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神西 清

初級翻訳・青いポアン 第2話

しかし、間もなく一つの奇跡が起こり始めました。その障害があるからこそ、伊曾はかえって劉子に強く惹かれるのを感じ始めたのです。劉子にとって、その性的不具は、ある種の完成形のように見えました。本当に、劉子は驚くべき完成された存在でした。彼女は柔...
神西 清

初級翻訳・青いポアン 第1話

第一部 明子は学校で、「ポアン」というあだ名で呼ばれていました。 ポアンとは、点のこと。そして、チクリと刺す痛みのことでもあります。 同時にそれが、「ポアント(尖った鋭い先端)」という意味も含んでいることを、クラスの仲間たちはみんな暗黙のう...
小川 未明

初級翻訳・青いボタン 第2話

知っている人は、「まあ、美しいボタンね。ちょっと見せてちょうだい」と言って、掌(てのひら)の上に乗せては眺めたものです。しかし、誰もこの青いボタンが石でできているのか、貝でできているのか、見当もつきませんでした。「この青いボタンを一つ、僕に...
小川 未明

初級翻訳・青いボタン 第1話

これは、ぼくがまだ小学校に通っていたころのお話です。ある日のこと、正雄のクラスに知らない女の子が転校してきました。先生がみんなに向かって言いました。「今日からこの子が新しいお仲間になりました。みなさん、仲よくしてあげてくださいね」知らない子...
萩原 朔太郎

初級翻訳・青いゆき 第1話

青いゆき青いなあ。ゆきは、まっさおだ。ももの木にも、さくらの木にも、花は咲かない。青いこなゆきが、ひかりかがやく山のみちで、ずっと泣きつづけている。青いなあ。
宮本 百合子

初級翻訳・電車の見えない電車通り 第3話

なるほど、車庫は白服の男たちでいっぱいで、その周りはなめらかに静まり返っており、ストライキ団は職場以外のそれぞれの場所に固まって気勢を上げています。その状態を、見事な双方の統制と言うのかもしれません。しかし、どの電車の内側や停留場にも貼られ...
宮本 百合子

初級翻訳・電車の見えない電車通り 第2話

昨日まで、この車両には大浦さんという女性車掌が乗務していて、例えば先ほどのような曲がり角に来たときは、敏捷な動きで手を突き出しながら「左オーライ!」と合図を送っていたのです。自分の車を捨て、自分の名前が書かれたそのニッケル色の光る箱を捨て、...
宮本 百合子

初級翻訳・電車の見えない電車通り 第1話

九月一日の夕刊に、ものものしい防空演習の写真と一緒に、路面電車の整理案が発表されました。その内容は、全従業員一万八百人を一度解雇し、改めて給料を四割カットした条件で雇い直すというもの。そうして八百五十万円を浮かせて、長年たまっていた八百万円...
寺田 寅彦

初級翻訳・電車と風呂 第2話

モーターの速く、規律正しい回転から生まれる音の中には、かなり純粋な音もいくつかあるのです。しかし、電車の中で歌いたくなる人というのは、あまりいそうにありません。たとえ鉄道のルールがそれを許したとしても、また、変わり者が二、三人やって見本を示...
寺田 寅彦

初級翻訳・電車と風呂 第1話

電車の中で、周りに乗っている人たちの顔を何気なく見渡してみると、気持ちが明るくなるような、いい顔をしている人はめったに見当たりません。顔色が悪いとか、目や鼻の形がどうだとかいう以前に、顔全体から漂う雰囲気が、十中八九、なんだか不愉快なものな...
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