坂口 安吾

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吹雪物語

初級翻訳・吹雪物語 第6話

忘れ去られた村や、そこに沈んでいく夕日を愛したのです。野々宮が好むような「低い山」を歩く趣味は、やがて「候鳥(こうちょう)」というクラブの趣味となっていきました。彼の意図とは裏腹に、クラブは自然と彼を中心に活気づいていったのです。やがて会の...
吹雪物語

初級翻訳・吹雪物語 第5話

まずそのほかに頼れるものはないではないか。すべてはそれから後のことだ、と。そんなある日のことだった。二人は横浜の海岸通りを歩いていた。「死んでしまう」と女が言った。「いま。一緒に死んでくれなんて、今更いやがらせみたいなことは言わないわ。あな...
吹雪物語

初級翻訳・吹雪物語 第4話

さて、僕に会う気になってみたら、娑婆気(俗世への未練)が出たというわけか、心中もひとつの心なら、生きることもひとつの心で(彼はそういう表現を用いたのです)心中も、その日の汽船と同じように諦める方が自然らしい。そのうえ女と別れる方が、なお自然...
吹雪物語

初級翻訳・吹雪物語 第3話

彼らは愛情のさなかにあっても、貪欲に裸の心を探り合い、己の理知のうるささに、むしろ当惑するのだった。そんな恋の中にいると、まるで試験台に寝かされて、手術を受けているような恐怖が消えないこともあった。澄江もまた、同じ思いをしているだろうと彼は...
吹雪物語

初級翻訳・吹雪物語 第2話

環境さえ変えてしまえば、それだけで道は開けるという理屈を、今でも信じているんですよ。そうして、あちこち流れてきたのです。自分の思い通りに仕事を動かしたり、世の中を変えようとするのではなく、仕事の通りに自分を変えて、順応しようというわけですね...
吹雪物語

初級翻訳・吹雪物語 第1話

一 一九三×年のことである。新潟の街もずいぶん変わった。かつて雪国の気候には、どこか陰気な影があった。真夏の明るい空の下であっても、道や建物、行き交う人々の表情のどこかに、言いようのない疲れや沈んだ空気が潜んでいたものだ。しかし今、そうした...
中村地平著「長耳国漂流記」

初級翻訳・中村地平著「長耳国漂流記」 第1話

ここには、歴史的な事実というものがあって、作家が「お、これをつくってみたい!」と創作の火をつけられる場合がある。しかし、それをいざ「どう書くべきか」と考え出すと、そんな熱い気持ちと同時に、すぐにはすんなりとかたちにできない難しさがあるものだ...
不思議な機構

初級翻訳・不思議な機構 第1話

不思議な機構坂口安吾徳川夢声さんが、エッセイの中で「馬車物語」(新東宝)の撮影のために伊豆へロケに行ったときのことを書いておられます。昼も夜も、ひたすら宴会が続きます。そして、たまに撮影があります。夕方五時になると、「お時間です」と言って、...
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