初級翻訳・小公女 第39話

小公女

「私は誓って、あの子を手放したくない。」
体に障るといけないからと、セーラを別室へ連れて行こうという話が出たとき、カリスフォード氏は力なく、カーマイケル氏にそう言いました。
「この方の世話は、私がしてあげましょう。」と、ジャネットは言いました。「もうすぐ、お母様もいらっしゃるでしょう。」
ジャネットは、セーラを書斎から連れ出すと、こう言いました。
「あなたが見つかって、私たちは嬉しくてたまらないのよ。」あなたがどれほど喜んでいるか、私には想像もつかないくらいよ。

ドナルドは両手をポケットに入れたまま立っていました。彼は自分自身のことを振り返り、少し後悔しているようでした。
「僕がお金をあげたとき、あなたの名前をちょっと聞いてさえいればよかったんだ。そうすれば、あなたはきっと『セーラ・クルーです』と答えてくれたはずだし、わざわざ探す手間もいらなかったのにね」

そこへ、カーマイケル夫人が入ってきました。夫人はひどく感動している様子でした。彼女は突然、セーラを抱きしめてキスをしました。
「お嬢さん、すっかりびっくりしてしまったのね。でも、驚くのも無理はないわ」

セーラは、何と言われても、ある一つのこと以外考えられませんでした。彼女は閉まった書斎の扉の方をちらりと見て言いました。
「あの方ね、あの方が、お父様のあの、悲しい出来事のお友達だったの? 本当にそうなの?」

カーマイケル夫人は泣きながら、またセーラにキスをしました。この子は長い間、誰からもキスをされたことがなかったのだから、何度も何度もしてあげなければならない、と夫人は思ったのです。
「あの方は、決して悪い方ではなかったのですよ。あの方が、あなたのお父様のお金を失くしてしまったわけではないのです。ただ、失くしてしまったと思い込んでいただけなのです。それに、あの方はお父様を深く愛していたからこそ、悲しみのあまり病気になって、一時は心まで病んでしまったほどなのですよ。あの方も、熱病で死にそうだったのです。けれど、あなたのお父様は、あの方の病気がまだ重いさなかに、亡くなってしまったのですよ」

「そうして、あの方は、私がどこにいるのかご存知なかったのね。私はこんなに近くにいたのに」
セーラの頭には、どうしてか「こんなに近くにいたのに」という言葉がずっとこびりついていました。

「あの方は、あなたがパリの学校にいらっしゃるとばかり思っていたのですよ」カーマイケル夫人は優しく言い聞かせました。「それに、いつも間違った手がかりに振り回されてばかりいたのです。でも、あの方はあらゆる場所を訪ねて、あなたを探し回っていたのですよ。あなたが惨めな姿で通りかかるのを見ていながらも、それがかつての大切な友人の娘だとは気づかなかったのね。でも、あの方は、あなたと同じくらいの小さな女の子が困っているのを見て、放っておけなくて、何とかして幸せにしてあげたいと思ったのです。だから、あの方はラム・ダスに言いつけて、あなたのお部屋の天窓から、いろいろなものを届けさせたのですよ」

セーラは、うれしさのあまり飛び上がるほどでした。彼女の顔色はみるみるうちに輝き出しました。
「じゃあ、あれはみんなラム・ダスさんが持ってきてくださったのですか? あの方がラム・ダスさんに言いつけたのですって? 私の夢を現実にしてくださったのは、それじゃあ、あの方だったのですね」

「そうですとも。あの方は、とても親切な方なのですよ。あの方は、行方の知れないセーラ・クルーのことを想えばこそ、あなたのことも放っておけなかったのですよ」

その時、書斎の扉が開いてカーマイケル氏が姿を見せ、セーラに来いというように合図をしました。
「カリスフォードさんは、すっかり気分が良くなりました。だから、あなたに来てほしいと仰っていますよ」

セーラは、カーマイケル氏の言葉が終わるのを待たずに書斎へと入っていきました。入っていった時のセーラの顔は、さっきとはまるで別人のように明るくなっていました。セーラは紳士の椅子のそばに立ち、両手を胸の前で組んで、うれしそうに言いました。
「あなたがあの、素敵なプレゼントをたくさんくださったのですね」

「そうだよ、かわいいお嬢さん。私が送ってあげたのだよ」
紳士は長い間の病気と心配のせいで、心も体も弱り果てていました。しかし、彼はセーラを抱きしめてやりたいというような、優しい瞳でセーラを見つめました。セーラは父からも、よくこれに似た眼差しを向けられたものでした。セーラはその眼差しを見ると、すぐに紳士のそばに跪きました。かつて父とセーラが無二の親友であり、愛し合っていた頃、父のそばに跪いたときと同じように。
「じゃあ、私のお友達はあなただったのですね。あなたが私のお友達だったのですわね」

そう言うと、セーラは紳士の痩せ細った手の上に顔を押し当てて、何度も何度もキスをしました。それを見ていたカーマイケル氏は、妻に囁きました。
「あの人も、もう三週間もすれば、きっと元の健康な体に戻るだろうよ。ほら、あの様子をごらん」

カーマイケル氏が言った通り、紳士の様子はすっかり変わりました。「小さな奥様」が見つかったからには、これからはまた、新しい幸せな計画を考えなければなりません。まず第一に、ミンチン先生の問題がありました。
一応先生にも面会の上、生徒の一身上に起きた変化を報告しなければならないでしょう。
そして、セーラはもう学校には戻らないことになりました。
印度の紳士はその点だけは、何といっても譲りませんでした。
セーラは紳士の家に留まらなければならず、ミンチン先生のところへはカーマイケル氏がわざわざ出向いて話をしてくるというのです。
「帰らなくてもいいんですって? まあ、うれしい!」とセーラは言いました。
「先生は、きっとお怒りになるわ。あの方は、私がお嫌いなのよ。でも、それは私が悪いからかもしれませんわ。なぜって、私の方でも先生のことが嫌いですもの」
だが、そこへちょうどミンチン先生自身が、セーラを探しにやって来ましたので、カーマイケル氏はわざわざ出掛けて行かなくても済んだのでした。

その晩、学校では皆いつものように、教室の暖炉の前に集まっていました。
そこへアーミンガードが一通の手紙を持って、丸い顔に妙な表情を浮かべながら入ってきました。
「どうしたの?」と、二、三人が同時に叫びました。
「私、たった今、セーラさんからこのお手紙をいただいたの」
「セーラからですって?」「セーラはどこにいるの?」
「お隣よ。印度の小父さまの所にいるのよ」
「え? あの子は追い出されたの?」「ミンチン先生は、そのことを知っているの?」「どうして、手紙なんかくれたの?」「よう、話してったら!」
あまりの騒ぎにロッティなどは泣き出しました。
アーミンガードはのろのろと説明し始めました。
「ダイヤモンドの鉱山はやっぱりあったのよ。やっぱりあったんですって」
開いた口と見開いた目が、一斉に彼女に向けられました。
「あの話は真実だったのよ。何か起きて、ちょっとの間カリスフォードさんももう駄目だと――」
「カリスフォードさんて?」とジェシーが叫びました。
「印度の紳士よ。

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