苔人形
新美南吉
苔人形が作られました。
木の実や、苔や、白樺の木を使って。
ランプの明かりがゆれるかげで、
シベリア樅(もみ)の森のかげで。
いろんな顔が描きこまれました。
暖炉(だんろ)の火が消えていく、寒い夜のことです。
こつこつ、こつこつと削りだされて、
木こりや、娘や、お嫁さんたちの形になりました。
赤いシャッポもかぶせられました。
春になったら、町へ売られていくように。
コペイカ銅貨にかわるように。
そして、貧しい森のくらしを、
木こりたちが続けていけるように。
苔人形は作られました。
窓の外で鳴りひびく、吹雪の音を聞きながら。
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