この心外道人の戒めには、深い意味があるのじゃ。百人の命を救うという大望を果たせば、自然と心も和らぎ、人を殺すだの敵を討つだのといった殺伐とした気持ちはなくなるだろうという、言外の意味もあるのじゃ」
「……」
「塙三郎丸も同じこと。さあさあ、そのような望みは今この場で捨てて、丹沢の山奥へ帰り、あの台地に村を開いて一味一党の楽園にするがよい。拙僧は上様をはじめ、松平伊豆守殿に言い聞かせて、決してその後を追わせるようなことはしないつもりだ。安心して真っ直ぐに、丹沢へ引き上げるのだ」
天海僧正は枯れ木のような指を上げ、はるか丹沢の方を真っ直ぐに指さしました。
「では僧正、お教えは身に染みてありがたい。一応丹沢の山奥に引き上げ、千百万人を救う道を考えて、また出直すとしましょうか。家光公をはじめ、伊豆守、豊後守によろしくお伝えくだされ」
「さらば」
「さらば」
天魔太郎と塙三郎丸は天海僧正に別れを告げました。城中いっぱいに肩を怒らせて待ち構える武士たちの間を、まるで雑草を分けるような大胆さで通り抜けて城の外へ出ると、そこで妹の月子らと落ち合いました。互いの無事を喜び合いながら、初夏の丹沢山へと、更生の道を勇ましく帰っていくのでした。
初級翻訳・幻術天魔太郎 第17話
幻術天魔太郎
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