建物はきちんとしていて、造りもしっかりしてはいましたが、中にあるものすべてがどこか無骨で、温かみに欠けていたからです。
椅子も、じゅうたんの模様も真四角で、壁にかかった柱時計までもが、厳しい顔つきをしていました。
「私、なんだか嫌な予感がするわ」とセーラはお父さんに言いました。
「兵隊さんだって、いざ戦場へ行くとなったら、本当は行きたくないと思うことがあるのかしら」
その不思議な言い方を聞いて、クルー大尉はからからと笑い出しました。
「本当に、セーラ! お前のように真面目にそんなことを言ってくれる子がそばにいなくなったら、お父さんも困ってしまうよ」
「じゃあ、なぜそんな真面目なことを笑うの?」
「だって、お前が真顔で言うと、それが何ともおかしくて面白いからさ」
そこへ、ミンチン先生が入ってきました。
ミス・ミンチンは、魚のような冷たい大きな目をしていて、魚のような微笑みを浮かべていました。
先生はこの学校をクルー大尉に勧めたメレディス夫人から、大尉がとても裕福で、特にセーラのためなら何万金でも惜しまないということを聞いていました。
先生にとっては、これ以上ないほど願ったりかなったりの客だったのです。
「こんなにお綺麗なお嬢様をお預かりできるなんて、本当に光栄でございます。メレディス夫人のお話では、大変ご聡明だそうで――」
セーラはミス・ミンチンの顔をじっと見つめたまま、静かに立っていました。
「私はやせっぽちで、髪は短くて黒いし、目は緑色で、ちっとも綺麗なんかじゃないのに、この人は嘘ばかり言っているわ」とセーラは思いました。
のちにセーラは、ミンチン先生がどの生徒の親に対しても同じようなお世辞を言っていることを知りました。
そうは言っても、セーラは自分が思っているほど醜い子では決してありませんでした。
ほっそりとしていて、しとやかな身体つきをしており、誰からも愛されるような顔立ちをしていました。黒い髪も、緑色の瞳も、見る人が見ればとても魅力的なものだったのです。
セーラは寄宿生の中でも、普通の生徒とは違って、特別に美しい寝室と居間をあてがわれることになりました。
それから、子馬を一頭と、馬車を一台、そして乳母代わりの女中一人まで用意されることになっていたのです。
「この子の教育については、少しも心配しておりませんが」と、お父さんはセーラの手を優しくなでながら、愉快そうに笑って言いました。
「ただ、あまり勉強をさせすぎないようにしていただきたいのです。これまでも、この子は鼻の先を本の中に埋めるようにして座っているものですからね。読むというより、まるで狼の子が獲物を貪り食うように、本を読みふけってしまうのです。しかも、大人用の本を欲しがる。歴史や伝記、詩はもちろん、フランス語やドイツ語の本までね。ですから、できるだけ本からは引き離して、子馬に乗せたり、町へ人形を買いに連れて行ってやったりしてください」
「でもお父様、町へ出るたびにお人形を買っていたら、とても仲良しになりきれないくらいの数になってしまうわ。エミリーちゃんは、私の親友になるはずなのですから」
「エミリーさんて、どなた?」と、ミス・ミンチンが不思議そうに尋ねました。「さあ、セーラ。お話ししてごらん」
お父様にそう言われて、セーラはとても気高く、優しい眼差しで話し始めました。
「エミリイちゃんは、まだ買ってもらっていないけれど、これからお父様が私に買ってくださるはずのお人形なの。お父様が遠くへ行ってしまわれたら、私、エミリイちゃんとお父様の思い出をたくさんお話しするつもりなの」
「まあ、なんて賢い子でしょう!」
「ええ」とお父様はセーラを抱き寄せると、ミス・ミンチンに向かって言いました。「この子は本当に愛らしい娘です。どうか私に代わって、よく面倒を見てやってください」
それから五、六日のあいだ、セーラはお父様と一緒にホテルで過ごしました。二人は毎日街へ出かけては、驚くほどたくさんの買い物をしました。高価な毛皮で縁取られたベルベットの服に、レースのドレス、刺繍入りの服、ダチョウの羽で飾られた帽子――テンの毛皮のコート、それに小さな手袋やハンカチ、絹の靴下まで。あまりに贅沢な買い物ぶりだったので、お店の帳場にいた人たちは、セーラはどこかのお姫様ではないかと噂し合ったほどでした。
「私ね、このお人形をまるで生きているみたいにしたいの。でも、お人形って、いくら話しかけても聞いていないような顔をしているから、いつも気になって仕方がないのよ」
二人は馬車でいくつもの人形屋を回りました。黒い目、青い目、茶色の髪、金色の巻き毛、豪華な衣装を着たものや裸のものまで、一つひとつ見て回りましたが、どれもセーラの求めている『エミリイ』ではありませんでした。
すっかり疲れ果ててしまった二人は、馬車を降りて、通りに並ぶお店のショーウィンドウをのぞきながら歩くことにしました。いくつかのお店を過ぎて、ある小さなお店の前を通りかかったときのことです。セーラは突然飛び上がって、お父様の腕にしっかりとすがりつきました。
「あそこに、エミリイちゃんがいるわ!」
セーラの頬にさっと赤みがさしました。青鼠色の瞳には、ずっと会いたかった大好きなお友達を見つけたときのような輝きが浮かんでいます。
「あの子、本当に私を待っていてくれたのよ。さあ、あの子のところへ行きましょう」
「おやおや、誰かに紹介してもらわなくていいのかい?」
「お父様が紹介してくださるの。そうしたら、私もお父様を紹介してあげるわ。でもね、私、あの子を見たときすぐに分かったの。あの子だって、きっと私のことを知っていたはずよ」
エミリイもきっと、セーラだと分かっていたのでしょう。セーラが抱き上げると、エミリイは本当に利口そうな表情をしていました。大きなお人形でしたが、抱きかかえられないほどではありません。癖のない金色の巻き毛がマントのようにふわりと垂れ下がり、瞳は深く澄み切った藍鼠色でした。その縁には、本物のまつ毛まで生えていたのです。
二人はエミリイを子供服のお店に連れて行き、セーラとおそろいの素敵な衣装を整えてあげました。
「私、誰が見てもこの子はいいお母様を持っているわね、って思われるようにしておきたいの。私はこの子のお友達で、そしてお母さんなのよ」
お父様はセーラと一緒に買い物を楽しんでいましたが、この愛らしくて可愛い娘とすぐに別れなければならないと思うと、たまらなく悲しくなりました。真夜中、クルー大尉はベッドから起き上がり、セーラを見つめました。セーラはエミリイを抱いて眠っています。乱れた黒い髪が枕の上で、エミリイの金髪と絡み合っていました。二人ともレースの縁取りがついた寝間着を着て、長いまつ毛を頬に落としています。エミリイは、まるで本当に生きている子供のようでした。
翌日、大尉はセーラをミス・ミンチンの学校へ連れて行きました。翌日にはインドへ出発することになっていたので、後のことを先生にしっかりと頼みました。一週間に二度はセーラに手紙を書くこと、そしてセーラの望むものは何でも叶えてやってほしいと伝えました。
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