初級翻訳・愛と月の犬 第2話

The Creative CAT

「……道義的圧力を加えれば、ロシア人たちは抵抗できません。」人だかりの中にまぎれたストーナリーは妻が叫ぶのを聞いた。「男たちはおしゃべりするだけ、しかし愛犬婦人連盟は行動を恐れません。愛しい小犬を月に送ってハートブレークのうちに死なすなんて!」

窓のそばにいる数人の若者が白いメモ帳に走り書きした。「メンバーは何人ですか? ストーナリー夫人。」一人が聞いた。

「犬婦連は貴男が思っているより大きな組織ですわ。ロシア人どものスパイや裏切り者に尻尾をつかまれている以上に!」

ストーナリーはカニ歩きで玄関のドアに到達しようとした。「鍵がかかってる」記者の一人が告げた。「ぶち開ける許可を貰いにお巡りが戻ってった。おい、あんたはストーナリーじゃないか!」

「ああ、」痩男は顔を赤くして答えた。フラッシュが焚かれ、腕を上げて顔を隠そうとしたが後の祭りだった。「ストーナリーさん、何か一言くださいよ、お巡りが帰ってこない内に」記者たちは叫びをあげた。ストーナリーは後じさりして、手を振った。「勘弁だ、勘弁してくれ」と。

「奥さん、イカれてるんですか? いつ気づきました?」と一人の記者。

「勘弁してくれ」とストーナリー。「ああ、動転しているんだ。先週一番上の息子がカリフォルニア州の重罪刑務所に入ったんでね。それで取り乱しているんだ。」

「殺しですか?」と同じ記者。

「いや、とんでもない……ただの強盗だ……このことはオフレコで、頼む。」

誰かが叫んだ「お巡りが帰ってきたぞ!」

二人の警官が芝地を横切ってやってきた。一人が書類を振っている。「家宅捜索の許可証だ、ストーナリー夫人」彼は名前を呼ぶと大声で令状を読み上げた。「犬婦連は官憲の横暴に対しいささかも怯むことがありません」マーサは鋭く叫んだ。フィッファーロはますます悶え、悲しく鳴き立てた。

二人目の警官が五キロハンマーで鍵を叩き壊した。記者たちはストーナリーをつれて家になだれ込んだ。警官の一人がフィファーロの紐を外して腕に抱いた。スパニエルはクンクン鳴きながら警官の顔をなめまくろうとし、彼は頭をのけぞらせてそれを避けなければならなかった。フラッシュが焚かれる間、マーサは心ここにあらずの態で睨みつけていた。

ストーナリーは静かにもう一人の警官の袖を引いた。「一緒に行ってもかまいませんか? お巡りさん。あれの夫です。保釈をお願いしなければならないでしょうから。」

「逮捕なんてしませんぜ。」警官は言った。「ブタ箱に空きがなくてね。二時からこのかた、犬ばかり逮捕してますわ。」ベルボーイは角氷の入った銀のバケットを置き、二十五セント銀貨をポケットに入れて出て行った。
その横で、骨と皮ばかりの秘書がウィスキーのボトルを置き、靴を脱いでベッドに大の字になっている太った副官の方を向いた。
「ボブ知事は少し遅れるようですよ、サム」秘書が言った。「先に始めていましょうか」
「クソ、そうしよう。一杯やらなきゃやってられんよ、デイヴ」つま先をピクピク動かしながら、カエルのような声で副官が言った。「ボブはしばらく、あのストーナリーのご婦人の前で行儀よくしてなきゃならないんだからな」彼はクックッと含み笑いをして、自分の腹をペチャペチャと叩いた。
秘書はコップ二つの包みを外すと、カラカラと氷を入れた。ウサギのようなご面相の彼は、透明なプラスチック枠の眼鏡をかけて、ウサギめいた怖ず怖ずとした表情になった。「笑い事じゃありません、サム」と彼が言う。「まるで中世の舞踏狂ですよ、ご存知ですか?」
「いや。そいつらも犬を後脚で吊るしたのか?」
「いいえ、踊っただけです。ですが、それは人々の心を強く引きつけましてね。こいつらみたいに。ああ神様、サム、もう州全体に広がっています。犬婦連の女らは夜になると徒党を組んで走り回り、歌い歩き、捕まえることのできた犬を片端から吊るしているんです。サム、私はそれが怖くて……」

