初級翻訳・楽聖物語 第77話

楽聖物語

日本で発売されていないものもあと1枚あり、合唱も管弦楽も常識を超えて美しく、素晴らしい出来だったので本当に惜しいことをしました。再発売を待ちたいと思います。
 私たちに一番親しみやすいのは、イギリス・コロムビアから出ている「弦楽四重奏曲」(10インチ4枚組)でしょう。演奏はクレトリー四重奏団です。

ヒンデミット
(パウル・ヒンデミット 1895―1963)

 「新即物主義(新しい客観性)」の作曲家で、ドイツの最も新しい傾向を代表する人です。その手法は古典的で、フランスの新人たちと比べると一段としっかりとした手ごたえを感じさせます。
 歌劇「画家マティス」が代表作です。ヒンデミット自身が指揮して、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団が演奏したレコードがあります(テレフンケン13601-3)。
 「無伴奏チェロ・ソナタ」はフォイアマンの演奏(コロムビア世界名盤集)があり、「弦楽三重奏曲第2番」はヴィオラ奏者でもある作曲者本人と、ゴールドベルクのヴァイオリン、フォイアマンのチェロで収録されています(コロムビアJ8501-3)。

ワインベルガー
(ヤロミール・ワインベルガー 1896―1967)

 チェコの作曲家です。新しい道を歩んでいますが、ジャズをどこまで古典的な音楽のスタイルの中に溶け込ませることができるか、という点に興味が集まっています。
 「バグパイプ吹きのシュヴァンダ」の中の「ポルカとフーガ」が、ビクターから2種類出ています。一つはオルマンディー指揮のレコード(JI29)、もう一つはブレッヒ指揮のレコード(JA705)があります。
ほかにコロムビア盤もあったように記憶していますが、カタログには見当たりません。

タンスマン
(アレクサンドル・タンスマン 1897―  )

 日本へ遊びに来たことがあるので、個人的にとても興味深い作曲家です。
ポーランド出身で、堅実かつ新鮮な響きを持つ室内楽が特徴です。
「弦楽のための三枚絵」は、ベイリー指揮、カーティス室内楽団の演奏があります(ビクターJH71-2)。
他に、作曲者自身が演奏した「マズルカ曲集」もあります(同JA54)。

ガーシュウィン
(ジョージ・ガーシュウィン 1898―1937)

 ジャズを取り入れた協奏曲や歌劇を書き、世間を驚かせた、最も「アメリカらしい」作曲家です。
しかし、ただ明るいだけでなく、どこか根強いものや、心に何かを訴えかけるような暗示的な響きを持っています。
若くして亡くなったのは、本当に惜しまれます。
「ラプソディー・イン・ブルー」は彼の出世作です。
ジャズをシンフォニーのように仕立て上げたこの曲は、作曲者ガーシュウィン自身のピアノ、ポール・ホワイトマン指揮の管弦楽団によるもの(ビクターJB223)が一番有名でしたが、最近ではボストン・ポップス管弦楽団による見事な録音も出ています(ビクターJH30-1)。
この曲が、電気録音ができるようになる前の時代に、ビクターの「緑盤」として発売されていたことを知っている人は少ないかもしれません。
歌劇「ポーギーとベス」は、おそらくガーシュウィンの最高傑作でしょう。
非常に新鮮で、野性味があり、芯の強さを感じさせる音楽です。
スモーレンス指揮でティペットが主役を歌っているレコードも良い出来です(ビクターJH45-8)。
他に「ピアノ協奏曲」もガーシュウィン本人のピアノでコロムビアから出ていましたが、今は廃盤になっているようです。

プーランク
(フランシス・プーランク 1899―1963)

 フランスの「六人組」の一人で、簡素ながらも美しい作品を書きます。
「無窮動」は作曲者自身のピアノで収録されており(コロムビアJ5228)、「田園詩曲」と「トッカータ」はホロヴィッツのピアノで聴くことができ、これは素晴らしい演奏です(ビクターJD690)。
「ピアノ三重奏曲」で作曲者自身がピアノを弾いているものも注目に値します(コロムビアJ8190-1)。
「オーバード」はピアノと18の楽器のための舞踊協奏曲で、これもプーランクがピアノを弾き、ストララムが指揮しています(コロムビアJ5191-3)。
他に、歌曲「動物小話集」をクロアザが歌ったものは、とても洒落た味わいがあります(コロムビアJ8107)。

フェルウ
(ピエール・オクターヴ・フェルウ 1900―1936)

 フランスの急進的な作曲家でしたが、自動車事故で若くして亡くなりました。
「チェロ・ソナタ イ長調」をマレシャルが演奏したレコードがコロムビアから出ています(J8433-4)。

モソロフ
(アレクサンドル・モソロフ 1900―1973)

 ソビエト出身の新しい作曲家で、アメリカでも活動しています。
思想的(イデオロギッシュ)な作風で、芸術を社会の報告として捉える理論を、そのまま音楽で実践しようとしています。
「製鉄所」が代表作です。
レコードにはエーリッヒ指揮(コロムビアJ5500)と、フィードラー指揮(ビクターJK55)の二通りがあります。

ショスタコヴィッチ
(ドミートリイ・ショスタコーヴィチ 1906―1975)

 現代のソビエトが誇る、最大の作曲家と言われています。
「交響曲第1番 ヘ短調」と「交響曲第5番」は、ストコフスキーが指揮したものが出ています。
舞踊曲「黄金時代」より「ポルカとロシア舞曲」を、エーリッヒがパリ交響楽団を指揮したレコードもあります(コロムビアJ5427)。
現代の作曲家の中でも、最も優れた才能の一人です。

ワイル
(クルト・ワイル 1900―1950)

 ドイツの最先端を行く作曲家で、ジャズの手法を採り入れ、一風変わった刺激的な音楽を作っています。
それでいて芸術的であり、聴いていて楽しいのが面白いところです。
「三文オペラ」がその代表作です。
映画を通じて日本人にもおなじみですが、あの「匕首(あいくち)ミッキー」の歌などはとても洒落ています。
クレンペラーが指揮したものがポリドールに入っています(30082-3)。

補遺

フォスター
(スティーブン・コリンズ・フォスター 1826―1864)

「故郷の人々(スワニー河)」「懐かしきケンタッキーの家」、そして「黒ん坊のジョー爺や(オールド・ブラック・ジョー)」といった歌が、アメリカだけでなく世界中で愛されていることは言うまでもありません。
このフォスターの愛すべき歌は数え切れないほどレコード化されていますが、まとまったものとしては、ビクターから「フォスター名曲集」と「フォスター民謡集」が出ています。
この後の時代のアメリカには、サン=サーンスやエルガーに匹敵する、あるいはそれ以上の作曲者がたくさん出てくるでしょう。しかし、フォスターのように「母なる大地」にしっかりと足を踏みしめた、真に民族的な音楽家は、そう簡単には生まれてこないでしょう。
ウィーンのヨハン・シュトラウスと並び、まさに得難い「民族の天才」と呼ぶべき存在です。ルキュウ
(ギョーム・ルキュウ 1870―1894)

 ベルギーが生んだ異彩を放つ天才、ギョーム・ルキュウ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました