初級翻訳・若草物語 第28話

オルコット ルイーザ・メイ

あまり暑くならないうちに、さっそくゲームを始めて、そのあとでおいしいご飯の準備をしましょう!」

フランクとベス、エイミー、それから一番小さなグレースの4人は芝生にペタンと腰を下ろして応援することになり、残りの8人でクロッケーの試合を始めることになりました。

ブルック先生は、メグ、ケイト、そしてイギリス人のフレッドとチームを組みました。もう一方のチームは、ローリー、サリー、ジョー、そしてネッドの4人です。

みんなものすごい気合いの入れようで熱い戦いを繰り広げ、しばらくの間は、どちらのチームが勝つか負けるか、まったく予想がつかないほど大接戦になりました。

ところがその途中、フレッドが、周りに誰も見ていないのをいいことに、自分が打ちやすい絶好のポジションへと、こっそり靴の先でボールを転がして動かしてしまったのです。

そして、何食わぬ顔でこう言いました。
「よし、僕の番はうまくいったぞ。さあジョー、君をやっつけて、僕が1等賞になってみせるよ!」

ジョーは、そんなずるい手を使ったフレッドに対して、絶対に負けるものかと全力で立ち向かいました。

そして激しい勝負を繰り広げた末に、とうとうジョーが見事に勝利を勝ち取ったのです!

ローリーは嬉しさのあまり帽子を空高く放り投げましたが、「あ、お客さんであるフレッドが負けたのを、あんまり大はしゃぎして喜んじゃいけないな」と気づき、すぐに声をひそめてジョーにささやきました。

「ジョー、本当にかっこよかったよ! 実はあいつ、インチキをしてたんだ。僕、ちゃんと見てたんだよ。みんなの前で問い詰めるわけにはいかなかったけれど、君にこてんぱんにやられたから、もう二度とあんなずるはしないはずさ」

メグも、風で乱れた髪を直すふりをしながらジョーをそっと引き寄せ、心から感心したような表情で言いました。
「本当に、あの子のやり方はずるくて頭にきちゃうわね。でも、ジョー、よく怒り出さずにぐっとこらえたわ。お姉ちゃん、あなたのそんな大人の態度がとっても嬉しかったわよ」

「もう、褒めないでよ、メグ。今だって、あいつのほっぺたを引っぱたいてやりたいくらいなんだから! あの瞬間、私の頭の中でかんしゃく玉が今にも大爆発しそうだったのよ」
ジョーはそう言いながら、ぷんぷん怒ってフレッドのほうをキッと睨みつけました。

懐中時計を取り出して時間を確認すると、ブルック先生が声をかけました。

「さあ、そろそろお弁当の時間にしましょう。兵站総監のローリーくん、君はみんなに指示を出して、火を起こしたり水を汲んできたりしてください。メグとサリーさん、それに私でテーブルの準備をしますから……ところで、誰かコーヒーを美味しく淹れられる名人は居ませんか?」

「ジョーがとっても上手ですよ!」
メグは、嬉しそうに妹のジョーを推薦しました。

ジョーは、「最近、おうちで料理の練習をがんばっておいて本当に良かった! おかげでこんな大役を任せてもらえるんだわ」と誇らしい気持ちになりながら、さっそく準備に取りかかりました。

その間に、男の子たちはパチパチと薪を燃やして火を起こし、近くの冷たい泉から新鮮な水を汲んできました。

司令官のブルック先生と、お手伝いの女の子たちは、青い芝生の上にさっとテーブルクロスを広げると、色とりどりの美味しそうな食べ物や飲み物を並べ、周りをみずみずしい緑の葉っぱでおしゃれに飾りつけました。

やがて、ジョーの淹れた香ばしいコーヒーが出来上がると、みんなそれぞれ席につきました。

外でたくさん動いたみんなはお腹がペコペコで、もりもりと美味しくご飯を食べました。食事はとっても楽しくて、何度もみんなの大笑いする声が響き渡り、近くでのんびりと草を食んでいたおとなしいお馬さんが、びっくりして耳をパタパタさせるほどでした。

ごちそうさまをした後は、外がもう少し涼しくなるまで、何か静かなゲームをして遊ぼうということになり、みんなは大きなカシの木の木陰――つまり「リビングルーム」へと移動しました。

そこでケイトが、「みんなで『お話つなぎゲーム』をしましょう!」と提案しました。

「ルールは簡単よ。まず誰か一人が、思いついたお話を自由に話し始めるの。そして、好きなところまでお話を続けたら、一番ドキドキするような面白いところで、ぷつっとお話を止めちゃうの。そうしたら、次の人がその続きを考えてつなげていくのよ。順番に話していくと、悲しいお話や面白いお話がごちゃ混ぜになって、とっても盛り上がるわ。さあ、それじゃあ、あなたからどうぞ!」
ケイトがちょっぴりお姉さんらしく、みんなをリードするように言ったので、まずはブルック先生からスタートすることになりました。

「昔々、ある一人の勇敢な騎士が、立派な手柄を立てて出世しようと、広い世界へ旅に出ました……」

ブルック先生は、豊かな想像力を働かせて、わくわくするようなお話を語り始めました。

この騎士は、なんと28年もの間、旅を続けていました。あるとき、とあるお城の王宮を訪ねると、王様がこんなおふれを出していました。
『まだ誰も乗ったことのない、あばれ馬を見事に乗りこなして手なずけた者には、素晴らしいご褒美をとらせよう』

そこで騎士は、その馬を立派に調教するために、毎日毎日、馬に乗って走り回っていました。するとある日のこと、お城の奥深くに、悪い魔法のせいで閉じ込められている美しいお姫様がいることを知ったのです。そのお姫様は、いつか自由の身になるための身代金を作るために、毎日せっせと糸を紡いで働いているのでした。騎士は貧乏で一文無しだったため、仕方がなくお城の扉を叩くと……と、後の展開が気になるようなところで話を切り上げました。

それを受け継いだのは、ケイト、ネッド、メグ、ジョー、フレッド、サリー、エイミー、ローリー、フランクという順番でしたが、物語の筋は実に奇想天外に変化していきました。お堀に落ちたり、墓場のような廊下を歩いていったり、そこで見つけた嗅ぎタバコを吸ったら首が落ちたり、かと思えばたちまち生き返ったり、箱の中でダンスを踊っていたらそれが軍艦に変わったり。聞いているみんなも、時には笑い出し、時には眉をひそめながら、どこまでも変化し続けるお話を面白がっていました。

話が終わると、サリーが言いました。
「ずいぶん変なお話だったわね。でも、練習すればもっといいのができそうね。それじゃあ今度は、『トゥルース(真実)』っていう遊びを知ってる?」
「どんな遊び?」
「そうね、みんなで手を重ねておいて、あらかじめ決めた数に合わせて順々に手を抜いていき、その数に当たった人が、ほかの人の質問に何でも正直に答えるの。これ、とっても面白いわよ」
「やってみましょう!」と、新しいもの好きなジョーが言いました。

みんなで手を重ね、順番に抜いていくと、ローリーが当たりました。
「あなたの尊敬する英雄は誰?」とジョーが尋ねます。

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