初級翻訳・ふしぎな岩 第2話

ふしぎな岩

体の下を「ごう、ごう、ごう」とすごい風が吹いています。
とんび岩はなんだか急に恐ろしくなってしまい、「ああ、おれはもう神さまにおすがりするよりほかに道はないんだ」と、ますます熱心に神さまにお願いしました。
目がまわりながら、長い間、とんび岩は暗い暗い空中にただよっていました。
しばらくすると、水のようなものがざあざあ音を立てて体じゅうに降りかかってきました。
とんび岩は「ああ、冷たい」と思って目を開けました。
まわりが水と霧の渦のようになり、自分がどこでどうしているのかさっぱりわけがわからなくなりました。
するとまた、その霧が少しずつあわくとけて、風の中に吹き流されていきます。
雨も降っているようなのです。
とんび岩はむくりと身ぶるいしました。
すると、その雨もやがてまた谷間の底のほうへザアーッと音を立てて逃げていったかと思うと、はるかな向こうのほうに、サアッと太陽がのぼりはじめ、海のような光がとんび岩の下に見えました。
静かに朝が訪れ、小鳥たちがチクチクと鳴きはじめました。
ふっと気がつくと、とんび岩は、今までどおり山の頂きにちゃっかりと座っているのです。
とんび岩は「あっ!」と喜びの声をあげました。
「ああ、前のところにいる。
前のところにちゃんといらっしゃるぞ……これはいったいどうしたことじゃ。
みょうなことだぞ……」
と、まわりを見まわしました。
とんび岩は夢を見ていたのです。
とんび岩はむくむくと小躍りして、
「ああ、神さま! 神さま、ありがとうございます」
と言いました。
自分のいる場所くらい、いいところはありません。
眺めのいい海のほうへは、いくつもの船が入ってきています。
畑ではけし粒ほどのお百姓さんたちが時々とんび岩を見上げては土を耕していて、それは平和で平和な朝でした。

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