不景気の根っこがなくなるなどと思ったら大間違いです。
世界の不景気は、世界中の大金持ちや地主たち自身が作り出しているものなのですから。
中国の私たちと同じようにしぼり取られている大衆のことなんか知ったことか!
機械は働く人たちのためにまわり、田畑は耕す人たちの幸せのために実る社会――ソヴェト連盟のようになってこそ、はじめて首を切られることも、仕事がない(失業する)こともない世の中になるのです。
働く者にとって、働く者たちの国であるソヴェト連盟と、中国のソヴェト地域の味方になるのは当然のことです。
大金持ちや地主たちがソヴェト連盟をつぶそうとし、中国のソヴェト地方をやっつけようとする時、つまり私たちが当たり前の権利として自由になろうとするのをやっつけようとする時、私たちは勇ましく〔十字伏字:立ち上がらなければならない〕。
ましてや、働く女性たちはなおさらです。
さて、満蒙事件についてはここまでのお話のとおりですが、白木屋を出たあと、何とも言えない気持ちになりました。
ほんの十一、二歳で、お下髪(おかっぱ)の洋服を着た小学生が二人が、お店の外に立っていて、通りかかる女の人を呼び止め、白い木綿の布に赤い糸で一針ずつ縫ってもらっている。
世間でいう「千人針」です。
「それは何ですか?」
とたずねると、自分のやっていることを疑いもしないで、
「銃弾よけになるんです。満州へ送るんですから、どうぞ」
と、学校の理科の授業で習っているはずの生徒が答えた。
みなさん、この進歩した武器で、飛行機の上から毒ガスの雨を降らせ、爆弾を落とすような戦争で、ちょび、ちょびと赤糸でとめた白い木綿の布が、いったい何の役に立つでしょう。
刀をふりまわしていた昔なら、中に綿を入れた刺し子も多少は役に立ったかもしれないが、今ではまったく何の役にも立たない迷信です。
そんなことをやっている間に、小学生たちは、お兄ちゃんを殺すな! お父ちゃんを殺すな! と、大金持ちの侵略戦争に反対の声をあげるべきではありませんか。
これは、世の中のことがまだよくわからない少女だけではありません。
立派な大学生が、道路の真ん中で、私たちの大金持ちたちの尻馬に乗って、いい気になって寄付をあつめるメガホンをふり回している。
大金持ちが経営している劇場の東京劇場は、さっそくお墨付きの芝居「満蒙事件」を上演する。
大金持ちの新聞の中で、出来事の真実に少しでもふれた報道をしているものがひとつでもあるでしょうか。
ラジオは一日に何度も何度も満蒙のニュースを放送する。
これを見ると、大金持ちの文化というものが、自分たち大金持ちの利益を守るためなら、どんなに恥ずかしげもなくコロッと姿を変えるものなのかが、ありありと理解できるのです。
大金持ち自身の利益になるうちは、ラジオも新聞も劇場も「世界平和主義だ」「お互いに手を取り合おう」と放送する。
それが大金持ちにとって都合が悪くなれば、もっともらしい理屈をつけた言い訳を使って、まったく反対のことをどんどん宣伝するのです。
私たち働く者にとっては、常に私たちの立場に立ち、真実をはっきりと示し、進むべき道を教えてくれる、私たち自身の文化――「プロレタリア文化」がなければなりません。
これまでは、それぞれの団体がバラバラに活動していたさまざまなプロレタリア文化団体が、今度ひとつに結びついて「日本プロレタリア文化連盟」になったのは、本当に喜ばしいことです。
その中には、働く女性大衆のいろいろな文化的な問題を取り上げていく「婦人協議会」というものもあります。
私たちみんなの道を照らす正しいかがり火として、日本プロレタリア文化連盟を守り、強く、輝かしく育てていかなければならないと思います。
〔一九三二年一月〕
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