初級翻訳・若草物語 第32話

オルコット ルイーザ・メイ

でも、なんだか本当の弟みたいに思えるから、ついつい思ったことをそのまま言っちゃうの」

ローリーは、メグの親切な言葉をとても嬉しく思いました。
「お姉さんみたいに、僕のダメなところをはっきり言ってくれてありがとう。今日はなんだかイライラして不機嫌だったけれど、お姉ちゃんのおかげで、すっかり心がすっきりしたよ」

それからローリーは、みんなを楽しい気持ちにさせようと大活躍しました。メグのために毛糸を巻いてあげたり、ジョーを喜ばせようと面白い詩を歌って聞かせたり、ベスに向かって木の上から松ぼっくりをぽんと落としてあげたり、エイミーの絵のスケッチを手伝ってあげたりしたのです。みんなで真面目に働く「働きバチ会」のメンバーにふさわしいように、一生懸命がんばりました。

そうしているうちに、家政婦のハンナさんが鳴らすベルの音が聞こえてきました。みんながお家に帰る時間です。

ローリーは尋ねました。
「僕、またみんなのところへ遊びに来てもいい?」

メグはにっこり笑って答えました。
「ええ、もちろんよ。お行儀よくして、お勉強の本が好きになれるならね」

「きっと好きになるよ!」と、ローリー。

「それならいらっしゃい。今度は編み物も教えてあげるわ。スコットランドでは、男の人だって編み物をするのよ。それに今、編み靴下の注文がたくさん来ているんですって」

その日の夜、ベスはおじいさんのローレンスさんのためにピアノを弾きました。ローリーは、カーテンの陰にそっと立って、その美しい音色に耳を傾けていました。ベスの奏でる優しく素直な音楽は、ローリーのトゲトゲした心を静かに落ち着かせてくれました。そして、おじいさんのことが心から愛おしく、大切に思えてくるのでした。

ローリーは、今日の午後にメグから聞いたお話を思い出しながら、おじいさんのために自分のわがままを捨てようと、心に決めました。
「僕は、自分勝手な夢のお城(空中楼閣)なんて諦めよう。おじいちゃんが望むなら、いつまでもずっと一緒にいてあげるんだ。おじいちゃんには、僕しか頼れる家族がいないんだから」
ローリーは、心の中で静かにつぶやきました。

第十四の物語 ひみつ

十月に入ると、風がぐっと冷たくなり、お日様が沈むのも早くなりました。そのため、ジョーは薄暗い屋根裏部屋にこもって、毎日とても忙しく過ごしていました。

いよいよ最後のページを書き終え、自分の名前をおしゃれな飾り文字(花文字)で書き入れると、ジョーはペンをぽんと投げ出して叫びました。
「よし、ついに完成したわ! これでダメなら、もっと上手に書けるようになるまで待つしかないわね!」

ソファにごろんと仰向けに寝転がると、ジョーは出来上がった原稿を最初からじっくりと読み直しました。気になるところに線を引いたり、びっくりマーク(感嘆符)を書き加えたりして、最後にあざやかな赤いリボンで綺麗に束ねました。

この屋根裏部屋にあるジョーの机は、壁に取り付けられた古いブリキ製のキッチン用の棚でした。ジョーは、大切な原稿用紙や数冊の本をその中にしっかりとしまい込みました。屋根裏部屋に住んでいるネズミの「ガリガリさん」にいたずらされないようにするためです。ガリガリさんは、どうやらジョーと同じように本や文章が大好きらしく、放っておくと原稿用紙や本をがりがりとかじってしまうのでした。

ジョーは、そのブリキの棚からもう一つ別の原稿を取り出すと、今書き終えたばかりの原稿と一緒にポケットへぐいっと押し込み、急いで階段を駆け降りました。

そして、誰にも見つからないようにこっそり家を抜け出すと、通りかかった乗り合い馬車を呼び止めて飛び乗りました。何だかとても楽しそうで、いかにも大きな秘密を抱えているといったワクワクした顔をしながら、賑やかな町の方へと向かっていきました。

町に到着すると、ジョーは脇目も振らずに大急ぎで歩き、ある賑やかな通りにある、目指す番地の建物へと突き進んでいきました。

やっとお目当ての建物を見つけ出しましたが、その薄汚れた階段を見上げると、ジョーは急に怖気づいたように立ち止まってしまいました。そして、何を思ったのか、急に踵を返して大急ぎで逃げるように帰ろうとしました。

そんな風に行ったり来たりを二、三回も繰り返したあと、ジョーはついに、まるで虫歯を全部抜いてもらうときのような、ものすごく決意に満ちた、悲しげで恐ろしい顔つきをして、トントンと階段を上っていきました。実はその建物には、歯医者さんも入っていたのです。

その様子を、通りの向かい側にある建物の窓辺で、退屈そうにぶらぶらしていた若い紳士が見つめていました。
「一人であんなところに来るなんて、いかにも彼女らしいな。だけど、もし歯を抜いて気分が悪くなったりしたら大変だ。お家まで付き添ってあげなくちゃ」

ところが、十分も経たないうちに、ジョーは顔を真っ赤にして、何かとんでもなく恐ろしい目にでも遭ったかのように、ものすごい勢いで階段を駆け降りてきました。

その若い紳士というのは、ほかでもない、お隣のローリーでした。ジョーはローリーに気づくと、恥ずかしそうにちょこんと頭を下げてそのまま通り過ぎようとしました。ローリーは慌ててその後を追いかけ、心配そうに尋ねました。
「ねえ、すごく痛かった?」

「ううん、そんなことなかったわ」と、ジョー。

「ずいぶん早く終わったんだね。びっくりしたよ」

「ええ、大成功よ!」

「どうして一人で行ったりしたの?」

「だって、誰にも知られたくなかったんだもの」

「君は本当に、変わっているねえ」「それで、君は結局、何本抜いたんだい?」

ジョーは、ローリーが何を言っているのか分からず彼の顔を見つめましたが、ハッと気づくと、おかしくてたまらないといった様子で笑い出しました。
「二本抜いてもらいたいんだけど、一週間も待たなきゃいけないのよ」

「何を笑っているんだい? また何かいたずらでもしてきたんだね、ジョー」

「あなたこそ、ビリヤード場(玉突屋)で何をしていたの?」

「失礼な、ビリヤード場なんかじゃないよ。体育館さ。僕はフェンシング(剣術)を習っているんだ」

「まあ、嬉しい!」

「どうしてだい?」

「だって、私に教えてもらえるじゃない。そうすれば、今度みんなで『ハムレット』のお芝居をするとき、あなたがレアティーズの役をやって、二人であの素晴らしい剣術のシーンが演じられるもの」

ローリーが思わず吹き出したので、通りかかった人が二、三名、振り返って二人を見ました。
「教えてあげるよ。ハムレットはともかく、フェンシングは面白いよ。やれば姿勢もシャキッとするしね。でも、ただそれだけのために、あんなに『嬉しい』なんて力説したとは思えないんだけどな」

「その通りよ。あなたがビリヤード場にいなかったのが嬉しかったの。あなた、あそこへ行くことがあるの?」

「そんなに頻繁には行かないよ」

「全然行かない方がいいわよ」

「別に悪いことなんてないじゃないか。家のビリヤード台じゃ、上手な相手がいなくてつまらないんだ。だから時々行って、ネッド・モファットや他の連中と勝負するんだよ」

「嫌だわ。

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