初級翻訳・ねずみさんの失敗 第1話

ねずみさんの失敗

ねずみさんは、とってもなまけ者でした。
あるとき、ねずみさんが奥さんのいる部屋へ飛び込んでいって、こう言いました。
「おい、奥さん! 早く着物を着替えなさい。一番いいやつにだよ。帽子も一番いいやつをかぶって。それから、わしにもとびきりいい服を出しておくれ!」

奥さんは、何のことだかさっぱりわからなかったので、返事をしないでいました。
するとねずみさんは、大きな声でどなりました。
「下の家に住んでいるチユウチユウさんのところへ遊びに行くんだからさ!」
奥さんはしぶしぶ、「チユウチユウさんのところへ? 一体何しに行くんですか?」とたずねました。
ねずみさんは、息を切らしながら言いました。
「それがさ、まあ聞きなよ。今さっき、わしがチユウチユウさんの家の前を通ったんだ。そうしたらお前、あぶらあげだよ、あぶらあげを焼いているいい匂いがプンプンしていたんだよ! 早く遊びに行けば、きっとおこぼれがもらえるはずさ。さあ、早く早く!」

「ほんと? それなら急がないと、お前さん、食べ損ねてしまいますよ。早く、早くったら!」
奥さんも負けず劣らずの欲張りだったので、二人は大あわてで支度をして出かけました。
二人は目をギラギラさせながら庭を走り抜け、大きな門のそばを通って、やっとの思いで大きなお部屋の前にたどり着きました。

「おや、道を間違えたみたいだなあ。困ったなあ」
ねずみさんがおそるおそる中をのぞいてみると、そこには山のように大きな、おもちゃの熊さんが座っていました。
二人はびっくりして腰を抜かしそうになりましたが、こんなことで引き返すわけにはいきません。
二人はとてもおとなしく、頭が床につくくらい低くおじぎをして言いました。
「熊さん、わたしたち道に迷ってしまって、大変困っているんです。チユウチユウさんのおうちはどちらでしょうか? 急いで行かないと、あぶらあげの分け前がもらえなくなってしまうので、早く教えてくれませんか?」

熊さんはそれがとてもおかしくて、吹き出しながら言いました。
「お前さんたちみたいな夫婦は、きっと道を間違えると思ったよ。この机の上にある穴を通って、地下室へお行き。そこがチユウチユウさんの家だよ」

二人はその道をできるだけ速く駆け出して、やっとのことでチユウチユウさんの家へたどり着きました。
「ごめんください!」
ねずみさんがそう言うと、チユウチユウさんとその奥さんが、あぶらあげを食べたばかりの口をふきながら出てきました。
もう食べ終わったあとだったので、ねずみさんと奥さんはがっかりして、腰が抜けてしまいそうになりました。

「チユウチユウさんのところになんて、一生もう行くもんか!」
二人はプンプン怒りながら帰っていきました。
なんとも気の毒なお話ですね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました