初級翻訳・風が吹いている 第1話

大久保 ゆう

風が吹いている。風がうなっている。
木々も激しくしなっている。
わたしの心はこんなにも痛むのに、
もう涙さえ流れてこない。

ずっとずっと嘆き悲しんできたけれど、
この悲しみに終わりは見えない。
いっそ思い切り泣き叫んでみたら、
少しは気持ちが楽になるのだろうか。

流した涙が幸せを取り戻してくれるわけじゃない。
それはただの気休めにすぎないんだ。
ほんの少しの間でも幸せだった人は、
死ぬまでその思い出を忘れられずに苦しむ。

わたしの境遇を、
うらやましいと言う人たちがいる。
野原に生える草のようにただそこにいるだけで、
幸せなのだとでもいうの?

雨のしずくもなく、太陽にさらされて、
野や土の上でどうやって生きていけというの?
愛するあなたがいないまま、
ふるさとでひとり生きるこのつらさを。

あなたはどこにいるの、愛しい黒まゆのあなた。
どこにいるの、どうか返事をして。
ここでみじめに泣き暮らしているわたしを、
どうか見つけ出して。

あなたのもとへ飛んでいけたらいいのに。
でも、わたしには翼がない。
あなたを恋しがるあまり、枯れ果てそうなこの気持ちに、
どうか気づいてほしいのに。

誰に抱きつけばいいの?
誰に抱き寄せてもらえばいいの?
だって今はもう、ここにはいないのだもの。
わたしを愛してくれる人は。

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