初級翻訳・夕映えのむこうの国 第6話

キングスフォード アンナ

汝の同輩にも吾のような案内役がひとしく授けられていたのだが、飽食の男はその監視者を追放し、知者たらんとした男はさらに悪しきことを成した。彼自身の友であり、より良き自己であったものを、死に至らしめたのだ」金は鉱石の残りかすに抗い、御神の智慧は人間の知恵に抗うのだ! だが詩人よ、汝は御神の子供である。汝のみが喜びの眼差しをもって『夕映えのむこうの国』を再び見つめ、あの王女の顔を拝することができるだろう。汝こそが王女の真の従者であり、真の騎士なのだ!」

旅人はすっかり喜んで、歌いながら心を高揚させていきました。しかしその一方で、足元は急な坂道となり、顔には氷のような冷たい空気が、これまで以上に強くぶつかってくるようになりました。

どちらを向いても、野原や農夫たちが一生懸命に働く果樹園などありません。あるのはただ、キラキラと舞い上がる雪の渦と、ダイヤモンドのように光り輝く氷河だけでした。それらは、暗さを増していく深い空間を背景にして、硬く冷たい光を放っていたのです。時折、遠くで雪崩が起きる大きな音がして辺りの空気を震わせ、やがてまた元の静けさへと戻っていきました。

目の前には、水晶のように白い山々がそびえ立っていました。それはどっしりと落ち着いていて、静かで、畏(おそ)れを感じさせるほどの姿でした。そして、詩人は理想というものが真実であると、恐ろしくも強く確信したのです。というのも、とてつもなく高い峰と計り知れない深い谷、目を覆うほどの雪、この世の始まりのような静けさ、無限の教え、重なり合う頂に射すオパールやトパーズ、縞瑪瑙(しまめのう)の光――これらのすべてが、心の奥深くに隠していた最も秘密で、最も恐ろしい思想を、目に見える形として現したものだと思えたからです。

それらは夢の中で見たり、ひっそりと空想の中で形作ったりしてきたものでした。これまで詩人は、「もしこの広い宇宙が神の意志によって創られたのなら、そんな場所があるのかもしれない。いや、きっとあるはずだ」と、なんとか信じようとしてきたものでした。今、それが目の前に飛び出してきたのです。大いなる栄光の証として、人間とは関係なく存在する絶対的な世界が、その計り知れない孤高の正しさを永遠の果てまで証明しながら、そこにありました。

「私は今、命の頂点に辿り着いた!」と詩人は叫びました。「この世界の中で、すべてが行われるのだ!」

そして今、ただ美しい鳥だけを道連れにして、詩人はたったひとりで道を歩んでいきました。ときどき、靄(もや)が大きな雲となって高いところから下りてきたり、凍てつく谷底から吹き上がってきたりして、詩人を柔らかな灰色の霧の中に包み込み、周りに広がるキラキラとした景色を隠してしまいました。そのため、詩人は恐ろしさを感じました。

またある時は、自分自身の影が、巨大で不吉な「もう一人の自分」となって、雲のような空気の中に大きく映し出され、目の前に立ちはだかるのを見ました。その孤独な怪物は、詩人の破滅を予告して脅してくるのです。あるいは、霧の渦の中で分身の術でも使っているかのように、百もの亡霊のような自分の姿に分裂し、詩人自身の姿や物腰、外見、願望を映し出す合わせ鏡のようになって、互いに重なり合いました。どこにでも現れるこれらの奇妙な姿は、狂気のように膨れ上がり、熱にうなされた夢に出てくるゴブリンのようでした。

これを見た詩人は初めはひるんで、腰の剣を手探りしました。そのとき、胸元で美しい鳥がこう歌いかけてきました。

「恐れることはない、これは王女が言っていたキメラ(怪物)だ。貴方はこれまで、セイレーンやオーガにも傷つけられることなくここまで来たではないか。平原や低い土地にあふれる、たくさんの頭を持つ怪物たちにも負けなかった。さあ、勇気を出してこの高い場所の亡霊と立ち向かうのだ。もう、汝は『夕映えのむこうの国』の入り口に立っている。あれらは境界に住む者たち、父の国の入り口に取り憑く亡霊にすぎない。あれらは汝自身の影であり、深い霧が映し出した鏡のようなもの。聖なる場所を隠すカーテンに描かれた幻にすぎないのだ。あれらは何もないところから現れた、理屈の通じない冥界の夜が生んだものにすぎない」

その時、神の息吹のような強い風が山々の頂から吹き下ろしてきて、雲を散らし、霧を晴らしました。あちこちにいた亡霊たちもこの風に吹き飛ばされて、煙のように消え、道端の岩陰へと消えていきました。それ以降、詩人はそれらを気にすることなく、自信満々に道を進みました。

いつの間にか雲も、丘の谷間にあった霧も眼下となり、詩人は目がくらむような雪の広がる頂上に立っていました。詩人の目には、太陽の向こう側にある「金の門」が再び映りました。

しかし、詩人と王女との再会、二人が挙げた結婚式のこの上ない輝かしさ、詩人が得た歓喜……そういったものを、私は語ることができません。これらの出来事は妖精の国の歴史の中にあり、どんなに賢い人であっても、人間の言葉しか使えない死ぬべき身の人間には、書き記すことも伝えることもできないからです。

私が確かに知っていて、はっきりと語ることができるのはこれだけです。心から願っていたものを手に入れた詩人は、望んでいた以上の知識を得て、大地を理解し、永遠に祝福されたのだと。

さて、これで自分の理想を見つけ、それを追い続けた人物、愛し、報われた人物、目先の小さな欲に囚われず愛を貫いた人物の物語は終わりです。これは、感覚的な快楽や知識への飢え、権力への欲望、あるいは空虚な精神的おごりといったものに惑わされることなく、それらをきっぱりと振り捨てて、どこまでも正直に自らの使命を全うした人物の物語です。また、善と美の道を歩み、そこから一度も道を踏み外さず、自分を陥れようとする者たちに対して一歩も引くことのなかった人物の物語でもあります。

どんな非難や嘲笑、冷たい無視を浴びせられようとも、その人物の魂の奥底で響く、神聖な導きの声をかき消すことは誰にもできませんでした。

この人物は、自分が果たすべき務めをしっかりとわきまえて行動しました。世間の常識に自分を合わせようとしたり、現実に不平不満をこぼしたりすることは、一度もなかったのです。

神の正義に対する揺るぎない確信が、この人物を「世間一般の共感」から少し距離を置かせたのでした。

詩人であれば誰しも、自分自身の心の中で、このような生き方を思い描き、理解し、自分もそうありたいと強く願うものです。

このような人生を歩む者は、自らの天賦の才能を生きる指針とし、先人たちが抱いてきた雄々しい資質の最高峰として、英雄のような気高さと神々しさを心に据えるのです。

完第一話:予言者たちの村
第二話:崖端館(がけぶちやかた)――ある幽霊の話
第三話:夕映えのむこうの国(本作)
第四話:運命の転換
第五話:ノエミ
第六話:小さなおじいさんのお話
第七話:犬酸漿(いぬほうずき)
第八話:騎士聖ジョージ

これは、アンナ・キングスフォードによる『夕映えのむこうの国』の日本語翻訳です。
2016年5月8日 初訳
2016年6月22日 最終更新

※以上は、『夕映えのむこうの国』の全訳です。

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