初級翻訳・探偵少年 第16話

探偵少年

ネズミは土管をつたって、塀の外へ出ます。
そして、広場のどこかで、足に巻いた毛糸がほどけて、手紙が地面に落ちるわけです。
二度ほど失敗しましたが、三度目にうまくいきました。
広場で遊んでいる子どもが、その手紙を見つけて、木村君に届けてくれたのです。
木村君というのは、少年探偵団員の中で、いちばん頭のいい子どもです。
木村君はすぐに、この塀の外へ来てくれました。
木村君への手紙には、「塀の外へ来て、毛糸の端をさがせ。見つかったら、それに丈夫な長いひもを結びつけて、ピン、ピン、ピンと、三度ひっぱれ。」と書いてあったのです。
木村君は、そのとおりにしました。
それを合図に、牢屋の中の小林君は、毛糸を手繰りよせ、それに続いている丈夫なひもをにぎると、両方でその端を持って、通信をはじめたのです。
少年探偵団員は、みんな電信のモールス信号の打ち方を知っていました。
それで、牢屋の中の小林君と、塀の外の木村君とは、そのひもをモールス信号のように引っ張って、話し合ったのです。
そして、小林君の指示にしたがって、木村君が博士の西洋館に忍び込み、書斎の百科辞典の中から、黄金のトラを盗み出したのです。
小林君が説明を終わると、魔法博士は、ひざをたたいて感心しました。
「えらいっ! 大人もかなわない知恵だっ。
私の負けだよ。
黄金のトラは、少年探偵団のものだ。
なお、念のために、私から明智探偵に電話をかけることにしよう。
少年探偵団が勝ちました。
おめでとうと、伝えておくよ。」
 それから数時間後、明智探偵事務所の前に、にこにこ顔の明智探偵と、十数人の少年探偵団員が並んで待ち構えていました。
そこへ、もとの学生服にもどった小林少年と、木村少年とが、手をつなぎながら帰ってきました。
「少年探偵団ばんざーい、小林団長ばんざーい。」
 子どもたちは一斉に両手をあげて、力いっぱい叫ぶのでした。

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