初級翻訳・小公女 第7話

小公女

セーラは毛皮の上に寝転んでは、頭のところを撫でたり、猫に話しかけるように何か言ったりしているわ」

「あの子は、いつでも何かしら馬鹿げたことをしているのね」ラヴィニアは声を高くして言いました。「うちのお母さんが言っていたわ。あの子みたいに、ありもしないことをありそうに考えるのは馬鹿げているって。そういう女は大きくなってから変人になるんですって」

セーラが「偉ぶらなかった」のは真実でした。彼女は思いやりがあって、慎ましい少女でした。そして持っているものは、惜しげもなく分けてやりました。いじめられている小さな子供たちを、よく労わってあげました。転んで膝小僧をすりむいたりしていると、母親のように駆け寄って助け起こし、ポケットからキャンディを出してやるという風でした。だから、年下の少女たちはセーラを崇拝していました。彼女は何度も嫌われている少女たちを自分の部屋に招いて、お茶会を開きました。そんな時にはエミリイも一緒に遊びの相手をしました。そして、エミリイもやはりお茶の仲間入りをするのでした。エミリイのお茶は、青い花模様のあるお茶碗に、薄めて注がれるのでした。少女たちは、人形用の茶道具など見たこともありませんでした。それ以来、低学年の少女たちは、セーラを女神か女王様のように崇め始めました。

ロッティ・リーなどは、しつこいほどセーラにつきまとっていました。セーラは母性のような気持ちを持っていましたので、別にうるさいとも感じませんでしたが、ロッティもまた早くに母を失った一人でした。彼女は誰かが「母親のない子は特別可愛がらなければならない」と言っているのを聞き、いい気になってわがままを募らせました。若い父親は彼女を持て余したあげく、学校にでも入れるより他ないと思って、ここに連れてきたのでした。セーラが初めてロッティの面倒をみてやったのは、ある朝のことでした。
セーラがある部屋の前を通ると、誰かが怒って泣きわめく声と、それをおし鎮めようとしているミス・ミンチンと、アメリア先生の声が聞こえてきました。
その女の子は、なだめられればなだめられるほど、さらに激しく泣き立てるのでした。
さすがのミス・ミンチンもそれには我慢できなくなり、廊下にまで聞こえるような大きな声で叫び始めました。
「なぜ泣くのです!」
「うわーん、うわーん、うわーん、私には――お母ちゃんがいないのよー!」
「まあ、ロッティったら!」アメリア先生が金切り声を上げました。
「泣くのはやめてちょうだい。いい子だから、泣かないでね。お願いだから」
「うわーん、うわーん、うわーん」ロッティは嵐のように泣き叫びました。「お母ちゃんが――いないのよー!」
「この子は、鞭で打ってやる」とミス・ミンチンが宣告しました。「鞭で打ってやるわ。わがままな子め!」
ロッティはさらに大きな声を上げました。ミンチン先生の声も、まるで雷のようでした。
すると突然、先生は裾を翻して廊下に飛び出してきました。
先生はセーラを見ると、困ったような顔をしました。泣きわめく声を聞かれてしまったからです。
「あら、セーラさん」と、先生は作り笑いを浮かべました。
「私、ロッティちゃんの声がしたので、立ち止まっていたの。……あの、もしよろしければ、私があの子をなだめて差し上げられるかもしれません。中に入ってみてもよろしいでしょうか、先生?」
「できるならやってごらんなさい。あなたは利口だから」先生は口を尖らせましたが、セーラが自分の剣幕におどおどしているのを見ると、急に顔を和らげて付け加えました。「あなたは何でもできる子だから、きっとあの子の世話もできるでしょう。入りなさい」

ロッティは床に転がって、ひいひい言いながら、小さな太った足で激しく床を蹴り上げていました。
アメリア先生は顔を真っ赤にして、ロッティにのしかかっていました。
「まあ、可哀想に。お母さんがいないことも知っているのよ。可哀想にねぇ――」と思えば、今度は調子をがらりと変えて、「黙らないと振り回してやるわよ! ほら、また! この根性曲がりの憎まれっ子! 打ってやるから!」
セーラは静かに二人のそばへ行きました。
「アメリア先生」セーラは低い声で言いました。「ミンチン先生が、私に止めてみてもいいとおっしゃったので」
アメリア先生は振り返り、「あなたに止められるというの?」とおぼつかなさそうに息を呑みました。
「できるかどうかは分かりませんが、まあやってみますわ」
アメリア先生はほっとした様子でため息をつき、膝を立て直しました。
ロッティはむくむくした足を、また激しくじたばたさせました。
セーラはアメリア先生を部屋から送り出すと、しばらく吠え立てるロッティのそばに、黙って立っていました。
泣き声のほかには何の音もしませんでした。
ロッティにとって、こんな対応は初めてのことでした。
涙で濡れた目を開いて見ると、そこに立っているのはあのセーラでした。
ロッティはセーラを認めると、一瞬だけ泣きやみましたが、すぐまた泣き始めなければなるまいと思ったようでした。
しかし、部屋の中はあまりに静かで、セーラが黙って立っているので、泣くのにも気が乗らなくなってしまいました。
「私――お――お――お母ちゃんが――いないのよー!」
「あたしだって、いないわ」
思いがけないセーラの言葉に、ロッティはたちまちじたばたするのをやめて、寝たままセーラの方をじっと見つめ始めました。
ロッティはまだ泣き足りない気持ちでしたが、やっと少し、すすり泣きができる程度になりました。
「お母ちゃん、どこ?」
「お母様は天国へいらしたのよ。でも、きっと時々私達に会いにいらっしゃるのよ。私達の目には見えないけれど、あなたのお母様だって、きっとそうなのよ。お二人は今頃、私達を見ていらっしゃるかもしれないわ。お二人とも、きっとこの部屋にいらっしゃるのよ」
ロッティはいきなりしゃんと座って、あたりを見回しました。
彼女は美しい巻き毛を持っていました。円らな瞳は、濡れたワスレナグサのようでした。
セーラは、母のことをいろいろと話し続けました。
「天国は、花の咲いた野原ばかりなのよ。そよ風が吹くと、百合の匂いが青空に昇っていくの。そして、みんないつでもその匂いを吸っているのよ。小さい子達は花の中を駆け回って、笑ったり、花輪を作ったりしているの。街はぴかぴか光っていて、いくら歩いても疲れるなんてことはないのよ。どこにでも行きたいところへ飛んで行けるの。それから街のまわりには、真珠や金でできた壁が立っているの。でも、みんなが行って寄りかかれるように低く作られているのよ」みんなそこから下界を覗いては、にっこり笑って、素敵な手紙を送ってくださるのよ。」

セーラがどんなお話をしたとしても、ロッティはきっと泣きやんで、うっとりと聞き入ったことでしょう。ましてやこのお話は、他のどんなお話よりも美しいものでした。ロッティはセーラにすり寄って、一言一句に夢中になっているうち、いつの間にか物語は終わってしまいました。ロッティはあまりの残り惜しさに、またしても泣き出しそうな口の尖らせ方をしました。

「わたいも、そこへ行きたいわ。

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