初級翻訳・虫喰い算大会 第5話

海野 十三

ところが、どっこい! Qは絶対に「2」じゃなきゃいけないんだ。
「3」になることは許されないんだよ。
なぜなら、「QとNはどちらも偶数」だって、さっき決めたばかりだからね。

21N
   ______
1M5)2TPAI
    2I0
    ―――――
     2PA
     1M5
     ――――
     111I
     10N0
     ――――
       MI

4つ目の鍵はわりと簡単に見つかったから、「あとの数字もすぐに見つかるだろう」なんて安心していると、大変なことになっちゃうよ。
ここで、6段目と7段目の真ん中あたりを見てごらん。
「11」から「0N」を引いて、あまりが「M」になっているよね。
この関係を別の書き方にしてみると、「N + M = 11」になるんだよ。さきほど「Nは偶数だ」とわかったからには、Mは奇数でなければいけないね。
奇数といっても、「1」と「5」はすでに使われているから、Mは「3」「7」「9」のどれかじゃなきゃいけないんだ。
ところが、このMには、もう一つ大切なルール(制限)があるんだよ。
それは3段目のところを見てみると、割る数の「1M5」に「2」をかけて「2I0」という答えが出ているよね。このことから、Mは「4」、もしくは「4より小さい数」でなければならないんだ。
なぜかって? もしMが「5」以上だったら、かけ算の答えが二桁上がってしまって、3段目の左端が「2」ではなく「3」に変わってしまうからなんだよ。
「Mは4か、4よりも小さい数でなければならない」という条件を、さっき見つけた「Mは3か7か9のどれかである」という条件と合わせると……そう、Mは「3」にするしかないんだ!
これが記念すべき「5つ目の鍵」だよ!
さきほど「N + M = 11」という関係がわかっていたから、このMを「3」に置きかえると、Nは自然と「8」だとわかるよね。
これで、割る数は「135」、答えは「218」だとすべてが明らかになったんだ!
ここまでくれば、あとはもうパパッとすんなり解けてしまうよ。
つまり、次のページに載せているような計算になって、この問題は見事にスッキリと解けたことになるんだ。
名探偵の大・勝・利!
さあ、みんなでシャンパンでもポンと抜こうか、という最高の一幕だね。
もしシャンパンがなければ、冷えたビールで思いっきり乾杯しよう!

      218
   ______
135)29467
    270
    ―――――
     246
     135
     ――――
     1117
     1080
     ――――
       37

C=1
M=3
L=5
Q=2
T=9
P=4
A=6
I=7
N=8
S=0

 さて、ここからは「ものすごく難しい問題の一例」として、なんと「1つの数字のほかは、ぜんぶ穴ぼこ(□)」という驚きの例題を出してみよう。
こんな問題、ただの勘や推理だけで本当に解けるの?って思う人がたくさんいるかもしれないね。でも、ちゃんと論理的な推理だけでビシッと追い詰めていけるんだということを、これからみんなにお知らせしたいんだ。
【例題七】 ひと目見ただけで、「うわ、これは手ごわい超難問だぞ」ということがハッキリとわかるね。
わかっているのは、答えの千の位の数字が「7」だということだけ。
この穴だらけの答えをもし見事に埋められたとしたら、「おいおい、適当に出鱈目(でたらめ)に書いてまぐれ当たりしただけだろ!」とか、「最初から答えを知っていたから書けたんだろ!」なんて、イジワルな見方をする人がいるかもしれないね。
でも、そんなことは全然ないんだよ。ちゃんと頭を使って推理の力でどんどん攻め込んでいけば、ちゃんとにきれいに解けていくんだ。
もちろん、ものすごく骨が折れる大探偵事件だけどね。でも、そんなふうに頭を悩ませて骨が折れるところこそが、虫喰い算ファンにとって本当にたまらない最高の快感なのだ!
それじゃあ、さっそく取りかかるとしよう。

□7□□□
   _________
□□□)□□□□□□□□
    □□□□
   ―――――――――
      □□□
      □□□
      ――――――
      □□□□
       □□□
      ――――――
        □□□□
        □□□□
        ――――
           0

 まず最初の第一歩は、「0」を探すことだ。
これはとっても簡単だよ。
答えの十の位にある□は、「0」なんだ。
なぜかって? 8段目をよーく見てごらん、上から一気に数字が二桁も降りてきているだろう。
だから、答えの十の位が「0」であることは一目瞭然というわけさ。
さっそく、その□の中に「0」を書き込もう。
お次は、答えの万の位と一の位は、どちらも「7」より大きな数字だとわかるんだ。
つまり、「8」か「9」のどちらかだね。
なぜなら、もし「7」だとすると、計算してみたときに5段目のように三桁になるはずなのに、万の位の計算である3段目も、一の位の計算である9段目も、どちらも四桁の数字になっているからなんだ。
だから、どっちも7より大きい「8」か「9」のどちらかだと決まるんだね。
それじゃあ次は、6段目の左端に注目してみよう。
ここは絶対に「1」でなければならないよ。
7段目で一桁下がって引き算をしているのに、その下には何も数字が余っていない(つまり桁が増えていない)のだから、間違いないなく「1」なんだ。
そして今度は、2段目の左端にある、割る数の百の位の数字も「1」でなければならないと判定を下そう。
なぜなら、答えの千の位の「7」と、三桁の割る数をかけたものが、5段目に表れているように「同じ三桁」になっている以上、割る数の百の位の数字は「1」でなければ話が合わないからさ。
もし「2」以上だったら四桁以上になってしまうから、不都合で成り立たないんだよ。
ということは、3段目の左端と、9段目の左端も、どちらも「1」でなければならないね。
なぜなら、割る数の百の位の数字が「1」と決まった以上、この四桁の数字の左端には、どんな数字をかけようとも「1」以外の数字は絶対に現れ得ないからなんだ。
そうすると、8段目の左端も「1」でなければならないことになるね。
なぜなら、この8段目は9段目の計算結果とまったく同じものだからだ。
まあ、このあたりで一度、これまでの計算の様子を整理して下に示しておこう。
ただし、記号の「▲」は、「8」か「9」のどちらかを表している印だからね。▲7□0▲
   _________
1□□)□□□□□□□□
    1□□□
   ―――――――――
      □□□
      □□□
      ――――――
      1□□□
       □□□
      ――――――
        1□□□
        1□□□
        ――――
           0

 こうしてやっと7、8個の穴を埋めることができたけれど、残りの穴はなんと32個もあるんだ。

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