初級翻訳・お伽草紙 第23話

お伽草紙

カゴメ カゴメ
カゴノナカノ スズメ
イツ イツ デハル

この歌は、仙台に限らず日本全国で子供の遊び歌になっているようだが、「カゴノナカノ スズメ」と言って、あえて籠の中の小鳥を「雀」と限定しているところや、「デハル(出る)」という東北の方言が何の違和感もなく自然に混ざっているところを見ると、やはりこれは仙台地方の民謡だと言っても間違いではないだろう、と私は思った。

このお爺さんの庵(いおり)の周りにある大きな竹やぶにも、数え切れないほどの雀が住んでいて、朝と夕方には耳が痛くなるほど騒ぎ立てる。
今年の秋の終わり、竹やぶに霰(あられ)がパラパラと爽やかな音を立てて降る朝のことだ。お爺さんは庭の土の上で、足をくじいて仰向けにもがいている小さな雀を見つけた。黙って拾い上げると、部屋の囲炉裏のそばに置いて餌をやってみた。
雀は足の怪我が治ってからも、お爺さんの部屋で遊ぶようになった。たまに庭へ飛び降りることもあるが、すぐにまた縁側へ戻ってきて、お爺さんが投げてやる餌をついばむ。糞をすると、お婆さんが「あら、汚い!」と言って追い払うけれど、お爺さんは黙って立ち上がり、懐紙(かいし)で縁側の糞を丁寧に拭き取るのだった。

日が経つにつれて、雀にも「甘えていい人」と「そうでない人」の区別がつくようになったらしい。家にお婆さんしかいない時には、庭先や軒下に隠れているが、お爺さんが現れるとすぐに飛んできて、お爺さんの頭の上にチョンと止まったり、机の上を跳ね回ったりする。硯(すずり)の水を喉を鳴らして飲んだり、筆立ての中に隠れたりして、お爺さんの勉強を邪魔するのだ。
それでも、お爺さんはたいてい知らんぷりをしている。世の中のペット愛好家たちのように、自分の飼っている鳥に気恥ずかしいような名前をつけて、「ルミや、お前も寂しいかい?」なんてことは言わない。雀がどこで何をしていようと、まったく無関心な様子を見せている。
そうして時々、黙って台所から餌を一握り持ってきては、バラバラと縁側に撒いてやるだけだ。

その雀が、いまお婆さんが去ったあと、パタパタと軒下から飛んできて、お爺さんが頬杖をついている机の端にチョンと止まった。
お爺さんは少しも表情を変えず、黙って雀を見つめている。
このあたりから、この小雀の身の上に、悲劇が始まろうとしている。
お爺さんは、しばらく経ってから一言だけ言った。
「そうか」」と言いました。
それから深い溜息をついて、机の上に本を広げました。
その本のページを一枚、二枚とめくってから、また頬杖をついてぼんやりと前を見つめながら、「洗濯をするために生まれてきたのではない、と言い放ちやがった。あれでもまだ、色気というものがあるらしいな」とつぶやいて、かすかに苦笑いします。
その時、突然、机の上にいた小雀が人間の言葉で話し出しました。
「あなたは、どうなの?」
お爺さんは特に驚く様子もなく、答えました。
「おれか。おれは、そうだな、本当のことを言うために生まれてきたんだ」
「でも、あなたは何も言わないじゃないの」
「世の中の人はみんな嘘つきだから、話をするのが嫌になったのさ。みんな、嘘ばかりついている。そしてさらに恐ろしいのは、その嘘を自分自身でも気づいていないことだよ」
「それは怠け者の言い訳よ。ちょっと勉強なんかすると、誰だってそんなふうに横着な気取り方をしたくなるものね。あなたは何もしていないじゃないの。『寝ている人を起こすなかれ』なんて言葉もあったわよ。人のことなんて言える立場じゃないわ」
「それもそうだが」とお爺さんは慌てずに続けました。「しかし、おれのような男がいてもいいんだ。おれは何もしていないように見えるだろうが、まんざらそうでもない。おれでなきゃできないこともある。おれが生きている間に、自分の真価を発揮できるチャンスが来るかどうかはわからない。でも、その時が来たら、おれだって大いに働くつもりだ。その時までは、まあ、沈黙して読書でもしているさ」
「どうだか」と雀は小首を傾げました。「意気地なしの弱虫に限って、よくそんな負け惜しみを言うものだわ。廃残の隠居とでも言うのかしら。あなたのようなよぼよぼのお年寄りは、二度と帰らない昔の夢を、未来の希望だと思い込んで自分を慰めているのよ。お気の毒ね。そんなの、気焔(きえん)を上げているうちにも入らないわ。ひねくれた愚痴よ。だって、あなたは何もいいことをしていないんだもの」
「そう言われれば、まあ、そんなものかもしれないが」と老人はますます落ち着いた様子で言いました。「しかし、おれだって今、立派に実行していることが一つある。それは何かといえば、『無欲』ということだ。言うのは簡単だけど、行うのは難しいものだよ。うちのお婆さんだって、おれみたいな者と十何年も一緒に暮らしてきたんだから、いい加減に世間の欲なんて捨てているかと思いきや、どうもそうでもないらしい。まだあれで、何か色気があるみたいなんだね。それが可笑しくて、ついひとりで吹き出してしまったというわけさ」
そこへ、ぬっとお婆さんが顔を出しました。
「色気なんてありませんよ! おや? あなたは誰と話をしていました? 誰か若い娘さんの声が聞こえましたがね。あのお客さんはどこへ行きました?」
「お客さんか」お爺さんはいつものように言葉を濁します。
「いいえ、あなたは今、確かに誰かと話していましたよ。それも私の悪口をね。まあ、どうでしょう。私にものを言うときは、いつも口ごもって聞き取れないような面倒くさそうな言い方ばかりするくせに、あの娘さんにはまるで人が変わったみたいに若々しい声を出して、とてもご機嫌そうにおしゃべりしていたじゃありませんか。あなたこそ、まだ色気がありますよ。ありすぎて、べたべたです」
「そうかな」とお爺さんはぼんやりと答えました。「しかし、誰もいやしないよ」
「からかわないでください!」お婆さんは本気で怒った様子で、ドスンと縁側に腰を下ろしました。「あなたは一体、この私を何だと思っているのですか。私はこれまで、ずいぶん我慢してきましたよ。あなたはもう、私のことを完全に馬鹿にしているんですもの。そりゃあ私は、育ちもよくないし学問もないから、あなたのお話相手にはなれないかもしれません。でも、あんまりですわ。私だって若い時からあなたのお家へ奉公に上がって、ずっとお世話をさせてもらって……。それがまあ、こんなことになって。あなたの親御さんだって、『あれならばなかなかしっかり者だし、せがれと一緒にさせても……』と仰っていたのに」
「嘘ばかりだ」
「おや、どこが嘘なのですか! 私がどんな嘘をつきました? だって、そうじゃありませんか。あの頃、あなたの気心を一番よく知っていたのは私じゃありませんか。私でなきゃ駄目だったんです。だから私が一生、あなたの面倒を見てあげることになったんじゃないですか。どこが、どんなふうに嘘なのですか。それを教えてください!」と、お婆さんは顔色を変えて詰め寄ります。
「みんな嘘さ。あの頃のお前の色気といったらなかったぜ。それだけさ」
「それは一体、どういう意味ですか。私にはわかりません。

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