神州天馬侠

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吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第9話

もしご存じなら、どうか教えてほしい」「伊那丸さまは、お坊さまと一緒に斬り込んできたあの六部の方が、ものすごい早業でどこかへ連れ去ってしまいました。あの六部が善人なのか悪人なのか、わたくしにも分かりません。それをあなたにお知らせしたくて、夜が...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第8話

どれ、俺はこれから夜明けまでに、お行き先を見つけ出して、お望みの場所までお供をするとしよう」「この痴れものが!」忍剣は心の底から腹が立って、ふたたび鉄杖(てつじょう)をぎゅっと握りしめたとき、はるか裾野の向こうに、ただならぬ光を見つけました...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第7話

それとも、あまりにも伊那丸さまの姿を血眼になって探しているせいで、気のせいなのだろうか……」忍剣がひとりでぶつぶつとつぶやいていると、その鼻先へスーッと薄紫色の煙が流れてきました。「おや……」とヒョイと振り返ってみると、すぐ自分の後ろに、真...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第6話

そのせいで留守になった「二の洞門」の入り口から、脱兎(だっと)のごとく飛び出した影があった!ひとりは黒装束の覆面姿、そしてその後にぴったりと従っていたのは、伊那丸にほかならなかった。「何者だっ!」「一の洞門」では、早くもその足音を察知して、...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第5話

お前たちは名もない雑魚(ざこ)のくせに、呼び捨てにしたり縄目にかけたりするなんて、なんと情けない、けっして無礼なふるまいをしてはなりませんよ」「へえ……」と、男たちはその凛とした声に縮み上がりました。「わたしはこの辺りの道によく慣れているか...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第4話

さっと湖の中心には水けむりが上がりました。その一瞬のうちに、舟も、忍剣も、宝物の入った石櫃も、たちまち湖の波の中にその姿を深く沈めてしまったのです。「ややっ!」驚きのあまり我を忘れて、伊那丸が湖の岸辺まで駆け出したのは、まさにその時でした。...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第3話

忍剣は鉄杖を縦横無尽に振り回して、やっとの思いで黒ふんどしの黒具足組を追い散らしましたが、ふと気がつくと、伊那丸を隠してきた場所からだいぶ離れてしまっていました。急いで元の場所へと駆け戻ってみると、なんと、呼子笛を吹いていた部将が抜き身の刀...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第2話

しかし、長老の快川国師は、故信玄の恩にかんじて、断乎として、織田の要求をつっぱねたうえに、ひそかに三人を逃がしてしまった。織田の間者は、夜となく昼となく、恵林寺の内外をうかがっていた。ところが、はからずも、勝頼の末子伊那丸が、まだ快川のふと...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第1話

序 私はもともと、子ども向けのお話を書くのが大好きだ。大人の世界にあるような、めんどくさいルールや考え方にとらわれなくてすむからだ。子ども向けのお話を書いている間は、自分自身もすっかり子どものころに戻って、少年の気持ちそのものになりきってし...
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