そして、「今度こそ何でも探し出してやる」と言って、部屋の中のものを一つひとつ見て回りました。
そして最後に、ジャックが隠れているお釜の蓋に手をかけました。
ジャックは「ああ、今度こそダメだ」と思って震えていましたが、それこそ妖精が守ってくれているのでしょうか、大男はふと気が変わって、そのまま囲炉裏のそばに座り込みました。
「まあいいや。腹が減った。晩飯にしよう」と言いました。
さて、晩飯が終わると、大男はおかみさんに言いました。
「にわとりは盗まれる、金の袋も銀の袋も盗まれる。仕方がない、今夜はハープでも鳴らすかな」
ジャックがそっとお釜の蓋を開けて覗いてみると、宝石で飾られた見事なハープ(竪琴)が目に入りました。
鬼の大男はハープをテーブルの上に載せて「鳴り出せ」と言いました。
すると、ハープは勝手に鳴り出しました。
しかもその音色の美しさといったら、どんな楽器だってこれだけの音にはかなわないほどでしたから、ジャックは金の卵を産むにわとりよりも、金と銀がいっぱい詰まった袋よりも、もっともっとこのハープが欲しくなりました。
そうしているうちに、ハープの音楽が楽しい子守歌になったのか、さすがの鬼もいい気分になって眠り込んでしまいました。
ジャックは「しめた!」と思って、そっとお釜の中から抜け出すと、すばやくハープを抱えて逃げ出しました。
ところが、あいにくこのハープには魔法がかけられていて、とたんに大きな声で「起きろよ、旦那さん! 起きろよ、旦那さん!」と叫びました。
これで大男も目を覚ましました。
むっくりと立ち上がってみると、ちっぽけな小僧が大きなハープを、よいしょと抱えて逃げていくのが見えました。
「待て小僧! 貴様、にわとりを盗んで、金の袋、銀の袋を盗んで、今度はハープまで盗むのか!」と大男はわめきながら追いかけてきました。
「つかまるならつかまえてみろ!」
ジャックは負けずに言い返しながら、それでも一生懸命に駆けました。
大男も、お酒に酔った足をふみしめふみしめ、よたよたと走りました。
その間も、ハープは絶えず「からん、からん」と鳴り続けていました。
やっとのことで豆の木の梯子のところまで来ると、ジャックはハープに向かって「もうやめろ!」と言いました。するとハープは黙り込みました。
ジャックはハープを抱えたまま、豆の木の梯子を降り始めました。
はるか目の下では、お母さんが小屋の前に立って、泣きはらした目で空を見つめていました。
そうこうするうちに大男が追いついてきて、もう片足を梯子にかけました。
「お母さん、お泣きでない!」ジャックは上から精一杯呼びました。
「それより、斧を持ってきておくれ。早く、早く!」
もう一分も待てません。
大男は「ミシリ、ミシリ」と梯子を伝って降りてきます。
ジャックは気が気ではありません。身が軽いのを幸いに、ハープを抱えたまま、梯子の途中でツバメのような早業でクルリとひっくり返り、高い上から飛び降りました。
そこへお母さんが斧を持って駆けつけたので、ジャックは斧を振り上げ、いきなり梯子の根元から、プッツリと切り離しました。そのとき、まだ梯子の中ほどを降りかけていた大男は、切れた豆のつるを掴んだまま、大きな体の重みで「ズシン!」と、それこそ地面がめり込むような大きな音を立てて、真っ逆さまに落ちてきました。
そして、その勢いで目を回して、そのまま息を引き取ってしまいました。
ちょうどそのとき、以前、はじめてジャックに出会って道案内をしてくれた妖女が、今度は以前とはまるで違う、目の覚めるように美しい女性の姿になって、またそこへ現れました。
きらびやかで上品な貴婦人のような身なりをして、手には白い杖を持っていました。
杖の頭には、純金の孔雀を止まらせていました。
そして、あの不思議な豆がジャックの手に入るようになったのも、ジャックを試すために自分が仕組んだことなのだと告げると、妖女はこう言い聞かせました。
「あのとき、豆の梯子を見て、すぐにそのまま、どこまでも登っていこうという勇気を出したのが、そもそもジャックの運が開ける始まりだったのですよ。
あれを、ただぼんやりと『不思議だなあ』と思って眺めるだけで通り過ぎていたら、取り替えっこした牝牛は運良く戻ってきたとしても、あなたたちは相変わらず貧しい暮らしを続けなければならなかったでしょう。
だから、豆の木の梯子を登ったということは、そのまま幸運の梯子を登ったのと同じことなのですよ」
そう言って、妖女はジャックとジャックのお母さんに別れを告げると、どこかへと帰っていきました。
初級翻訳・ジャックと豆の木 第3話
ジャックと豆の木
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