彼はウィスキーを二つのグラスに注いだ。副官は吹き出すと、ギシギシいうベッドの上に起き上がって、垂れた顎を掻いた。
「君は、連中が俺たちのような哀れなる豚野郎を吊るし出すとでも思っているのか?」と副官が聞いた。「クソ、州兵を呼び出せ。夜間外出禁止令で締め上げてやる」彼はグラスに手を伸ばした。
「ええ、そうですね。そしてロシア人たちは、貴男の部下が老女を銃剣で突き刺す写真をでっち上げると」秘書が言った。「おまけにボブ知事は、犬捕りにさえ再選されないでしょうね」

グラスを飲み干した副官は、プッと氷を戻して、その唇から息を漏らした。「それだ! そうしなきゃならん」彼はブーブー言った。「デイヴ、ボブはそのストーナリーのババアの首根っこを押さえているじゃないか。楽勝で言うことを聞かせられるぞ。カリフォルニア州のムショに入っている息子の件だけで十分だ。ブラウン知事ならボブの言い成りになってそいつを出所させるだろうし、さもなきゃブン屋に書き立ててもらってもいい。どっちでもかまわん」
「はいはい」ウィスキーを舐めつつ秘書が言った。「ボブが来たらわかるでしょう。一方、私どもは昨日の段階で三万三千七百二十六頭の犬を保護しています。家に匿われている犬の数は神のみぞ知るです。これにかかるコストは一日あたり百六十万ドルに達しており――」

ノックの音に彼は言葉を飲み込んだ。せっかちにもう一つのグラスの包みを開け、氷をぶち込むとバーボンを注いだ。副官は足を運んでドアを開けた。
知事は肉付きのよい赤ら顔の男で、グレーのスポーツコートを着ており、部屋に入るとベッドの縁にドスンと腰を下ろした。彼は口を開く前に、秘書から渡されたバーボンを一気に半分あおった。
「煙を吹くのはやめろ、君たち」と、ようやくのことで言った。「あの女からその手のほら話をさんざん聞かされた。新聞記者にしたのと同じ話だ。『あたしたちは月に行くか、さもなければロシア人を月に行かせることができる。そしてあの哀れな、親愛なる、可愛い、信頼できる、柔和な小犬を地球に帰還させるんだ』ってね」
「あの女のガキをシャバに出すのは?」と副官。
「あいつは私の目に唾を吐きかけたよ、サム。連中が縛り上げた犬と同じように、あの女には殉教者になる覚悟があるだけなんだと。それどころか、あいつのもう一人の息子はキューバで黒人女と罪作りな生活をしていると言い抜けて、『新聞ネタに出せるものなら出してみろ』ってさ」
「見かけ通りのタフな女だな」
「見かけ以上だ」知事はうめいた。「青い花崗岩みたいだ。私は自分が三年生に戻ったような気がしたよ」彼は空になったグラスを秘書に渡した。
「結局どうしたんですか?」秘書が尋ねた。
「いったい私に何ができた? 犬婦連の票は欲しい。大勢力には違いないからな。私は尻尾を巻いて一声ワンと吠えて、『一つアイデアがあります』と言ったんだ」
「それで、そのアイデアというのを思いつけというわけですね」空のグラスを持ったまま秘書が言った。
「いや、帰り道の間に自分で思いついた」と知事。「今日の午後、ワシントンに飛ぼうと思う」
「軍を出すのはやめてくれ、頼むから」副官が拝んだ。
「いや、ロシア大使館に行ってぶちまけてやる。

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