初級翻訳・迷子ノジヤガイモ 第1話

村山 籌子

たまねぎさんは、絵かきさんでした。
それで、田舎の景色ばかり描くのに飽きて、街の写生をしようと思って街にやってきたのですが、田舎者のたまねぎさんは道に迷ってしまいました。
交番に行くと、かわいらしい女の子のおまわりさんがいて、ノートを調べてくれましたが、たまねぎさんの住んでいる村というのがさっぱりわかりませんでした。
「たまねぎの絵かきさんなんて聞いたことがない」
これにはたまねぎさんも困ってしまいました。
けれども、不思議なことがあるものです。
ひょっこりそこへ、洋服を着たじゃがいもの紳士がやってきました。
たまねぎさんの友達です。
そして、こう言いました。
「本当に、これは絵かきのたまねぎです」
けれどもおまわりさんは、
「ウソです。ウソです。そんなウソをつくようなたまねぎやじゃがいもは、出来そこないだろう」
と言いましたので、二人は腹が立つやら恥ずかしいやらで困ってしまいました。
二度目の不思議が起こりました。
向こうから、たまねぎさんの村のおまわりさんが走ってきました。
親切なガチョウさんです。
たまねぎさんが迷子になるかもしれないと思って、あとから追いかけてきたところなのです。
「本当に、このたまねぎさんは絵かきさんです」
アヒルのおまわりさんがこう言ってくれたので、たまねぎさんとじゃがいもさんは、どんなにかうれしかったでしょう。
「まあ、本当ですか? 人間の中でも、そんなに利こう気な子どもはあまりいませんよ」
女の子のおまわりさんが、こうほめてくれたのですから。

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