初級翻訳・チギウィンクルおばさんのはなし 第1話

チギウィンクルおばさんのはなし

ニューランズにいる ほんものの リューシちゃんへ

 むかしむかし リューシという なまえの おんなのこが リトルタウンという まきばに すんでいました。
とっても いいこだったのですが ―― ただ ポケットの ハンカチを いつも なくしてしまうのです。
あるひ リューシちゃんは うらにわへ なきながら やってきまして ―― まったく、 こんなふうに さけぶのです! 「あたしの ハンカチ なくなっちゃったあ! ハンカチ 3まいと エプロン 1まい! ねえ、 きみは しらない、 ねこのタビー?」

 こねこは まっしろな あしを ぺろぺろとなめるだけでした。
そこで リューシは ぶちの めんどりに たずねます ―― 「へにぺにサリー、 ハンカチ 3まい みなかった?」 ところが ぶちの めんどりは コッコッと なきながら なやのなかへ かけこんで ―― 「ナッル、 ハダシ、 ハダシ、 ハダシ!」

 なので つぎに リューシは えだにとまっている こまどりのコックンに ききました。
くろびかりする めで リューシを ちらりと みやる こまどりのコックン、 けれども まきばの さくの むこうへ とびさってしまいます。
リューシは さくの うえに のぼって、 リトルタウンの うらのおかに めを むけました ―― そのおかを みあげると てっぺんが くものなかに つっこんでいまして、 まるで おわりの ない たかさのようです!
 だから はるばる おかの なかほどまで すすんでいけば、 めのまえの くさちに 白いものが ひろがっていると おもったわけです。
あしこしの つよい リューシは ぜんそくりょくで おかを かけあがりまして、 きゅうな さかみちを のぼりに のぼった ―― そのさきでは ―― リトルタウンも はるか したのほうに ちいさくなってしまって ―― ここから いしを なげたら いえの えんとつに あてられそうなくらい!

 そうこうするうち たどりついたのが、 おかの なかほどに わきだす いずみでした。
だれかが みずを くもうとしたのか、 いしのうえに ブリキの バケツが おかれていましたが ―― みずは どばどば あふれっぱなしです。それというのも バケツの おおきさが ゆでたまごたてくらいしか なかったから! それから みちの ぬかるみに ―― まるで こびとみたいな ちいさな あしあとが ありました。
リューシは かけあしで それを たどっていきます。
みちは おおきな いわの もとで おわっていました。
みじかく みどりの くさが はえていて、 そこに わらびの くきを きってこしらえた またわかれの ものほしばしら、 そして いぐさで あまれた ものほしざおに ちいさな せんたくばさみの やま ―― でも ハンカチは ありません!
 ところが ほかにもまだ ありました ―― それは ドアなのです! おかのなかへ つづいていて、 うちがわから だれかの うたごえが きこえてきます ――

「ゆりのように しろく きよらか、 ん!
 ちいさな フリルを かさねて、 ん!
 しわなし ほかほか ―― しみなんて
 ちっとも ありゃしないって、 ん!」

 リューシが コン、 コンコン、 と とを たたくと うたも やみました。
こごえたような ふるえるこえで へんじが かえってきます。
「どなた?」
 ドアを あける リューシ。
おかのなかに なにが あったと おもいます? ―― そこには きちんとした すてきな だいどころが ありました。いしじきの ゆか、 きの はり ―― まきばで みる ふつうの だいどころと まったくおなじです。
ただ てんじょうが ひくくて リューシの あたまに すれすれだし、 つぼや おなべも ちいさくて、 そこにある なにもかもが ミニチュアなのです。
はいっていくと、 ほかほかした すてきな においが しました。
だいどころの ところで アイロンを てに たっていたのは、 でっぷりした ちいさな ひとで、 ふあんそうに リューシを みつめています。
そのひりは がらものの うわぎの そでを まくりあげ、 しましまの スカートのうえに おおきな エプロンを かけていました。
ちいさい くろっぱなを スンスンスンとならし、 めを パチパチパチと またたかせています。
それから ぼうしのしたには ―― ふつうなら リューシのような きいろい まきげが あるはずの そのばしょに ―― そのひと、 と・げ・と・げが はえていたんです!

「どちらさま?」と きくのは リューシ。
「あたしの ハンカチ しらない?」
 そのひとは かるく おじぎをして ――
「あら、 ええ、 ごめんなさいねえ。
あたしゃ チギウィンクルおばさんだよ。
あらあら ええ ごめんなさいねえ、 あたしゃ うでききの クリーニングやなのよ!」と いうと、 ふくの はいった かごから なにかを とりだし、 アイロンだいの うえで ひろげだしました。「それ なあに?」と リューシは いって ――「あたしの ハンカチじゃない?」
「いんや、 ごめんなさいね。
こりゃ こまどりコックンの えんじの チョッキさ!」
 と、 アイロンがけして おりたたみ、 わきに よせます。
そのあとまた なにかを ものほしかけから とって ――
「あたしの エプロンじゃない?」と リューシ。
「いんや、 ごめんなさいね。
こりゃ みそさざジェニーの もんいり テーブルかけさ。
見とくれよ、 アカスグリの おさけで こんなに しみが! あらうだけでも なんぎでね!」と チギウィンクルおばさん。
チギウィンクルおばさんは、 はなを すんすんすん、 めを ぱちぱちぱち。
それから だんろから べつの アイロンを とってきまして。
「あたしの ハンカチが 1まい ある!」と こえを はりあげる リューシ ――「あたしの エプロンも!」
 チギウィンクルおばさんは アイロンを かけて ひだを つけて、 ふるって フリルを ひろげます。
「あっ、 すてき!」と リューシ。
「あと、 これ なあに? てぶくろみたい なかゆびつきの きいろくて ながいの。
」
「ああ、 こりゃ へにぺにサリーの ストッキングだね ―― ほれ にわで ひっかくから、 かかとが こんなに すりきれてさ! んも、 すぐにでも はだしに なるっての!」と チギウィンクルおばさん。
「あっ、 もう1まい ハンカチ ―― でも あたしんじゃない。
まっか?」
「ええ ええ ごめんなさいね。
こりゃ あなうさママさんの もの。
たまねぎの においが きつくてね! これだけ わけて あらわにゃね。
どうやっても においが とれなくってさ。
」
「あたしの もう1まい あった。
」と リューシ。
「その まっしろの へんなの なあに?」
「こりゃ とらぬこタビーの てぶくろさ。
あとは アイロン かけるだけ。
あのこは じぶんで あらうからねえ。
」
「あった、 さいごの 1まい!」と リューシ。

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