宮本 百合子

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宮本 百合子

初級翻訳・電車の見えない電車通り 第2話

昨日まで、この車両には大浦さんという女性車掌が乗務していて、例えば先ほどのような曲がり角に来たときは、敏捷な動きで手を突き出しながら「左オーライ!」と合図を送っていたのです。自分の車を捨て、自分の名前が書かれたそのニッケル色の光る箱を捨て、...
宮本 百合子

初級翻訳・電車の見えない電車通り 第1話

九月一日の夕刊に、ものものしい防空演習の写真と一緒に、路面電車の整理案が発表されました。その内容は、全従業員一万八百人を一度解雇し、改めて給料を四割カットした条件で雇い直すというもの。そうして八百五十万円を浮かせて、長年たまっていた八百万円...
宮本 百合子

初級翻訳・雨と子供 第2話

そこのがらんとして寂しい地面の様子が、子供の心を強く惹きつけた。 どうしてここだけ、こんなに何もないのだろう。――ある日、子供は畑から、きっと青紫蘇(あおじそ)の芽に違いないと見定めた草を十二本抜いてきた。 それから、その空き地のちょうど真...
宮本 百合子

初級翻訳・雨と子供 第1話

一 ぼんやりと曇っていた庭の景色が、雲の動きに合わせて、急に立体的に浮かび上がってきました。 近くの黒ずんだ垣根、少し離れたポプラの木、そしてその奥にある竹林。 遠くや近くにあるものたちが、ひとつの絵のような景色として、はっきりと感じられま...
宮本 百合子

初級翻訳・郵便切手 第2話

そう言われる時がやってきて、働いていたあのたくさんの女性たちは、みんな切手の中から抜け出して、生活費を稼ぐ必要という荷物もまとめて家庭へと帰っていったとでもいうのだろうか。全国で七百五十万人を失業させようというその最初のターゲットは、三百五...
宮本 百合子

初級翻訳・郵便切手 第1話

これまで、郵便切手というものは、私たちのつましい生活と深いつながりのある、親しみぶかいものであった。三銭の切手一枚で封書が出せた頃、あのうす桃色の小さい四角い切手は、都会に暮しているものには故郷のたよりを、田舎に住んでいるものには都会の生活...
宮本 百合子

初級翻訳・親子いっしょに 第1話

子どもたちの明るい未来をつくろうと、最近ではいろいろな親と子、そして先生のための本が出版されたり、素晴らしい外国の映画が紹介されたりするようになりました。しかし、現実の毎日の生活の中で、主婦であり母親である人たちの心配のタネは、いったいどこ...
宮本 百合子

初級翻訳・次が待たれるおくりもの 第1話

次が待たれるおくりもの宮本百合子『チボー家の人々』の第一巻『灰色のノート』と、第二巻『少年園』を読みました。物語にぐいぐいと引き込まれる面白さと、文学という仕事に対する真摯な情熱が伝わってきて、読むのが本当に楽しかったです。この最初の二冊を...
宮本 百合子

初級翻訳・楽しいソヴェトの子供 第2話

「見ろよ! これが本当のプロレタリアート文化の進歩ってやつだ。俺は職工で、工場でアルミの板をこねくり回しているけれど、自分で飛行機を組み立てようなどと思ったこともなかった。ところがどうだ! このチビ助は! もう俺を追い越している。飛行機を造...
宮本 百合子

初級翻訳・楽しいソヴェトの子供 第1話

――ミーチャ、さあ早く顔をあらってらっしゃい!お母さんはテーブルの前に立ってパンを切りながら、六歳になる息子のミーチャに言いました。――もうすぐお茶にするよ。お父さんは、朝の光がキラキラと差し込む窓ぎわに腰かけて、昨夜から調子の悪かったラジ...
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