国務大臣は国の行政を担当する役目を持っていますが、この国務大臣の中から、大蔵省(たいそうしょう/財務省にあたる当時の省庁)、文部省(もんぶしょう)、厚生省(こうせいしょう)、商工省(しょうこうしょう)などの、国の役所のトップになって、それぞれの仕事を分担する人が決まります。
これを「各省大臣(かくしょうだいじん)」といいます。
つまり、国務大臣の中には、この各省大臣になって役所を率いる人と、役所のトップには就かずに国全体の仕事を見守る国務大臣がいるというわけです。
内閣総理大臣が政党から選ばれる以上、まわりの国務大臣もじぶんと同じ政党の仲間から選んだほうが、国の仕事がスムーズに進むので、国務大臣のほとんどは同じ政党のメンバーで占められることになります。
また、ひとつの政党だけでは、国会で自分の意見をなかなか通せないなと思ったときは、意見が近いほかの政党と手を組んで、いっしょに内閣を作ることもあります。
このときは、それぞれの政党から国務大臣が出てきて、力を合わせて国の仕事をすることになります。
さらに、政党の人でなくても、国の仕事にすごくくわしくて優秀な人を、国務大臣としてチームに入れることもあります。
しかし、民主主義のやりかたでは、最終的には政党が内閣を作ることになり、政党から内閣総理大臣やたくさんの国務大臣が誕生することになるので、これを「政党内閣(せいとうないかく)」と呼ぶのです。
内閣は、国の行政をしっかり行い、また、天皇陛下が国の儀式などの仕事をなさるときには、そのサポートとして意見を申し上げたり、ご同意をしたりします。
そして、自分たちがやったすべての仕事について、国民を代表する国会に対して、責任(せきにん)を負わなければなりません。
これは、内閣総理大臣も、ほかの国務大臣も、みんながチーム一丸となって責任を負うのです。
ひとりがバラバラに責任を負うのではありません。
これを「連帯して責任を負う(れんたいしてせきにんをおう)」といいます。
そして国会のほうでも、「いまの内閣はちょっとダメだな」と思えば、いつでも「もうこの内閣のことは信用しない!」と決めることができます。
ただ、これは衆議院だけにできることで、参議院にはできません。
なぜなら、その時々の国民の気持ちや意見をいちばん敏感(びんかん)に映し出しているのは衆議院であり、もし内閣がダメだとなったときに衆議院を解散して選挙をやり直し、「新しい内閣と今の内閣、どっちが本当にいいですか?」と国民に直接ジャッジしてもらうことができるのは、衆議院だけだからです。
衆議院が内閣に対して「もう信用しない!」とビシッと突きつける決議のことを、「不信任決議(ふしんにんけつぎ)」といいます。この不信任決議が決まったときは、内閣は天皇陛下にお伝えして、十日以内に衆議院を解散してもらい、選挙をやり直して国民にどちらがいいか判断してもらうか、それとも自分たちから辞めるかのどちらかにしなければなりません。
また、内閣をしっかり信用して応援する(これを「信任決議」といいます)ということが、衆議院で反対されてダメになってしまったときも同じです。
このように、新しい憲法では、内閣は国会とがっちり結びついており、国会の直接の力で動かされていく仕組みになっています。そのため、国会の中での政党のパワーバランスが変わると、内閣も変わっていくことになります。
つまり、内閣は国会の下にあるということなので、この仕組みを「議院内閣制度(ぎいんないかくせいど)」と呼んでいます。
民主主義と、政党が中心となる政党内閣、そしてこの議院内閣制は、みんなとっても深い関係でつながっているのです。
十一 司法(しほう)
「司法」とは、みんなの間の争いごとをさばいたり、やったことに罪があるかないかをハッキリきめたりすることです。
「裁判」という言葉も、これとまったく同じはたらきを指しています。
だれでも、自分の命や自由、そして大切な財産などを守るために、公平な裁判をしてもらうことができます。
この司法という国のお仕事は、国民にとってものすごく大事なものです。だから何よりもまず、公平にさばいたり、正しくきめたりすることが一番大切なのです。
そこで国には、「裁判所」という特別な場所があって、この司法の仕事をバッチリ引き受けてくれています。
裁判所は、その仕事をするときには、憲法と国会が作った法律だけにしっかりしたがって、だれに対しても公平に裁判をするんだということが、憲法でガッチリ決められています。
まわりのだれからも、いっさい口出しされることはありません。
また、裁判をするという大切なお仕事をもっている人、つまり「裁判官(さいばんかん)」は、理由もなく勝手にその仕事を取り上げられないことになっています。
これを「司法権の独立(しほうけんのどくりつ)」といいます。
さらに、裁判をいつも公平に行わせるために、裁判のようすは、だれでも自由に見たり聞いたりできるようになっています。
これは、国会と同じように、裁判所のお仕事もみんなの目の前で行われるということです。
このことも、憲法できちんと言い表されています。
ここで、今度の新しい憲法で、ものすごく変わったポイントをひとつお話ししておきましょう。
それは、裁判所が「国会で決めた法律が、本当に憲法に合っているかどうか」をチェックできるようになったことです。
もし「この法律は、憲法で決められているルールに違反しているぞ」とわかったときは、その法律にしたがわなくてもよいということになりました。
だから裁判所は、とても重くて大切なお役目を果たすことになったのです。
みなさん、私たち国民は、国会を「自分たちの代わりに動いてくれる人たち」だと思って心から信頼すると同時に、裁判所を「自分たちの権利や自由を守ってくれる強い味方」だと思って、心から尊敬しなければなりません。
十二 財政(ざいせい)
みんなのお家にはそれぞれ「家計(かけい)」があって、暮らしをやりくりしていますよね。それと同じように、国にも暮らしのやりくりがあります。
これが国の「財政」というものです。
国をしっかり運営していくために、どれくらいお金(費用)がかかるのか。そのお金をどうやって集めるのか。そして集めたお金をどんなふうに使っていくのか。そういったことは、すべて国の財政のお話です。
国を動かすためのお金は、国民みんなが出さなければなりません。また、国の財政がうまくいくかいかないかは、みんなの生活にとってものすごく大事なことなので、国民はそれにしっかりと目を光らせ、チェックしていかなければなりません。
そこで憲法では、国会が国民の代わりに、このお金の使われ方をチェック(監督)する役目をすることに決めています。
チェックの方法にはいろいろありますが、主なものを説明しましょう。
まず、内閣は「毎年いくらお金が入ってきて、それをどんなふうに使います」という予定(見つもり)を国会に出して、しっかり承認してもらわなければなりません。
これを「予算(よさん)」といいます。
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