すると粉ひきの親方が、「おまえは食卓についてはいけない。服がボロボロだからな。誰か他人が来でもしたら、とんだ恥をかかされる」と言いました。
それで、ハンスの食事は少しだけ外に出されました。
夜になって寝る時間になっても、二人の兄弟子はハンスに寝場所を貸そうとしなかったので、ハンスは仕方なくガチョウ小屋へもぐり込み、少しばかり敷いてある堅い藁の上に横になりました。
朝になって目が覚めると、三日が過ぎていました。すると、六頭立ての馬車がやってきました。
まあ、その馬の輝く毛並みといったら、本当にお目にかかる価値があるほど見事なものでした。
それに、一人の従者が別に七頭目の馬を引いていました。それは、このかわいそうな粉ひきの弟子がもらうはずの馬でした。
馬車からはきらびやかな王女が降りてきて、粉ひき小屋へ入りました。
この王女こそが、あの小さな三毛猫でした。ハンスはかわいそうに、七年もの間、この猫に仕えていたのです。
王女は粉ひきに、「粉ひきの下働きをしているという若者はどこにいますか?」と尋ねました。
親方は答えました。
「あいつは、この小屋へ入れるわけにはいきません。なんといってもボロボロの格好でしてな。ガチョウ小屋で寝転がっておりやす」
すると王女は、たった今すぐにその者を連れてくるようにと命じました。
みんなでハンスを連れ出しましたが、当の本人はどうすることもできず、つんつるてんの上着の前をかき合わせて、裸身を隠していました。
それを見ていた従者は、長持ちの鍵を外して立派な服を取り出すと、無理やりハンスに行水をさせてから、その服を着せました。
こうして身なりが整うと、その美しさといったら、どこの王様もかなわないほどでした。
それから王女は、他の粉ひきの弟子たちが連れてきた馬を見せてもらいたいと言いました。そこへ連れてこられたのは、一頭は目が見えず、もう一頭は足が不自由な馬でした。
王女は従者に命じて、七頭目の馬を連れてこさせました。
それを見た粉ひきの親方は、「こんなに素晴らしい馬は、今まで一度もここへ来たことがない」と言いました。
「おまけに、これこそが三番目の若者に与える馬なのですよ」と王女が言いました。
「それなら、この若者がこの粉ひき小屋の持ち主になるということでございますね」と粉ひきが言いました。
王女は、「約束の馬はここにあります。水車小屋のほうは、そのままあなたのおじさんのものにしておいてあげなさい」と言い捨てると、自分は、ひたむきに一生懸命働いてくれたハンスを馬車に乗せ、一緒にどこかへと去っていきました。
二人はまず最初に、ハンスが銀の道具を使って建てたあの小さな家のほうへ馬車を走らせました。
行ってみると、そこには大きな御殿が建っており、中にあるものは何から何まで銀と黄金ばかりでした。
そこで、王女はハンスと結婚式を挙げました。
こうしてハンスはお金持ちになりました。
一生困ることがないくらい、大金持ちになったのです。
ですからね、「分からず屋はろくなものになれない」なんて、決してそんなことを言ってはいけませんよ。
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