初級翻訳・アッシェンプッテル 第3話

アッシェンプッテル

お妃さまになれば、親指のひとつやふたつ、どうでもいいことになるわ。歩かなくてもいいんですから」
上の姉は、まま母の言うことを聞き入れて、親指を切ってしまいました。それから無理やり靴の中に押し込んで、王子さまに見せました。
王子さまは上の姉をお嫁さんとして、自分の馬に乗せてお城へ帰ることにしました。
けれども、お城へ帰る途中、アッシェンプッテルが植えたハシバミの木のそばを通らなければなりませんでした。そのとき、梢の上で小さなハトがとまって、歌を歌っていました。

「うしろを見て、ふりかえってよ、
 靴の中は血だまりだ。
 靴が小さすぎるんだ。
 ほんもののお嫁さんが、あなたを待ってる」

王子さまは馬を下りて、上の姉の足を確かめました。血が流れていたので、王子さまは騙されたことに気がつきました。
馬を回れ右させて、偽物のお嫁さんを家に送り帰しました。
王子さまは、アッシェンプッテルの家の前でこう言いました。
「この方はほんとうのお嫁さんではありません。誰かほかの娘さんに、この靴をはかせてみてください」
今度は下の姉が部屋に行って、靴をはこうとしました。けれども、かかとが邪魔をしてはけませんでした。
そこで、まま母は血が出るまで無理やり靴の中へ押し込んでから、王子さまに見せました。
王子さまは下の姉をお嫁さんとして、自分の馬に乗せてお城へ帰ることにしました。
でも、ハシバミの木のところまで来たとき、まだあの小さなハトがいて、歌を歌っていたのです。

「うしろを見て、ふりかえってよ、
 靴の中は血だまりだ。
 靴が小さすぎるんだ。
 ほんもののお嫁さんが、あなたを待ってる」

王子さまが馬の上から見ると、下の姉の靴からたくさんの血が流れていて、白い靴下が真っ赤になっていました。
王子さまは馬を回れ右させて、家に送り帰しました。
王子さまは、アッシェンプッテルのお父さんにこう言いました。
「この方はほんとうのお嫁さんではありません。もう、ほかに娘さんはいないのですか?」
お父さんはこう返事をしました。
「いません。ただ、わたしの連れ子に、薄汚れたアッシェンプッテルという娘がいますが、あの子がほんとうのお嫁さんだなんて、絶対ありえっこないです」
けれども王子さまは「連れてきなさい」と言いました。
まま母がしゃしゃり出て言いました。
「あの子はダメですよ。薄汚いから、王子さまの前には出てきたくないって言っていますから」
でも王子さまは「連れてきなさい」と言い張りました。
アッシェンプッテルはまず顔と手を洗ってから、王子さまの前に現れました。スカートのへりをつまみ、ひざを曲げて挨拶をしました。
王子さまは金の靴を手渡しました。アッシェンプッテルはぼろぼろの靴を左足から外して、金の靴をはきました。
アッシェンプッテルのためにつくられたみたいに、靴はするするっと足におさまりました。
王子さまはアッシェンプッテルをそばに引き寄せて、じっと見つめました。たしかに、見たことのある顔だったのです。
「この方こそ、ほんとうのお嫁さんです」
王子さまの言葉を聞いて、まま母とふたりの姉はぎょっとしました。アッシェンプッテルが王子さまの馬に乗せられたとき、まま母もその娘たちも、怒りのあまり顔を真っ青にしていました。
王子さまとアッシェンプッテルは馬に乗って、ハシバミの木を通り過ぎました。
あの白いハトは、このように歌っていました。

「うしろを見て、ふりかえっても、
 靴の中に血はないね。
 靴も小さくないからね。
 ほんもののお嫁さんは、あなたのそばに。」

ハトは歌を歌い終えると、梢から飛び立って、アッシェンプッテルの右肩にちょこんと止まり、そのまま一緒にお城へ行ったのでした。

王子さまとアッシェンプッテルの結婚式が行われた日、あの意地悪な二人の姉は、アッシェンプッテルに取り入って、あわよくば自分たちも幸せにあやかろうとしました。
誓い合った二人が教会へ向かったとき、上の姉は右側に、下の姉は左側にいましたが、真ん中にいたハトに、二人とも片方の目をつつかれて食べられてしまいました。
二人が帰り道に、今度は上の姉が左側、下の姉が右側にいたため、また真ん中にいたハトに、二人とももう片方の目も食べられてしまいました。
こうして、悪いことばかりしていた二人の姉は、その報いとして、一生目が見えなくなってしまったのです。

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