また、実際につかったお金についても、あとできちんと計算して、再び国会に出して調べてもらわなければなりません。
これを「決算(けっさん)」といいます。
国民から税金を取るときも、あらかじめ国会に出してきちんと決めてもらわなければなりません。
内閣は、国会と国民にむかって、少なくとも一年に一回は、国の財政がどうなっているのかをしっかり知らせなければならない決まりになっています。
このようにして、国の財政は国民と国会によってしっかり見守られ、チェックされていくのです。
さらに、「会計検査院(かいけいけんさいん)」という専門の役所があって、国のお金の使われ方を厳しく検査しています。
十三 地方自治(ちほうじち)
戦争のころは、どんなときでも「国のため!」という言葉が使われて、国民ひとりひとりの生活や気持ちがとても軽く扱われていました。
でも、国というのは国民が集まったものです。だから国民ひとりひとりが幸せで豊かにならなければ、国全体が良くなることはありません。
それとまったく同じように、日本の国はたくさんの地方に分かれていますが、そのひとつひとつの地方がそれぞれのびのびと栄えていかなければ、日本の国全体も栄えていきません。
そのためには、地方のことは、地方の自分たちでしっかりと治めていくのがいちばん良い方法なのです。
なぜなら、地方にはそれぞれの地域のいろんな事情があり、そこに住んでいる人たちが、その事情をいちばんよく知っているからです。
自分たちのことは、自分たちの手で自由にやっていくことを「自治(じち)」といいます。それで国の地方ごとに、自分たちの手で自治を行わせることを、「地方自治」というのです。
こんどの憲法では、この地方自治というものをとても大切に考えて、しっかりとルールを決めています。
地方ごとに一つのグループ(団体)になって、自分たちの仕事は自分たちの手でやっていくのです。
東京都、北海道、府県、市町村など、みんなこのグループに入ります。
これを「地方公共団体(ちほうこうきょうだんたい)」といいます。
もし国の仕事のやりかたが民主主義なら、地方公共団体の仕事のやりかたも、もちろん民主主義でなければなりません。
地方公共団体は、いわば「国のミニチュア版(ひながた)」といってもよいでしょう。
国に国会があるように、地方公共団体にも、その地方に住む人たちを代表する「議会(ぎかい)」がなければなりません。
また、地方公共団体で仕事をする知事や、そのほかのおもなリーダーたちも、地方公共団体の議会の議員も、みんなその地方に住む人たちが、自分たちの手で選挙して選ぶことになりました。
このように地方自治が、憲法でしっかりと認められましたので、ある一つの地方公共団体だけのことを決めた特別な法律を国の国会で作るときには、その地方に住む人たちの意見をちゃんと聞くために、住民投票をして、その投票の半分以上の賛成がなければ作れないことになりました。
みなさん、国を愛し国に尽くすように、自分の住んでいる地方を愛し、自分の地方のために力を尽くしましょう。
地方の栄えこそが、国の栄えだと思ってください。
十四 改正(かいせい)
「改正」とは、憲法を作りかえることです。
憲法は、まえにもお話ししたように、国にあるすべてのルールの中でいちばん大事なものですから、これをかえるための手続きは、とても厳重にしておかなければなりません。
そこでこんどの憲法では、憲法を改正するときは、国会だけで勝手に決めずに、国民みんなが、賛成か反対かを投票して決めることにしました。
まず、国会の中にある一つの議院で、全体の議員の三分の二以上の賛成をもって、憲法をかえることを話し合って決めます。
これを、憲法改正の「発議(はつぎ)」というのです。
それからこれを国民みんなに示して、賛成か反対かを投票してもらいます。
そうして、すべての投票のうち半分以上の人たちが賛成したとき、はじめて国民が憲法の改正にOKを出してくれた(承知した)ことになります。
これを国民の「承認(しょうにん)」といいます。
国民が承認した改正は、天皇陛下が国民の名前で、国じゅうに発表してくださいます。
これを改正の「公布(こうふ)」といいます。
あたらしい憲法は、国民が自分たちで作ったものであり、国民みんなのものですから、これをかえたときも、国民の名前で発表するのです。
十五 最高法規(さいこうほうき)
このおはなしのいちばんはじめに言いましたように、「最高法規」とは、国の中でいちばん高い位にあるルールのことで、つまり憲法のことです。
この最高法規としての憲法には、国の仕事のやりかたをきめたルールと、国民の基本的人権をきめたルールの、二つがあることもお話ししました。
この中で、国民の基本的人権はこれまで軽く扱われていたので、憲法第九十七条は、とてもおごそかな言葉で、この基本的人権は人間が長いあいだ力をつくして勝ち取ったものであり、これまでいろいろな困難に出会いながらも築き上げてきたものであるから、これからもけっして破られることのない永遠の権利であると記しています。
憲法は、国のいちばん高いルール(最高法規)ですから、この憲法で決められていることに合わないものは、法律であれ、命令であれ、どんなものでも、いっさいルールとしての力を持っていません。
これも憲法できちんと決められています。
こんなにも大切な憲法は、天皇陛下もこれをお守りになりますし、国務大臣も、国会の議員も、裁判官も、みんなそろって守っていく義務があるのです。
また、日本の国がほかの国ととりきめた約束(これを「条約」といいます)も、国と国とが仲良く付き合っていくうえでできたルール(これを「国際法規」といいます)も、日本の国は、心からしっかりと守っていくということを、憲法できめました。
みなさん、あたらしい憲法は、日本国民が自分たちで作った、日本国民のための憲法です。
これから先も、この憲法を大切に守って、日本の国がもっともっと栄えるようにしていこうではありませんか。
おわり
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