吉川 英治

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吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第169話

近くの控え所に詰めていた典医(お抱えの医師)たちは、何が何だか分からないまま、しきりに呼ばれる声に薬箱を抱えて人だかりの中へと駆けつけました。しかし、その典医たちが到着するよりも早く、鐘巻一火が門下の壮士一隊を従えてそこへ飛び込んでいきまし...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第168話

それどころか、広い試合場の地面や人々の顔の上を、その巨大な影が太陽を遮るたびに通り魔のように横切っていたことさえ、全く知らずにいたのでした。地上の人間が、ただ「あれよあれよ」と泡のように沸き立ち、どうしていいか分からず右往左往しているのに対...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第167話

小幡民部は相変わらず表情一つ変えずに眺めており、伊那丸も冷静そのものでしたが、騒がしいのは竹童です。「強いなあ、才蔵さまは本当に強い。あれは福島市松の家来で、おいらはあのおじさんを知っているんだ! あの人と話したこともあるんだぞ!」と、一人...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第166話

天目山や仙元峠などから一目で見通されるような縄張りはせぬ!」鼻かけ卜斎は、流れるような弁舌でとうとうと一気にまくしたてました。卜斎の素性を知らず、彼をただの鏃(やじり)鍛冶だとばかり思っていた大久保長安の家来たちは、あまりの雄弁さに少し呆気...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第165話

これが待ちに待った三番太鼓だと知ると、御岳広前の紅葉の間に真っ黒にうずくまっていた数万の群衆が一斉に「ワーッ」と声を上げました。しかし、さすがは霊山の神前、それも厳粛きわまる武神武人の大行事です。おのずと人の襟を正させ、一瞬の後には、まるで...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第164話

しかし、築城家のほうはどうだろうかと鼻かけ卜斎が目を凝らし、呂宋兵衛は法術部を気にし、菊池半助が同じように忍法部の試合相手の名を眺めているのは、当然の人情というものでした。その忍法部に署名されているのは――百地流  霧隠才蔵(浪人)魔風流 ...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第163話

ほんとに瓜二つじゃ、あんなによく似た子供が、どうしてわしの子でないのかしら」「いやいや、子どもの顔はすぐに変わるもの。似ているというものは、あまりあてになりませんよ」「でも、なんだか、あのふたりのどちらかは、わしの子にちがいないような気がし...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第162話

「おやっ、あの子は」お時は、手の内から玉を奪われたように呆然として失望しましたが、その目の前に、すぐまた同じような少年が一人、月ノ宮の境内から勢いよく駆け出してきました。「――蛾次だ!」石の狛犬のそばに立って、背伸びをしながら、逃げた者の後...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第161話

見物客にまじってふらりとやってきた三人は、結局のところ、木の下にござでも敷いて一晩明かすほかなさそうでした。三 登山口の手前にある御岳の宿場町も、明日から三日間続く山上の盛大な催しを見ようと、諸国や近郷からやってきた人々で埋め尽くされていま...
吉川 英治

初級翻訳・神州天馬侠 第160話

しかし、後の大軍師・幸村も、この時はまだ才蔵よりも大九郎よりも後輩であり、上田城主・昌幸の子とはいえ人質という身分なので、何をするにも肩身が狭い思いをしていました。 大九郎は大酒飲みで、道中も時折、源次郎に世話を焼かせて手を焼かせました。 ...
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