あなたは、その挑戦や、失敗したこと、うまくいったことについて自分からは何も言わないし、毎日あなたを助けてくださる神様のほかには、だれも見ていないと思っているかもしれませんね。けれど、お母様はちゃんとすべてを見ていましたよ。そして、あなたの努力がすてきな実を結びつつあるのを見て、あなたの決意が心からの本物であることがよくわかります。愛する我が娘よ、これからも我慢強く、勇気を持ってやり遂げてくださいね。お母様がいつもあなたに寄り添い、一番の味方であることを、いつでも信じていてくださいね』
「ああ、なんてうれしいのかしら! 百万円をもらって、世界中の人から山ほど褒められるよりもずっとうれしいわ。お母様が応援してくださるんだもの、私、絶対にがんばる!」
ジョーは思わず顔を伏せたので、うれし涙がぽろぽろとこぼれて、書いていた原稿を濡らしてしまいました。
ようやく顔を上げたジョーは、この大切な宝物のような手紙を、いつ突然襲ってくるかもしれない「イライラ」という敵から心を守る盾にするために、上着の内側に安全ピンできちんと留めました。
そして、もう一通の手紙はローリーからのものでした。
『やあ、大好きなジョー。明日、イギリスから男の子と女の子が何人か遊びに来るんだ。みんなで楽しく遊びたいなと思ってね。もし天気が良かったら、ロングメドウまでボートで出かけて、そこにテントを張ろう。お弁当を食べたあとは、みんなでクロッケーをして遊ぶ計画なんだ。たき火をして、自分たちで料理を作って、まるでジプシーみたいにキャンプをするつもりだよ。みんなすごくいい人たちで、こういうアウトドアが大好きなんだ。ブルック先生も一緒に行って男の子たちの面倒を見てくれるし、ケイト・ボガンさんが女の子たちのまとめ役をしてくれることになっているよ。だから、みんなで絶対に遊びに来てね。食べ物の心配はいらないよ、全部僕の方で準備しておくからさ。それじゃあ急いで。君のずーっと変わらない友達、ローリーより』
「きゃあ、なんて素敵なお誘いかしら!」とジョーは叫ぶと、メグにこの大ニュースを知らせるために大急ぎで走っていきました。
「ねえ、お母様、行ってもいいでしょう? 私たちが行けば、ローリーもすごく助かると思うの。私はボートを漕げるし、メグはお弁当を配るお手伝いができるわ。エイミーやベスだって、きっと何かしら役に立てるはずよ!」
「ボガン家の人たち、あんまり気取って大人ぶるような人たちじゃなければいいけれど。ねえ、どんな人たちか知っている?」と、メグが言いました。
「きょうだいが4人いるってことしか知らないわ。一番上のケイトはあなたより年上で、双子のフレッドとフランクは私と同じくらい。一番下のグレースは9歳か10歳くらいじゃないかしら。ローリーは、その人たちと外国にいるときに知り合ったんだって。きょうだいの中では男の子たちと気が合うみたい。でも、ローリーはケイトのことはあんまり好きじゃないみたいよ」
メグとジョーは、明日はどんな服を着ていこうかと相談し合いました。
キャンプに行くのだから、汚れたりシワになったりしても全然平気な服にしよう、ということになりました。
ジョーは、「さあ、がんばって今日のうちにいつもの2倍の仕事を片付けちゃいましょう! 明日、心おきなく思いっきり遊べるようにね」と言うと、さっそくほうきを手に取りました。
次の日、素晴らしい秋晴れを約束するように、きらきらと輝くお日様が姉妹たちの部屋をのぞき込んだとき、部屋の中ではみんながワクワクしながら遠足の支度をしていました。
ベスはだれよりも早く支度を済ませると、窓辺にぴったりと張り付いて、お隣のローリーの家の様子をみんなに実況中継しはじめました。
「あ、大きなお弁当箱を詰め込んでいるわ! あら、ローリーが出てきた。まるでカッコいい水兵さんみたいな格好をしているわよ!」
そうこうしているうちに、姉妹たち全員の準備が整いました。
ジョーは、ローリーが半分からかいの冗談で送ってきた、あの昔風の大きな麦わら帽子を頭にかぶると、赤いリボンをきゅっと結びました。
それを見たメグが「お願いだからそんな変な帽子はやめて!」と止めましたが、ジョーは「いいえ、私は絶対にこれをかぶっていくわ! だって、軽くて大きくて日よけにぴったりだし、みんなもきっと面白がってくれるもの!」と言って、平気な顔で外へ飛び出していきました。
そのジョーの後ろから、おしゃれをして華やかな3人の姉妹たちの「可愛い小隊」が続いて歩いていきました。
ローリーは嬉しそうに駆け寄ってきて彼女たちを迎え入れると、さっそく自分のイギリス人のお友達に紹介しました。
青々とした美しい芝生がまるでお客さんを迎えるリビングルームのようになり、そこにはにぎやかで楽しそうな光景が広がりました。
みんなすぐに仲良くなって、遠慮することなくおしゃべりに花を咲かせました。
キャンプ用のテントやお弁当、クロッケーの道具などは、もう先発隊がキャンプ地へと運んでくれていたので、みんなは2つのボートに乗り込んで、すーっと岸を離れました。
ローリーのおじいさんであるローレンス氏が、川岸に立って優しく帽子を振って見送ってくれていました。
ローリーとジョーが息を合わせて1つ目のボートを漕ぎ、ブルック先生と大学生のネッドが、もう1つのボートを力強く漕ぎ進めていきました。ジョーのあの風変わりな大帽子は、みんなの笑いを誘って、すっかりその場をなごませてくれました。ボートを漕ぐたびに帽子のつばがパタパタと揺れて、まるでうちわのように涼しい風を送ってくれたのです。ジョーが言うには、「もし急に夕立が降ってきたら、この帽子の下へみんな雨宿りに来るといいわ!」とのことでした。
もう一方のボートに乗っていたメグは、ブルック先生とネッドにとって、そこにいてくれるだけで嬉しくなるような憧れの存在でした。二人の若い男の子たちは、メグにかっこいいところを見せようと、いつもよりずっと張り切って、上手にボートを漕ぎ進めました。
目的地のロングメドウに到着したときには、すでに先発隊の手によってテントが張られ、クロッケーで使う鉄のゲートも地面にしっかりとセットされていました。
そこはとっても気持ちの良い緑の野原で、真ん中には3本の大きなカシの木が、広々と枝を広げて心地よい木陰を作っていました。クロッケーをするための芝生も、きれいに短く刈りそろえられていました。
「キャンプ・ローレンス万歳!」
みんなが嬉しそうな声を上げながらボートから降りて上陸すると、ローリーが誇らしげに言いました。
「ブルック先生が全体の指揮をとる司令官で、僕が荷物や準備を任された兵站総監です。ほかのみんなは作戦を考える参謀ですよ。そして、女の子たちはお客さまです。このテントはみなさんのために特別に張ったもので、あのカシの木の下がリビングルーム、ここがダイニング、あちらがキッチンになります。
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