初級翻訳・月夜のかくれんぼ 第2話

月夜のかくれんぼ

 すると、不思議なことにそこには、いつものように赤い前かけをつけた石のお地蔵さんが、月の光を浴びながら、静かにぽツンと立っていました。
 それは全然こわくなくて、見れば見るほどやさしいお顔のお地蔵さんでした。
 空には、絵日傘のようなぼんやりしたお月さまが浮かんでいて、消えかかった虹のような大きな月の輪っかがぽわんと広がっていました。
小さな鬼は、すっかり安心しておちつきを取り戻し、元気いっぱいな声で、また菜の花畑に向かって呼びかけました。
「もう、いいかいったら、もう、いいかい?」
 すると、菜の花畑のあちこちから、
「もう、いいよったら、もう、いいよー!」
とお返事しながら、子どもたちがだんだんと道のほうへ出てきたのでした。
―昭和二二年五月八日作―

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