太宰 治

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太宰 治

初級翻訳・火の鳥 第7話

君は、一度はそこまで突き進んでしまう人なんだ。そこを通り抜けなければいけない運命の人なんだよ。君の愛情には、底がないからね。いや、豊かな感性と言うべきかな。それは本当にすごいことなんだ。僕はふだん、どんな女の人に対しても適当なあいさつをして...
太宰 治

初級翻訳・火の鳥 第6話

おれの直感に狂いはない。畜生め。おれにだって誇りはあるんだ。おれは、地べたに落ちた柿なんか食いたくはないんだよ」青年は、陰鬱な気分に耐えかねていた。☆さちよは、ふたたび汽車に乗った。須々木乙彦のことが新聞に出て、さちよもその情婦として写真ま...
太宰 治

初級翻訳・火の鳥 第5話

僕は責任を持って、あなたを連れて帰ると約束したんですから。須々木さんのためにも、しっかりしていてください。僕は、乙やんのことを信じています。どんなことがあったって、僕は乙やんの味方です。それじゃあ、またそのうち来ます」「どうも、今日はありが...
太宰 治

初級翻訳・火の鳥 第4話

あなたは体もまだすっかり良くなったわけじゃないから、僕が責任を持って、あなたを連れて帰るって約束したんだ」「すみません……」さちよは、消え入りそうな小さな声で、もう一度謝りました。「いいえ、気にしないで。僕のことはどうでもいいんだけどね」青...
太宰 治

初級翻訳・火の鳥 第3話

こうして、さちよはたった一人きりになってしまいました。お父さんの実家の人たちが、さちよの身の回りの世話や、お家の財産を管理してくれることになりました。女学校の寮を出て、もう一度お父さんの実家に戻ったとき、さちよの雰囲気はガラリと変わっていま...
太宰 治

初級翻訳・火の鳥 第2話

人間なんて、そんなにたくさんのことを、あれもこれも器用にこなせるわけじゃない。我慢して、我慢して、謙虚に真面目に生きていきさえすれば、この世は悪い人ばかりじゃない(渡る世間に鬼はない)んだ。そのことを、ちゃんと信じて生きていくんだよ」「今日...
太宰 治

初級翻訳・火の鳥 第1話

この物語は、女優・高野幸代がその道へ進む前の、ある出来事から始まります。昔のお話です。須々木乙彦(すずき おとひこ)という男が古着屋に入ってきて、「黒の無地の羽織(はおり)はないか」と店主に聞きました。「セル生地のものなら、ございますよ」昭...
メリイクリスマス

初級翻訳・メリイクリスマス 第3話

「陣場さん!」と私は大きな声で部屋に向かって呼びかけた。はあい、と確かに返事が聞こえてきた。続いて、ドアのすりガラスの向こうで何かの影が動いた。「おっ、いる、いるぞ。」と私は言った。すると娘は棒のように立ち尽くし、顔からすーっと血の気が引き...
メリイクリスマス

初級翻訳・メリイクリスマス 第2話

以上の四つが、なぜその人が私にとって、例の「唯一の人」であるのかという質問の答えなのだが、じゃあそれって、お前たち二人の恋愛そのものの形だったんじゃないのかと問いつめられたなら、私はマヌケ面をして「そうかもしれないなあ」と答えるよりほかない...
メリイクリスマス

初級翻訳・メリイクリスマス 第1話

東京は、どこか哀しげな活気に包まれている――最初の書き出しの一行には、そんなふうに書くことになるんじゃないかと思いながら東京に戻ってきたというのに、いざ自分の目で見てみると、何の変哲もない、いつもの「東京の暮らし」がそこには広がっていた。そ...
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