初級翻訳・あたらしい憲法のはなし 第6話

あたらしい憲法のはなし

このほかに、必要があるときは、臨時に国会を開きます。
これを「臨時会(りんじかい)」といいます。
また、衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に選挙を行い、その選挙の日から三十日以内に、あたらしい国会が開かれます。
これを「特別会(とくべつかい)」といいます。
臨時会と特別会の会期は、国会がじぶんで決めます。
また国会の会期は、必要があるときは、のばすことができます。
それも国会がじぶんで決めるのです。
国会を開くには、国会議員をよび集めなければなりません。
これを、国会を「召集(しょうしゅう)する」といって、天皇陛下がなさるのです。
召集された国会は、じぶんで開いて仕事をはじめ、会期がおわれば、じぶんで国会を閉じて、国会はいったんお休みということになります。
みなさん、国会議事堂をごぞんじですか。
あの白いうつくしい建物に、おひさまの光がさしているのをごらんなさい。
あれは日本国民の力をあらわすところです。
主権をもっている日本国民が、国を治めていくところです。

9 政党

「政党(せいとう)」というのは、国を治めていくことについて、同じ意見をもっている人たちが集まってつくった団体のことです。
みなさんは、社会党、民主党、自由党、国民協同党、共産党などという名前を、聞いたことがあるでしょう。
これらはみな政党です。
政党は、国会の議員だけでつくっているものではありません。
政党からでている議員は、政党をつくっている人たちのほんの一部です。
ですから、一つの政党があるということは、国の中に、それと同じ意見を持った人が、そうとう大勢いるということになるのです。
政党には、国を治めていくについてのきまった意見があって、これを国民に知らせています。
国民の意見は、人によってずいぶんちがいますが、大きく分けてみると、この政党の意見のどれかに入ることになります。
つまり政党は、国民ぜんたいが、国を治めていくことについて持っている意見を、大きく色分けしたものといってもよいのです。
民主主義で国を治めていくには、国民ぜんたいが、みんな意見を話しあって、決めていかなければなりません。
政党がおたがいに国のことを議論しあうのは、このためです。
日本には、この政党というものについて、まちがった考え方がありました。
それは、政党というものはなんだか、国の中でじぶんの意見をいいはっている、いけないものだというような見方です。
これはたいへんなまちがいです。
民主主義のやりかたは、国の仕事について、国民が大いに意見を話しあって決めなければならないのですから、政党が争うのは、けっしてけんかではありません。
民主主義でやれば、かならず政党というものができるのです。
また、政党が必要なのです。
政党はいくつあってもよいのです。
政党の数だけ、国民の意見が大きく分かれていると思えばよいのです。
ドイツやイタリアでは政党をむりに一つにまとめてしまい、また日本でも、政党をやめてしまったことがありました。
その結果はどうなりましたか。
国民の意見が自由にきかれなくなって、個人の権利がふみにじられ、とうとうおそろしい戦争をはじめるようになったではありませんか。
国会の選挙のあるごとに、政党は、じぶんの団体から議員の候補者を出し、またじぶんの意見を国民に知らせて、国会でなるべくたくさんの議員をえようとします。
衆議院は参議院よりも大きな力をもっていますから、衆議院でいちばん多く議員を、じぶんの政党から出すことがたいせつです。
それで衆議院の選挙は、政党にとっていちばん大事なことなのです。
国民は、この政党の意見をよくしらべて、じぶんのよいと思う政党の候補者に投票すれば、じぶんの意見が、政党をとおして国会にとどくことになります。
どの政党にもはいっていない人が、候補者になっていることもあります。
国民は、そのような候補者に投票することも、もちろん自由です。しかし、政党にはちゃんとした意見があり、それをみんなに知らせているから、政党の候補者(こうほしゃ)に投票しておけば、その人が国会に行ったときに、どんな意見を言って、どうやって働いてくれるかがハッキリ分かります。

もし、どの政党にも入っていない人に投票したときは、その人が国会に行ったあとで、どんなふうに働いてくれるのかがハッキリ分からないという不便(ふべん)なところがあります。

このようにして、選挙のたびに、衆議院(しゅうぎいん)にたくさんの議員(ぎいん)を送り込んだ政党の意見をベースにして、国の仕事を進めていくことになります。

これは別の言い方をすると、国民ぜんたいの中で、より多い人たちの意見にしたがって、国を治めていくということでもあるのです。

みなさん、国民は、政党のウラオモテをよく知らなければなりません。

じぶんの好きな政党に入ることや、自分たちで好きな政党を作ることは国民の自由で、憲法はこれを「基本的人権(きほんてきじんけん)」としてしっかり認めています。

だれもこれをジャマすることはできません。

10 内閣(ないかく)

「内閣」というのは、国の行政(ぎょうせい)の仕事をまるごと引き受けているチームのことです。

行政というのは、まえにお話ししたとおり、「立法(りっぽう)」つまり国会のルール作りと、「司法(しほう)」つまり裁判(さいばん)をすることを除いた、残りの国の仕事をまとめて呼んだものです。

国会は、国民の代表として国を治めていくルールを決めるところですが、たくさんの議員が集まってできているし、一年中ずっと開いているわけにもいきません。だから、ふだんの仕事や細かい仕事をするために、別の役所を作って、そこでパパッと処理していくのです。

その役所たちのいちばん上に立っているのが、内閣というわけです。

内閣は、「内閣総理大臣(ないかくそうりだいじん)」と「国務大臣(こくむだいじん)」たちでできています。

「内閣総理大臣」は内閣のリーダーで、内閣ぜんたいをまとめる超(ちょう)たいせつな役目を持っています。

だから、内閣総理大臣にだれがなるかはものすごく大事なことなのですが、この新しい憲法では、国会の議員の中から国会が話し合って決め、天皇陛下にお伝えして、天皇陛下に任命(にんめい)してもらうことになっています。

国会で決めるときに、衆議院と参議院の意見が食い違ったときは、最終的には衆議院の意見が優先(ゆうせん)されて決まることになっています。

内閣総理大臣を国会で決めるときは、衆議院でたくさんの議員をにぎっている政党の意見で決まることになるので、内閣総理大臣はふつう、その政党の中から選ばれることになります。

そして、ほかの国務大臣たちは、内閣総理大臣が自分でえらんで任命します。

ただし、国務大臣の数の半分以上は、必ず国会の議員の中から選ばなければならないというルールがあります。

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