタリと地上にうつ伏せに倒れてしまいました。「ふん……」とせせら笑いながら、「婆、こっちへ入っていろ」一方の幕を...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第174話

耳を聾せんばかりのどよめきが、土用波のように見物人たちを揺り動かした。何かを罵るような声、嘲笑するような怒号が、嵐のように彼を取り巻いた。「遠矢一本試合、徳川家・加賀爪伝内殿が的を射抜いたり!」鐘巻一火が、検証の床几から叫んだ。意外な結果で...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第173話

半助の姿はますます加速していき、ついには小姓たちの目にも、遠くから眺めている人々にも、それが半助なのか、一枚の黒い布がつむじ風で回っているのか、ほとんど目にも留まらないほど迅速になりました。そして、すべての者の視線が奪われている間に、今まで...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第172話

ご本名を記していただかないことには、諸侯の控え所へ伝令を出すこともできませんし、奉行としても役目上、試合を命じるわけにはまいりませぬ」「どうしよう、忍剣(にんけん)」と、龍太郎は、隣にいる忍剣に相談を持ちかけました。「そうだな。我々はどんな...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第171話

一同を眺めると、ニコニコとして迎えながら、「失礼だが、お祝いに一献まいろう」と、忍剣へ茶碗を持たせて、酒の入っているらしい壺を取りあげました。「や、これはかたじけないが、自分は見ての通り僧形の身、幼少から酒の味を知ったことがない。兄貴、かわ...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第170話

それを浜松城へ突き出す罪人などとはとんでもない誤解、どうかその婦人は我らの方へ引き渡してほしい」(こやつ、狂人に違いない)石見守は相手にせず、一火に向かって言いました。「いい加減にせよ、こうして手間取っていては、肝心の試合の進行が遅れるばか...
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