初級翻訳・新童話論 第2話

小川 未明

こういう作家たちこそが、「芸術」の本当の力を知っている人たちです。そして、「童話こそは、詩のような美しさを持った、素晴らしい芸術でなければならないんだ!」と心から信じている人たちなのです。

学校でみんな同じことを教わるのには、良いところも悪いところもあります。でも、「社会のため」という言葉が、みんなの「自分らしさ」や「個性」を消してしまうような意味であってはいけません。日本中で同じ教科書を使うことは、お勉強の知識を覚えるのには役立ちますが、その知識が、一人ひとりの子供が実際に体験していることと本当に合っているかどうかまでは、考えてはくれないのです。

だからこそ、学校のお勉強とは別に、豊かな心を育てたり、その人らしさを作ったりするための教育が、今すぐ必要とされているのです。

子供たちのための文学は、お話の中に子供たちの世界そのものが広がっていて、そこで一緒に暮らし、観察し、考えたことから生まれたものでなければなりません。

子供たちの心には、みんなに共通する何かがあります。その共通する部分があるからこそ、お話を読んで自分を振り返ったり、「自分はこうなんだ」と気づいたり、ときには「それは違うんじゃないかな?」と考えたりすることができるのです。

ですから、こういった文学から学べることは、難しい理屈や、無理やり押しつけられるお説教ではありません。みんなが実際に体験したことに語りかけ、自分自身で納得し、自分で自分を導いていけるようにしてくれるものなのです。

これまでのことをまとめると、現実をしっかり土台にしながら、どこまでも自由で美しい空想を広げたお話や、その土地ならではの不思議な物語が、「新しい童話」として、これからどんどん生まれてこなければならない時が来ているのです。

今、子供たちのために売られている本の中には、いい加減に作られたものや、真剣さが足りないもの、レベルが低いものがたくさんあります。それがみんなの心や性格を作るのに、どれほど悪い影響を与えてしまうかを考えると、私は居ても立ってもいられない気持ちになるのです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました