そのうえ、その地域の金持ちたちの言いなりである軍閥が戦いを起こすたびに、重い税金をむしり取られます。
畑はめちゃくちゃに荒らされます。
一年じゅう、いつも飢えに苦しんでいるような状態です。
その上に、日本やアメリカ、イギリスといった強い国々が攻めてきたら、だまってがまんしていられるでしょうか?
中国の働く人たちはみんなで立ち上がり、「どんな国の金持ちの侵略も、絶対にゆるさない!」と叫び声をあげました。
中国には、働く人たちや農民が自分たちの力で国を治めている「ソヴェト」の土地がいくつもできています。
そこが中心となって、外国の侵略をやめさせるための運動を大きくひろげました。
東京の白木屋で行われた展覧会には、くわしい事情をよく知らない見物人たちを怒らせるために、日本を排斥するビラだけが、それはもう念入りに集められてずらりと並べられていました。
まったくおかしな話です。
中国の人たちが怒っているのは、日本人を追い出そうとしている(排日)だけではありません。
イギリスを追い出そうとし(排英)、
アメリカを追い出そうとしています(排米)。
そして、自分たちの国から中国の金持ちや地主や軍閥たちまで追い払って、まるごと働く人たちの国である「ソヴェト」にしたいと願っているのです。
ジュネーブの国際連盟で、各国の大金持ちたちがやっていることは、ただ中国という大きなケーキの切り分け方をめぐって、お互いに腹の探り合いをしているだけではありません。
「どうしたら中国のソヴェト地域を完全にぶっ潰せるか」
「あわよくば、このチャンスにソヴェト連邦そのものもぶっ潰してやろう」
ということを、みんなで熱心に企んでいるのです。
分け前のこととなると、各国の金持ちたちはいがみ合ってケンカをします。
(このあいだ、ラジオのJOAKで徳川公爵という人が、「国際連盟なんてこわがるな」と、お殿様らしくもない、大金持ちや地主たちの代弁者みたいな放送をしていました。)
しかし、いざ「中国のソヴェト地域」や「ソヴェト連邦」の話題になると、みんな仲よく手を取り合います。
お互いに力を貸し合うのです。
それはいったいなぜでしょうか?
世界の金持ちや地主たちにとって、働く人たち自身が生産をコントロールし、自分たちの手で政治を行っている「社会主義の国」ほど、憎くて恐ろしいものはないからです。
ソヴェト連邦があるせいで、世界中の働く大衆たちは、はっきりと気づいてしまいました。
「しぼり取られなくても生きていける世の中は、自分たちの力で新しく作り上げることができるんだ」と。
しかも、すべての生産がソヴェト連邦では計画的に、大衆みんなの協力によって社会主義のやり方でどんどん進められています。だから、資本家たちが自分の利益のためにやっているような、くだらない足の引っ張り合いやムダな競争がありません。
世界中がどこもかしこも大変な不景気で苦しんでいるというのに、ソヴェト連邦だけはどうでしょう!
「五カ年計画」が順調に進んで、仕事がない人(失業)は一人もいません。
働く時間は、八時間から七時間に短くなりました。
お給料はどんどん上がっています。
農民たちのくらしも、みんなで力をあわせる「集団農場」のおかげで、目を見張るほど楽になってきています。
どこの国の働く人たちだって、労働者の立場になって考えてみれば、「自分の国もあんなふうにしたい!」と思いますよね。
大衆のそんな願いは、深刻な不景気が続くにつれて、だんだんとはっきりした形になってあらわれてきます。
だからこそ、各国の大金持ちたちは、自分たちのせいで苦しくなっているという大衆の怒りの矛先を、ほかのものに向けさせようと必死になってごまかしているのです。自分たちの身代わりとなる「敵らしいもの」を外に見つけ出し、それに大衆の目を向けさせようとしています。
いま、わたしたちは「満州や蒙古の権利や利益を守らなければ大変だ!」というもっともらしいウソを、無理やり信じ込まされているわけです。
一昨年からの大不景気は、とにかく一般のくらしにものすごい打撃を与えてきました。
ましてや、一年のおしまいである師走が近づいてくると、だれもが「どうにかしてこの生活を何とかしなければ……」という不安な気持ちでいっぱいになっていました。
そこへ、「まるでこの世界中の大不景気(ソヴェト連邦をのぞいてですが)が、これでパッと救われでもするように」「わたしたちしぼり取られている人間の命綱が、まさにそこにあるかのように」満州や蒙古での事件をこれでもかと大げさに言いふらしたのです。
「何とかしてくれ」という行き詰まった世の中のムードは、こうしてうまく大金持ちや地主たちからそらされ、別の方向へと向けられてしまったのです。
それだけではありません。
この満蒙事件をきっかけにして、金持ちや地主たちの政府は「愛国主義」や「ファシズム」という旗を大きくふりかざし、働く人たちが立ち上がろうとするすべてのパワーを、根こそぎ押しつぶそうとしているのです。
満州や蒙古の問題を、まるで「国中みんなが一つになって、労働者も農民も小市民も、みんな一丸となって協力しなければならない問題」であるかのように見せかけている、そのやり方の中にこそ、彼らのきたならしい下心がまるわかりで表れているのです。
「こんな一大事のときにストライキなんぞをするやつがあるか、この国賊めが!」
「小作争議なんぞやってる場合か、このトンチキめ! トテトテトウ! テテトテトウ!」
こんなごまかしの騒ぎに巻き込まれて、命まで奪われるなんてまっぴらごめんです。
「そんなものお断りだ!」と言わせはしない。
この大事なときに戦争に反対するような者は「身内に巣食う裏切り者(獅子身中の虫だ)」と言って、徹底的におさえつけようとしています。
みなさん。
金持ちや地主たちは、遠く離れた満州や蒙古へ兵士を送り出したわけではありません。
本当は、いまこの日本で盛り上がろうとしているわたしたち労働者大衆の強いパワーを、上から押さえつけて黙らせるために、兵士たちを送り出しているのです。
だからこそ、いつもは労働者のストライキを裏切って売り飛ばしたり、お給料を下げられることに協力したりしている「社会民主党」や「労農大衆党」といった、金持ちや地主の手代(手下)のようなニセモノの無産政党たちは、今回のこの出来事について、いったい何と言っているでしょうか?主人から「ワンと鳴け」と言われたら、その通りに「ワン、ワン」と言っている。
――しぼり取られている私たち大衆の立場からだって、満州や蒙古の権利や利益を守るのは認められるなどと、ウソをついている。
大金持ちや地主に取り入って、自分たちを放り出してしまうような、正しい労働者や農民たちのパワーを、ついでに〔一字伏字〕つぶそうと企んでいるのです。
私たち働く者はみんな、女性はもちろんのこと、はっきりと、出来事の本当の姿を知っていなければなりません。
満州や蒙古を植民地にしたって、この世に大金持ちや地主がいるかぎり、私たちの解放は絶対にありません。
人をしぼり取る者がいるかぎり、しぼり取られる者たちの苦しみは消えないのです。
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