初級翻訳・若草物語 第13話

オルコット ルイーザ・メイ

老人はすっかり目を丸くしましたが、それが嬉しくてたまらず、ベスの愛らしいキスのおかげで、いつもの気難しい表情はどこかへ消え去ってしまいました。
老人はベスを膝の上に乗せ、しわだらけの頬をベスのバラ色の頬にすり寄せました。まるで、亡くなった可愛い孫娘が生き返ってきたかのような気持ちになったのです。
ベスは、その瞬間からもう老人を怖がらなくなりました。
そして、まるで生まれたときからずっと知っている相手に話しかけるように、穏やかな気持ちで言葉を交わしました。
愛は恐れを追い払い、感謝は誇りを溶かしてしまうからです。ベスが家へ帰るとき、老人は門まで見送りに来て、温かい握手をしてくれました。
そして、いかにも立派な軍人のように帽子に手を当てて敬礼をし、堂々とした足取りで戻っていきました。
姉妹たちはその光景を見て、驚きとともに喜びで胸がいっぱいになりました。
ジョウは自分の興奮を抑えきれずに飛び跳ねてダンスを始め、エミイはびっくりして窓から転げ落ちそうになり、メグは両手を上げて叫びました。
「まあ、この世の終わりが来たのかしらと思うほど、夢みたいだわ!」

第七章 はずかしめの谷

 ある日、ローリイが馬に乗って家の前を軽快に鞭を振って通り過ぎるのを見て、エミイが言いました。
「ローリイさんが馬に使うお金のうち、ほんの少しでもあたしに分けてくれたらいいのに。」
 メグが、なぜそんなにお金が必要なのかと尋ねると、エミイは言いました。
「だって、たくさん必要なのよ。借りがあるんですもの。お小遣いはあと一ヶ月もしないと貰えないし。」
「借りがあるって? どういうこと?」
 メグは真面目な顔で問い質しました。
「塩漬けのライムよ。少なくとも一ダースは借りがあるの。それに、お母様は店でツケで買い物をしてはいけないっておっしゃるでしょう?」
「ちゃんと詳しく説明してごらんなさい。」
「今、ライムが流行っているの?」
「ええ、みんなライムを買うわ。メグさんだって、ケチだと思われたくなかったら、きっと買うはずよ。
みんな教室で机の中に隠しておいて、こっそり舐めるの。お休み時間には、鉛筆やビー玉、紙人形なんかと取り替えっこするのよ。
好きな子にはあげるし、嫌いな子の前では見せびらかして食べるの。みんな交代でごちそうし合うから、あたしもよくごちそうになったわ。」「それをまだお返ししていないの。どうしてもお返ししなくちゃ。だって、お返しをしないと、みんなに合わせる顔がないんだもの!」

「お返しするのに、いくら必要なの?」
メグは、お財布を取り出しながら尋ねました。

「二十五セントあれば足りるわ。余った分で、お姉ちゃんにもごちそうできるわよ。ライムは好き?」

「あまり好きじゃないわ。私の分もあげる。はい、このお金、できるだけ大切に使うのよ。お姉ちゃんだって、もうそんなにお金を持っているわけじゃないんだからね」

「ありがとう! お小遣いがあるって、なんていい気持ちなのかしら! みんなにごちそうしてあげるわ。私、今週はまだ一度もライムを食べていないの。本当はすごく食べたいんだけど、お返しができないのに、一つでももらうのは気が引けちゃうんだもの」

 次の日、エミイはいつもより少し遅れて学校へ行きました。けれども、湿った茶色の紙包みを机の奥にしまう前に、クラスのみんなに見せびらかしてしまいました。
 すると、それから五分もしないうちに、エミイが二十四個のおいしいライム(そのうち一個は、学校へ来る途中でエミイが食べてしまいました)を持っていて、それをみんなに大盤振る舞いするという噂が、あっという間にクラス中に広まりました。お友達からのエミイへのお世辞やご機嫌取りは、それはもうものすごいものになりました。
 ケティは次のパーティーに呼んであげると言いましたし、キングスレイは、次の休み時間まで素敵な時計を貸してあげると言いました。さらに、ライムを持っていないと言ってエミイをバカにしたことのある、いじわるなスノーという女の子までもが、急に優しくなって、エミイの苦手な算数を教えてあげると言い出したのです。
 けれども、エミイは、スノーが言ったあのひどい悪口を忘れてはいませんでした。そこで、「今さらそんな親切をしたって無駄よ。あなたにはライムをあげないわ」という、まるで電報のような冷たい拒絶を突きつけて、スノーの期待をペシャンコにしてしまいました。

 ところが、ちょうどその日のこと、町の立派な紳士が学校の授業参観にやって来ました。そして、エミイが描いた地図が、その紳士に大いに褒められたのです。
 この名誉ある出来事にエミイはすっかり得意げになり、ライバルであるスノーは激しい悔しさと嫉妬に苦しみました。そこで、その紳士が教室から出ていくと、スノーはまるで何か大事な質問でもするかのような澄ました顔をして、デビス先生のところへ歩み寄り、エミイが机の中にライムを隠し持っていることを言いつけてしまいました。

 デビス先生はとても厳しい先生でした。以前、チューインガムが流行したときも、とうとう学校でのガムを禁止にしてしまいましたし、小説や新聞を持ってくると、すぐに取り上げてしまいました。生徒同士が手紙のやり取りをすることさえ、やめさせていたのです。ですから、ライムが流行りだしたときも、「ライムを持ってきてはならない。もし持ってきている者を見つけたら、ムチで叩いて罰する」と、厳しく言い渡していました。それは、ほんの一週間ほど前のことでした。
 その上、この日の先生は、どういうわけか確かに機嫌が悪かったのです。そのため、スノーが告げ口した「ライム」という言葉は、まるで火薬に火を近づけたような爆発的な効果を生んでしまいました。

「みなさん、静かに! エミイ・マーチ、机の中のライムを持って、ここへ来なさい!」

 隣の席の女の子が、こっそり囁きました。
「全部持っていくことはないわよ」

 そこで、エミイは素早く半ダースほどを包みから落として机に残し、残りを先生のところへ持っていきました。
先生は、このライムの匂いが大嫌いでしたから、顔をしかめて尋ねました。
「これで全部ですか?」

「いいえ……」と、エミイは口ごもりました。

「残りのものも、すべて持って来なさい」

 エミイは自分の席へ戻り、言われた通りにしました。

「確かに、もう残っていませんか?」

「嘘はつきません」

「よろしい。それでは、この汚らしいものを、二つずつ持って、窓から外へ捨ててしまいなさい」

 この耐えがたい恥ずかしさに、顔を真っ赤にしながら、エミイは六回も窓と教壇の間を往復しなければなりませんでした。ライムが外へ放り投げられるたびに、窓の下の通りからは、それを見つけた子どもたちの嬉しそうな歓声が沸き起こりました。教室の生徒たちはその声を聞きながら、捨てられるライムを惜しみ、なんて冷酷な先生なのだろうと憎らしく思いました。

 エミイがすべてのライムを捨て終えると、先生は「えへん」と咳払いをし、恐ろしいほど厳しい顔つきで言いました。
「みなさんは、一週間ほど前に私が言い聞かせた約束を覚えているはずです。それなのに、このようなことが起きてしまい、実に残念です。

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