初級翻訳・金持ちと鶏 第2話

小川 未明

友だちはこれを見てあっけにとられましたが、それを見た金持ちはますます得意になって、
「このとおりだろ! 鶏のケンカをさせるなら、どこからでも強いやつを連れてくるといい、この鶏は絶対に負けないからさ!」
と、胸を張りました。
友だちは少し考えてから、こう言いました。
「実はね、私のところにもすごく強い闘鶏が一一羽いるんだ。
今まで一度も負けたことがないやつだから、今度お前のこの鶏と戦わせてみようじゃないか」
「それはおもしろそうだな!」と、金持ちは答えました。
次の日、友だちは自慢の闘鶏を連れてやってきました。
そして、金持ちの鶏と戦わせたのです。
はじめのうちは、どちらが勝つのか負けるのか全くわからないほどの互角の戦いでしたが、ついに金持ちの鶏が友だちの闘鶏を打ち負かし、相手は血だらけになって倒れてしまいました。
それからというもの、金持ちの得意になっている様子は尋常ではありませんでした。
ご近所でも、この強い鶏のことは大評判になりました。
小学生の子どもたちや小さな犬たちは、この恐ろしい鶏を怖がって、近づこうともしませんでした。
金持ちは、鶏がすっかり家に慣れてくると、いつもかごの外へ放し飼いにするようになりました。
夜になると、鶏はちゃんと家に帰ってきて、自分からかごの中に入るのでした。
近所の人々は、この鶏のせいで畑や庭を荒らされるのを本当はとても迷惑に思っていましたが、その家や土地はすべて金持ちの持ち物だったので、文句も言えず、ただ我慢して黙っていました。
ある秋の日のこと、この村を洋服を着て銃を肩にかけた男が、猟犬を連れて通りかかりました。
日ごろから怖いもの知らずだった金持ちの鶏は、その犬に向かって突然飛びかかったため、犬は怒り出しました。
そして、その猟犬の反撃にあい、鶏はとうとう噛み殺されてしまったのでした。

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