初級翻訳・三人兄弟 第5話

三人兄弟

二人は互いに駆け寄るようにして抱き合い、声をあげて泣きました。
しかし、泣いているのはこの二人ばかりではありませんでした。
庭の砂の上に座らされている、盗賊の多能丸もやはり、縛られた体を身もだえさせながら、歯をくいしばって泣いていたのです。
大粒の涙がポロポロと、砂の上に落ちました。
多能丸が泣いているのにふと気づいた一郎次と三郎次は、これはいったいどうしたわけだろうと不思議に思い、この盗賊の顔をじっと見つめました。
それは、一郎次にとっては弟、三郎次にとっては兄にあたる、あの二郎次にほかなりませんでした。
十年ぶりに再会した三人兄弟の、そのときの驚き、喜び、そして悲しみは、いったいどれほどのものだったでしょうか。
それは、皆さん自身で想像してみてください。
三人兄弟が都へ向かう三つの道に分かれたときは、ほんのひと足の違いでしかありませんでした。
それが最後には、こんなにも大きな違いになってしまったのです。

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